高温・多湿で体温を保とうとエネルギーを消費して夏バテに! shutterstock.com

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 炎暑の夏。汗っかきの人も、食欲がなくなる人も、夏やせする人も、夏バテはつらい。夏バテに負けない、爽快な夏の過ごし方をまとめよう。

1.いい汗をかこう!
なぜ汗をかくのだろう? 人間は、食物の栄養を燃焼してエネルギーを作り、筋肉を動かしている。運動に使われなかったエネルギーは熱に変わり、汗になる。汗は皮膚表面から蒸発する時に、気化熱で体温を下げて、体温調整をしている。汗をかかないと自律神経やホルモン中枢にダメージを与えるため、熱中症になりやすくなる。

 いい汗って何だろう? 汗の原料は血液だ。血液には、赤血球、ナトリウムやカリウムなどのミネラル、臭いの元になるアンモニアなどの老廃物が含まれる。汗腺は、血液から血漿(けっしょう)をくみ取り、血漿に含まれるミネラルの多くを血管に戻し、残りを汗として体外に出す。これが汗腺の再吸収だ。再吸収をしっかりすれば、サラサラしたいい汗をかける。うまくミネラルや老廃物などを戻せないと、ネバネバして臭いのある悪い汗になる。いい汗は小粒で蒸発しやすく、少量で体温を下げる。悪い汗は大粒になりやすく蒸発もしにくく、より多くの汗、つまり血液を使うので、体力を消耗しやすい。

 いい汗をかくためには、手足高温浴と半身浴を組み合わせた汗腺トレーニングがおすすめだ。手足高温浴は、浴槽に43〜44℃のお湯を少なめにはり、両手の肘から先と両足の膝から下だけを10〜15分間浸す。腕や足の血液が温められると、血液が全身に循環するため、じっくりと発汗する。手足以外は空気に触れているので、かいた汗が蒸発して体温調節する。2〜3週間も続ければ、全身の汗腺が活発になり、快汗を実感できるだろう。

 手足高温浴の後は、湯船に水を加えて37〜38度にして、10〜15分間、みぞおちまでつかる半身浴を。手足高温浴は交感神経を刺激し、半身浴は副交感神経が優位になるので、自律神経のバランスがよくなる。

2.軽い運動や早朝散歩をしよう!
いい汗をかくには、やはり運動だ。気軽なリラックス体操、ウォーキングや水泳、水中歩行、ダンスなど好みや体調に合った運動を習慣にしよう。軽い運動は、自律神経の働きを整え、夏バテの予防・解消に効果がある。

 1日のウオーミングアップに早朝散歩はどうだろう。ゆったりした服装で家のまわりを気ままにひと巡りしたり、ラジオ体操もいい。朝陽をたっぷり浴び、新鮮な空気を吸いながら洗濯物を干すのもいい。ベランダや庭に出て深呼吸するだけでも、体が目覚めるだろう。通勤途中にひと駅歩けば、体にエンジンがかかり、運動不足も解消できる。早朝のウオーミングアップは、気持ちよく1日をスタートさせてくれるはずだ。

3.こまめに水分補給して、熱中症に注意しよう!
いい汗をかくのも運動も大切だが、熱中症には、とくに注意したい。気温が高い状態が長引くと、大量に発汗して水分や塩分が失われる。血液中の水分が奪われれば、発汗が弱まり、臓器に流れる血流量が減る。同時に、湿度が高い状態が長引けば、発汗が抑えられ、熱が皮膚の表面にこもるので、放熱しなくなる。その結果、体温調節のバランスが崩れて、熱中症になる。

 熱中症対策は、こまめな水分補給が基本だ。いつでも飲めるように水分やミネラル飲料などを持ち歩こう。外の気温が35℃以上の真夏日や、気温27℃以上で湿度の高い日は、頻繁な外出や激しい運動は避けよう。外出時は、帽子を被り、涼しい薄着で。ただ、外気温と建物内の空調温度にかなりの温度差がある場合があるので、一枚羽織れる衣服を持ち歩こう。室内では、部屋の風通しを良くしたり、エアコンや扇風機を上手に使ったり、シャワーやタオルで身体を冷やそう。

4.水分を十分に!摂り過ぎにも注意を!
 熱中症にならないためには、こまめな水分補給が大事だが、水分の摂り過ぎは逆効果だ。水分の摂り過ぎは、胃酸を薄めるため、胃の機能低下を招く。食欲不振、胃もたれ、消化不良などの原因にもなる。

 とくに甘いジュースや炭酸飲料のがぶ飲みはやめよう。糖質の摂り過ぎると、食欲低下やビタミン不足になり、肥満や高脂血症になるリスクも高まる。ビールの飲み過ぎも注意したい。中性脂肪や尿酸が増え、肝臓のトラブルを招くため、アルコール類は適量を守って楽しもう。

5.冷房のきき過ぎに注意しよう!
 夏バテや体のだるさの原因は、暑さだけではない。クーラーなどの冷房のし過ぎも大きい。冷房の効き過ぎによる体の冷え、外気温との大きな温度差に体がついていけなくなり、自律神経が乱れるので、夏バテする。

