「株価チャート」について、基礎から実践法、特殊なケースまでを一気に学べる『株を買うなら最低限知っておきたい 株価チャートの教科書』(ダイヤモンド社)。クイズも付いている

写真拡大

『株を買うなら最低限知っておきたい 株価チャートの教科書』の著者、足立武志さんは長年、株式投資をしていますが、仕事は公認会計士です。つまり企業の数字を見ることについてはプロといえますが、それでも自分の投資ではファンダメンタルを過信しないようにしているそうです。それはなぜでしょうか。今日は、ファンダメンタル投資の弱点についての解説です。

ファンダメンタルが良好な銘柄の株価が下落する理由とは

 第1回のコラムでお話ししたように、今の日本株はファンダメンタルが株価に素直に反映される相場です。毎年増収増益を続けているようなファンダメンタルが良好な銘柄の株価は、長期間にわたって右肩上がりの上昇を続けています。

 しかし、ファンダメンタルが良好な銘柄なら必ず株価が上昇するかといえばそうではありません。

 ファンダメンタル面では問題ないにもかかわらず、株価が下がっている銘柄も数多くあります。そこには、「ファンダメンタルの罠」が隠れていることが少なくありません。

 どんなに株価の動きが強い銘柄でも、数日〜1ヶ月程度の一時的な株価調整は頻繁に起こりますが、ファンダメンタル面で問題ないと思われる銘柄の株価が数ヶ月〜1年以上もの間下げ続けることも決して珍しくないのはなぜなのでしょうか。

 考えられる原因は以下の2つです。

(1)確かにファンダメンタル面に問題はないが、株価が大きく上昇した後なので数ヶ月〜1年程度の長めの調整期間に入っている

(2)一見問題ないようにみえるファンダメンタル面が実は変調を来たし始めており、それが株価の下落として表面化している

株価下落の理由を正確に判断することは非常に難しい

 考えられる原因として2つを挙げましたが、株価下落がどちらによるものなのかを判断することは非常に難しいと言えます。

 もし判断を誤って、ファンダメンタルに変調をきたしているにも関わらずこれを見逃して、一時的な株価調整に過ぎないと判断して株の保有を続けていたら、やがては株価のさらなる下落に見舞われかねません。

 そしてさらに難しいのは、本当にファンダメンタル面に問題がないとしても、株価が先駆けて天井をつけて下落に転じてしまうようなケースもあるということです。どんなに好業績であっても、それを株価がすべて織り込んでしまえば、株価は天井をつけてしまうのです。

ファンダメンタルが今一つの銘柄の中から「お宝株」は生まれる

 逆に、ファンダメンタル面からみて今一つと思われる銘柄の株価が大きく上昇するケースも少なくありません。このケースのすべてではないものの、中にはファンダメンタルの好転をいち早く察知したプロ投資家の買いにより株価が上昇していることもよくあります。

 こうした銘柄の中には、安値から5倍、10倍と大きく上昇するものもあります。そんな「お宝銘柄」を、表面上のファンダメンタルが今いちだからといって無視すると、せっかくのチャンスを逃すことになりかねません。

 最近では、14年連続赤字から黒字転換を果たし、さらには中国人の爆買いによって業績が急速に伸びているラオックス(8202)の上昇初期がこれに当てはまります。ラオックスの株価は2年弱で10倍になりましたが、14年ぶりにようやく黒字転換を果たしそうだというのが上昇のきっかけでした。でも、これだけの理由をもってファンダメンタル面から積極的に買いを入れるのはまだまだ難しい状況でした。

ファンダメンタルの罠から抜け出すために「株価トレンド分析」を

 このように、ファンダメンタル面が好調な銘柄の株価が下落をしたとき、もしくはファンダメンタル面からはとても積極的には買えないような銘柄の株価が上昇したとき、それがどのような理由によるものなのかを自らが判断するのは非常にリスクが高いのです。

「相場は相場に聞け」という有名な投資格言がありますが、株式投資ではわからないものを無理にわかろうとするのではなく、株価の動きに耳を傾けることが重要です。

 ファンダメンタルは良好なはずなのになぜか株価は下落、ファンダメンタルはぱっとしないのに株価は大きく上昇・・・ファンダメンタルのみに固執するとこのような「ファンダメンタルの罠」に陥ってしまいがちです。ここから抜け出すために有効なのが「株価トレンド分析」なのです。

 ファンダメンタル面で絶好調に見えても株価のトレンドが下向きに転じたら、ひとまず持ち株は売って様子を見る、逆にファンダメンタル面が良くないように見えても株価のトレンドが上向きに転じたらひとまず買ってみる・・・たったこれだけで、ファンダメンタルと株価に矛盾が生じたときでも柔軟に対応することができるのです。

 次回は最終回。日経平均株価が2万円超えまで上昇した今、これからの投資戦略について考えてみたいと思います。