ところが近年、食生活の欧米化などに伴い、比較的若い40代にも、この病気が起こるようになった。
 「細い血管が詰まり、若い患者でも『ラクナ梗塞』と診断されますが、小さい粥腫(コレステロールを大量に含んだ脂質)が脳の細い血管から枝分かれするところに生じ、同じ部位に生じた血栓によって細い血管を根元から閉塞するタイプが多いようです。高血圧や肥満、喫煙者などの条件が揃っている人は、40代から注意が必要です」(専門医)

 細い血管で起きた梗塞は1つだけなら大きな問題は起きないものの、脳全体の細い血管が軽い障害を受けている状態といえる。早期に生活習慣を改善しないと、他の脳血管も閉塞してしまう可能性が高い。しかも症状が出ないまま脳のあちらこちらに「ラクナ梗塞」が起こり、少しずつ症状が進行し、多発性脳梗塞に陥れば、若いといえども認知症や歩行障害、言語障害を引き起こし、転倒して寝たきりになるリスクも高くなる。そのため、前に挙げた喫煙などの習慣がある人は、一度脳ドックを受けてみるのが賢明なのだ。
 「脳ドックなどで『ラクナ梗塞』が見つかっても、生活習慣の改善に努めれば、その後の人生を健康に過ごせる可能性は高い。とにかく放置したままの状態を続けると、命にかかわる危険が待っていることを、肝に命じることです」(同)

 もちろん、「ラクナ梗塞」の一番の危険因子である高血圧の人は注意が必要だ。血圧の正常値は一般的に「最高120mmHg/最低80mmHg」とされるが、せめて「140mmHg/90mmHg」以下を保つように心掛けたい。
 「また日常生活では、交感神経の活性が高まる朝方や、熱い湯への入浴後には、血圧がさらに上昇し梗塞や出血を起こしやすくなるために注意が必要です。さらに暑さが激しい日などは、脱水によって血液が濃縮状態になった場合も脳梗塞のリスクを伴うことを知っておく必要があります。すでに血液が濃縮気味なメタボの人が、サウナに入り、水分を補給せずに汗をかくことも危険です。高齢者の場合は、寝汗による脱水が脳梗塞のリスクになるため、就寝前にしっかり水分補強をしましょう」(同)

 ある大学病院の研究グループが、30〜80歳の男女(平均年齢57・5歳)を7年間追跡調査した結果、隠れ脳梗塞がある人は約10.5倍も脳卒中を引き起こす頻度が高くなっていたという。
 以下は、そのセルフチェック法だ。
◆両手を前に出し、手の平を上に向けて目を閉じ、その状態を30秒間維持できるか。
◆目をつぶり、その場で50回、腕をしっかりと振って足踏みをする。50回目で目を開き、始めた時の立ち位置からどれほど離れているかを確認する。最初の位置より向きが45度以上、距離が75センチ以上離れていた場合、小脳と頚髄に“隠れ脳梗塞”の疑いがある。
◆同じコップ2つを用意し、一方に水をいっぱい入れ、一方を空にした状態で両手に持つ。水の移し替えを5〜6回行い、たくさん水をこぼす場合は“隠れ脳梗塞”の可能性がある。
◆紙にペンで5ミリ間隔ほどの渦巻きを5周ぐらい書く。均一な渦巻きが描けない場合は“隠れ脳梗塞”が進んでいると疑うべき。

 最悪な事態を招かないためにも、症状が出る前から危険察知するように心掛けよう。