[国際ユースサッカーin新潟]代表としての「プライド」と「共有力」、U-17日本代表が後半4発で新潟選抜に逆転勝ち

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[7.19 国際ユースサッカーin新潟第2節 U-17日本代表 4-1 U-17新潟選抜 五十公野公園陸上競技場]

 第19回国際ユースサッカーin新潟は19日、新発田市五十公野公園陸上競技場で第2節を行い、ともに初戦白星スタートを切ったU-17日本代表対U-17新潟選抜戦は、4-1でU-17日本代表が逆転勝ちした。U-17代表は過去4年連続で敗れていた新潟選抜戦の連敗をストップ。20日の最終節(対U-17セルビア代表)を引き分け以上で終えれば、自力での優勝が決まる。

 判断スピードが上がらず、一つひとつのプレーがどこかリアクションになってしまっていた前半を0-1で折り返した。U-17代表は後半開始からいずれもU-18代表での経験を持つMF佐々木匠(仙台ユース)、FW吉平翼(大分U-18)、MF冨安健洋(福岡U-18)、そしてFW岩崎悠人(京都橘高)を同時投入。明らかにスイッチの入った後半、U-17代表はシュート数14-0で新潟選抜を圧倒して逆転した。開始27秒にいきなり岩崎がシュート。ボランチの佐々木が鋭い仕掛けを繰り返し、前線の吉平やボランチの冨安が守備のスピードを一段階上げる。「相手は同じ学年のこっち(代表チーム)を目指しているメンバーたち。選ばれた方のプライドもある。絶対に負けたくなかった」(吉平)。その思いがチームに迫力を生んだ。

 そして、チーム全体のスピード感を上げたのは投入された選手たちが持っていた「共有力」。内山篤監督は「前半は個人が一生懸命するけれど、(意図の)共有がなされないから、相手が動かない。判断が遅いから、穴ができてこない。後半の方が前向きに、湧き出すように、ボールのジャッジが早いから相手がついて来れない。そこが差かな」。前半はそれぞれが一生懸命プレーしていたが、個々のプレーになってしまっていた。それが変わった後半。吉平は今回の新潟合宿中に同じ練習場で行われていたU-18代表候補合宿の練習を見て、声でコミュニケーションを取る部分の差を感じていたという。「いろいろと自分から要求する部分だったりとか、要求される部分はもちろんですけど、自分が初めてこの合宿に参加した時、しゃべるのが少ないかなと思って、これがふつうなのかなと思っていたら、18(代表)はやっぱりどんどんしゃべっているし、そういうところが足りないのかなと。誰かがしゃべればみんなしゃべると思うので、いろいろな人への声がけを意識している」。声も含めてもたらされた「共有力」の向上。先発メンバー以上に経験を積んできている選手たちによって、個の部分、また連動性を高めたチームは力を見せつけて逆転勝ちをおさめた。

 U-17代表はこの日、初戦から先発7人を入れ替えて、“苦手”の新潟選抜戦を戦った。GK脇野敦至(東福岡高)、4バックは右SB田中陸(柏U-18)、CB森岡陸(磐田U-18)、CB橋岡大樹(浦和ユース)、左SB杉岡大暉(市立船橋高)の4人。中盤は渡辺皓太(東京Vユース)、伊藤洋輝(磐田U-18)のダブルボランチで右MF田中康介(京都U-18)、左MF安井拓也(神戸U-18)、2トップは菅大輝(札幌U-18)と伊藤涼太郎(作陽高)がコンビを組んだ。一方、昨年の長崎国体4強メンバーが中心の新潟選抜はMF関口正大主将(新潟明訓高)やセルビア戦決勝ゴールのCB阿部晃大(新潟明訓高)らが先発した。

 前半、新潟選抜がショートコンビネーションから関口やMF榎並洸(新潟明訓高)がシュートへ持ち込んだのに対し、U-17代表は13分に左サイドから思い切りよく仕掛けたSB杉岡が左足シュート。さらに16分には田中陸のループパスを華麗にコントロールした伊藤が右足シュートを放つ。その後もU-17代表はボールを握っている時間が長かったが、攻守ともに連動性を欠いていい形でボールを奪ったり、攻め切るシーンをつくることができない。個々の良さをなかなか結び付けられない日本に対し、新潟は前線からのアグレッシブな守りに加えてCB小川朋広(新潟西高)ら最終ラインが奮闘。そして攻撃面ではサイドからの個人、グループでの仕掛けを見せるなど、藤田敬三監督が「今までで一番アグレッシブだったし、スピード感もあった」と説明した内容の試合でU-17代表に食い下がった。

 そして引くことをせず、同年代のU-17代表相手にチャレンジャー精神を持って臨んでいた新潟選抜が先制点を奪った。前半42分、新潟は右サイドへ展開したボールを懸命に追いかけた右SB小林将真(新潟明訓高)がタッチライン際でのスライディングでボールを残すファインプレー。このパスを受けたMF楜沢健太(帝京長岡高)が縦へ切れ込んでクロスを上げると、ニアサイドへ飛び込んだFW福間悠仁(新潟明訓高)が右足ダイレクトでゴールへねじ込んだ。

 だが、後半開始から伊藤洋、伊藤涼、渡辺、田中康に代えて佐々木、吉平、冨安、岩崎を投入したU-17代表は、佐々木や杉岡、冨安が左サイドから次々と仕掛けるなど後半開始から怒涛の攻撃を見せると11分、吉平の左クロスがDFのハンドを誘ってPKを獲得。吉平の右足シュートは一度、GK杉本陸(新潟明訓高)に止められたが、こぼれ球を吉平が自ら押し込んで1-1。さらに16分には安井の左クロスに迫力を持って飛び込んだ菅が頭でゴールへ叩き込んで逆転した。

 直後に安井に代えてこちらもU-18代表経験者のMF黒川淳史(大宮ユース)を投入したU-17代表は27分に冨安の素晴らしいインターセプトから右サイドをえぐった岩崎がクロスボール。これを吉平が頭で合わせて3-1とした。32分に杉岡とこちらもU-18代表を知るDF森下怜哉(C大阪U-18)を入れ替えたU-17代表は、決定的なシーンをつくり続ける。新潟GK杉本の奮闘の前に阻まれるシーンも多かったが、それでも44分に「結果を残してやろうと思っていた」という黒川が左サイドからドリブルシュートを決めて4-1で試合を終えた。前半からハイペースで飛ばした新潟の動きがやや落ちたこともあるが、「(実際に上の年代の)18(U-18代表を)経験している選手が多い」(黒川)という選手たちの個と連動性がつくり出した違い。クロスに勢いを持って入ることなど、14日からの合宿で取り組んできた部分も発揮したU-17代表が2連勝で優勝に王手をかけた。

[写真]後半27分、U-17日本代表は吉平が頭でこの日2点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)