 冷房のよくきいた室内と蒸し暑い室外を何度も往復すれば、体は温度変化についてゆけなくなるため、冷房温度は約28℃を目安に。湿度が低いと涼しく感じるので、冷房より除湿を。扇風機を併用すれば、体表から熱が奪われて涼しい。冷房の風向きは、体の表面の熱が奪われないように、天井に向ける。扇風機は首振り設定に。寝る前は冷房のタイマー設定も忘れずに。次回も、夏バテしないための対策を話そう

6.かしこく工夫して、おいしく食べよう!
 夏は、食欲が減退して夏バテしがちだ。次のポイントを心がけて、夏バテしない毎日を送ってほしい。1日3食、できるだけ決まった時間に食事をする。消化がよくなるように、よく噛んで食べる。少量でも質の良いタンパク質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂ろう。

 ビタミン、ミネラルが不足すると、疲労物質の乳酸がたまりやすくなる。とくに、豚肉や精製していない穀類、枝豆などの豆類に多く含まれているビタミンB1を摂りたい。気温が15℃から35℃に上ると、ビタミンB1は3倍も消費される。だるさや疲労感を取るカロチン、ビタミンC、ビタミンEを多く含むキュウリ、ナス、トマト、ピーマン、オクラ、トウモロコシ、ニラ、カボチャ、ズッキーニなどの夏野菜をしっかり摂ろう。

 栄養バランスのよい食事を摂るには、具だくさんのスープやみそ汁を食べる。外食でざるそばなどを食べる時も、野菜料理を1品加えるなどの工夫をしよう。スパイスがきいたカレーなどの辛めの料理や香味野菜は、胃腸を刺激して胃液の分泌を促すので、食欲が出る。レモンや酢も食欲増進、疲労回復に効果がある。梅干のクエン酸は、胃腸の働きを助け、食欲増進、疲労回復、抗菌作用、カルシウムの吸収促進に役立つだろう。食後30分は休憩し、冷たいものを摂り過ぎないことも大切だ。

7.快適な入浴を楽しもう!
 暑い夏こそ、湯船にゆっくりつかろう。入浴は、疲労物質を減少させ、だるさや疲労感を改善する。血行を促し、冷房のあたり過ぎなどの体の冷えを取り去る。精神的にもリラックスして、安眠できる。

 40℃前後のぬるめのお湯に肩までつかり、手足をもみほぐそう。熱めのお湯に入ると、交感神経が刺激されるので避けたい。みぞおちから下の部分だけをお湯につかる半身浴もいいだろう。シャワーは、汗を流してスッキリするには有効だが、湯船につかるほうがリラックス効果が高い。

8.毎日、心身を癒そう!
 音楽、アロマテラピー(芳香療法)、ハーブ療法なども試そう。例えば、音楽ならカラオケでストレスを発散したり、自分が好きな音楽を聴くなどだ。

 アロマテラピーなら、室内に自然のエッセンシャルオイルの香りを漂わせる芳香浴、入浴時、湯船にエッセンシャルオイルを2〜3滴たらすアロマバス、エッセンシャルオイルで皮膚をマッサージするオイルマッサージなどがある。
 神経系や消化器系に働きかけるハーブ療法なら、生葉やドライハーブのハーブティーを飲んだり、ドライハーブを小袋に入れたポプリを枕元や室内に置いたりすれば快適だろう。

9.ぐっすり眠ろう!
 夏は、暑さで寝つきが悪く、夜中に目が覚める人が多い。ぐっすり眠るためには、夕食後の30分くらい、ウォーキングなどの有酸素運動やストレッチなどの軽い運動で体をほどよく疲れさせよう。

 軽い運動で上昇した体温は、2時間後くらいから下がり始めるので、読書などリラックスした時間を過ごせばいいだろう。2時間後に、ぬるめのお湯にゆっくり入れば、血液中に溜まった疲労物質の乳酸が減り、疲れが和らぎ、快眠できるはずだ。

 寝室の冷房温度は27度前後に設定しよう。1〜2時間後にタイマーが切れるようセットし、冷風が体に直接あたらないように。冷えるタイプの枕や、風邪用の頭を冷やすシートを使ったり、敷ぶとんの上に竹シーツや寝ござを敷くのもいい。体と布団の間に隙間をつくれば、体感温度が下がるので、涼感が安眠を誘うだろう。

10.脳内物質を出そう!
 大脳の自律神経系には、心の安定をもたらすセロトニン神経系と快楽をもたらすドーパミン神経系がある。これらの神経系に情報を伝えるセロトニン、ドーパミンなどの脳内物質が、感情や気分をコントロールしている。

 脳内物質を増やすためには、朝陽をたっぷり浴びる、趣味の時間を楽しむ、よく話したり笑う、感動する、恋愛する、運動するなどが効果的だ。家族や恋人や友人たちとの和やかなひと時が、夏バテを癒してくれるだろう。生活習慣や過ごし方を改善して、元気に爽快に夏バテを乗り切ってほしい!
(文=編集部)