日本有数の「暑いまち」として知られる群馬県館林市。「日本一HOTなまち」として、暑さをウリにした町おこしも盛んに行っている。つい先日にも、2015年の全国最高気温である「39.3度」(7月16日時点)を叩きだしたばかりだ。だが、そんな館林には黒いうわさが絶えないという――。

その噂とは、気温を計測する「アメダス観測所」を、

「わざと温度が高くなるような場所に設置しているのではないか」

といった疑惑だ。その真相を確かめるべく、Jタウンネット編集部は現場へと向かった。

「ズル林」疑惑の現場へ、実際に行ってみた

館林市のアメダス観測所は、美園町にある館林消防署の敷地内に設置されている。駅から歩いて30分ほど、住宅街の一角といえるような場所にその消防署はあった。うだるような暑さにやられ、少しめげそうになる筆者。確かに、消防署近くは周りに比べて少し暑いような気もしないでもない......。

そもそも、アメダス観測所の設置場所は「周囲の地形、建物、樹木等の影響をできるだけ避けるよう」、気象庁によって定められている。それでは、館林のアメダスが規定に反していないか、ネットで指摘されている疑惑をもとに検証していこう。


これが館林のアメダス観測所
日当たりがよくなるように切られた木

疑惑(1)観測所を囲むように大きな建物があるため、風通しが悪いのでは?

確かに、アメダス観測所の周りには大きな建物が多いのは事実だ。観測所を取り囲むように、団地や車のディーラーなど巨大な建造物が乱立している。ちなみに、団地の敷地内には、「関係者以外立ち入り禁止」「あぶない!!」などと書かれた貼り紙が貼られた謎の建造物がある。なんだかとっても疑わしいが、確たる情報は残念ながら見つけることが出来なかった。


団地には「謎の建造物」が...
ネッツトヨタの大きな店舗も

駐車場を挟んではいるが、館林消防署もそれなりに規模の大きな建物である。つまりは、観測所の3方を大きな建物が囲んでいるのだ。筆者の個人的な感覚にはなるが、観測所付近は少し風通しが悪くムシッとした印象だ。


後ろが消防署の建物

疑惑(2)駐車場の車で「アイドリング加熱」している?

近くに車は停まっているが、もちろんどの車にもエンジンはかかっていない。さらに、車とアメダス敷地の間には1メートル以上の距離が構造上空くようになっている。さすがに、この疑惑は無理がありそうだ。


停まっている車は多いが...
目算だが、1メートル以上の距離は確実にありそう

疑惑(3)「ネッツで加熱」は本当なのか

すぐ側に「ネッツトヨタ 群馬館林店」の店舗があることから、ネット掲示板などでは「ネッツで加熱」「ネッツは熱源」と揶揄する声が多い。だが、この疑惑にも無理がありそうだ。


ネッツトヨタ群馬館林店

むしろ、店舗の周りには広々としたスペースがとられているため、ネッツトヨタがなければより風通しは悪くなっていただろう。


広々として、風が心地よい

最後に、気温計を使ってチェック

最後の検証として、持参した気温計を使って実際の気温をチェックしてみたい。気温を計った時刻は、およそ13時30分ごろだ。また、計測に当たっては世界気象機関(WMO)の規定を参考にしている。まず、アメダス観測所から50メートルほど離れた場所で気温を計ってみた。ここでは、気温計は「35度」を指していた。


続いて、アメダス観測所のすぐ近くで計ってみた。すると、気温は「36度」に。先ほどに比べ、1度気温が上昇している。


ちなみに気象庁の発表によれば、13時の気温は34.3度で、14時の気温は36.3度だったという。ちなみに、同日の最高気温は14時10分に計測された37.3度だったそうだ。このデータをどうとるかは、あなた次第だが......。