金メダリストの苦悩は深い

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 昨年2月のソチ五輪で日本人男子初の金メダルを獲得した羽生結弦。だが、ここ半年ほどは病気やケガに泣かされることが多く、本来の力を発揮できているとは言い難い。そんな羽生をさらに悩ませているのが、以前から囁かれてきた母・由美さんとスケート連盟の確執である。

 7月21日発売の『週刊女性』はこの問題に焦点を当て、羽生復活の障壁となりうる連盟の態度に疑念を呈している。

母と連盟の間に生じた深い溝

 記事はまず、3年前の「号泣事件」について触れている。これは2012年の夏、カナダ留学を直前に控えたまだ17歳の羽生少年が、10歳のときから師事してきた阿部奈々美コーチを前に大粒の涙を流しながら「仙台から離れたくない」と訴えたのだという。

 この事件の背景には、母・由美さんと連盟の間にできた修復不能な亀裂があった。

「当時の連盟が圧倒的に重きをおいていたのは高橋大輔と浅田真央の2大スターでした。“超ステージママ”といわれる羽生の母親としてはそれが面白くない。『うちのコをないがしろにされている』と、連盟に反発を強めていった。そして、なかば強引に羽生のカナダ行きを決めてしまったんです。週刊女性の記事は連盟のみに非があるかのような立場で書かれてますが、実際は連盟と母親との間に生じた感情的な溝という“大人の事情”に振り回された結果の涙だった。息子に何かと強権を発揮したがる母親にも問題があると見ている記者は多いですよ」(大手スポーツ紙記者)

 こうした“強すぎる母親”イメージが定着したおかげで、ネットでは「羽生マザコン説」なども流れている。が、実際のところどうなのだろうか?

「たしかに、10代の頃の羽生はそう思われても仕方のない面もあったと思います。母親に携帯電話所持を禁じられると素直に従うなど、言いなりに見えることも多かった。しかし、20代になってからは、羽生自身、そんな強すぎる母親に困惑している、というのが実態に近いのではないでしょか」

 怪我をしてもイベント参加を強要するような連盟の態度にも問題があるのは事実だろうが、子離れできない親が息子の飛躍の障壁にならないことを祈るばかりだ。

(取材・文/小林靖樹)