[異常気象]を逆手にとる投資術
5月時点で2日連続の真夏日を観測したかと思えば、今年の夏は冷夏だという。毎年のように“異常気象”と騒がれているが、これは日本に限らず世界的に起こっている現象。では、そこに投資機会はないのか。検証してみた

◆エルニーニョで穀物は歴史的高値圏。世界的な天候不順に勝機あり!

 ここ数年、夏場になると常套句のように繰り返されるのが「世界的に異常気象」というニュース。事実、ここ10年間の世界の平均気温は観測史上最高値を更新していて、日本でもゲリラ豪雨、竜巻被害などが世間を賑わしている。もはや、異常気象自体が“通常”という状況である。

 地球規模での気候変動について、その原因を追求するのは本稿の趣旨ではないが、世界的な天候不順が投資市場にどのような影響を及ぼしているのかは気になるところだ。楽天証券のファンドアナリスト・篠田尚子氏は次のように語る。

「民間気象情報で世界最大手のウェザーニューズ(東1・4825)という会社があります。主に、陸海空の交通機関向けに気象情報を提供する同社は、気象アプリなど個人向けビジネスも積極的に展開しています。直近5年間で同社の株価が約4倍に上がったことは、気象問題への人々の関心の高まりを端的に表しているといえます」

 天候リスクによって生じる企業の減収を補償する、天候デリバティブという金融派生商品もあるが、日本では総合商社をはじめとした民間企業向けに、オーダーメイドで設計されることが一般的。では、少々言い方は悪いかもしれないが、個人投資家がこの世界的な天候不順に“便乗”するにはどんな投資手法が考えられるのか。「短期なら、穀物への投資が面白いのではないでしょうか」と語るのは商品アナリストの小針秀夫氏。

◆カリフォルニア州に端を発する干ばつ被害

「異常気象が続けば、穀物の生産量が減少し、価格は高騰します。商品の世界では、収穫期にあたる5、6月から9月にかけては“天候相場”といわれ、価格変動に大きく影響します。特に、今年は’10年以来となるエルニーニョ現象の発生が報告され、秋にかけて続くとみられています。’10年の例でいえば、農産物全体が収穫高の減少により、上昇を続けました」

 エルニーニョ現象とは、海面水温の高い状態が半年以上続く現象で、世界的に異常気象をもたらすといわれている。

「アメリカ干ばつモニターが発表した北米の干ばつ度合いによれば、現在、カリフォルニア州での干ばつが危機的状況に陥っていて、すでに同州で生産されるオレンジ、アーモンドは高騰しています。ただ、この状況はさらに拡大することが懸念されているので、これから目をつけるのであれば、大豆、トウモロコシ。これらは、遺伝子組み換え技術の応用でハイブリッド品種を生み出し、収量を増やしてきていましたが、やはり自然の力には敵いません。現在は高温、干ばつで過去最高値を更新した’12年のパターンが再来する可能性があるとの見方が一部にはあり、6月30日時点ですでに、急騰の兆しを見せています」

 トウモロコシといえば、ポップコーンやシリアルなどの食品を想像しがちで「供給が減ったところでそんなに需要があるのか?」と思う人は多いことだろう。だが、先月、台湾のクラブで起きた大規模火災の原因となったカラーパウダーをはじめ、石油の代替エネルギーであるバイオエタノールや家畜飼料など、工業用としての用途が大半で、世界的に需要は増加傾向だという。

「’12年の例でいえば、シカゴ・コーンの先物価格は8ドル49セントまで上昇しました(現在4ドル近辺で推移)。主要生産地であるインディアナ、オハイオあたりの干ばつが進むのであれば、絶好の仕込み時といえます」