人を掃除から解放してくれるナノテク塗料の開発、進む

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蓮の葉に落ちた水滴が丸くなり、転げ落ちるのをみたことがあるだろう。ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者チームが、科学誌『Science』に超撥水性で物理的接触にも強い塗料を報告した。水滴がこの塗料を塗った材料表面を滑り落ちることで、勝手に「ミニ掃除機」の役割を果たしてくれるというのだ。

それほど遠くない未来に、自動車や衣類、コップや新聞、雑誌といった日用品は、“自己洗浄”できるようになるかもしれない。つまり、人は掃除から自由になれるということだ。

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この新しい(信じられないほど水を弾く能力をもっている)超撥水性の塗料は、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者チームによって発明されたもので、その内容は科学誌『Science』に詳しく報告されている。

この塗料は、二酸化チタンのナノ粒子でできており、金属・ガラス・紙・繊維など多彩な素材に塗布できる上に、摩擦に対する耐久性が極めて高い。このため、幅広い分野の産業用途への展開が期待できるわけだ。

そのメカニズムとは、どのようなものなのだろうか?

説明してくれたのは、論文の筆頭研究者であるヤオ・ルーだ。「撥水性の塗料をコーティングした表面において、水は球状の水滴となり転がる性質があります。そのとき、水滴の通り道にある汚れやウイルス、細菌なども一緒に巻き込んで流れるため、“小さな掃除機”のように機能するのです」

もっとも、この塗料が歴史上最初の撥水性素材というわけではない。しかし、二酸化チタンのナノ粒子をベースにした彼らの特殊な塗料には、商業利用する上で克服すべき2つの大きな障害を解決できるという。それはすなわち、「摩擦」と「油分との接触」だ。とくに後者については、いわゆる油分は撥水性の表面特性を失わせてしまうことがこれまで大きな問題だった。

研究者らは、材料に含まれるナノ粒子の形状を研究することにより、油に完全に浸されているときであっても撥水作用を保持できる塗料の開発に成功した。

「わたしたちは、この塗料がさまざまな材料の表面において、常に機能することを示しました。そしてそれは、日常生活で発生する摩擦や摩耗を想定した極限的な状況でさえも同様です」。さらにルーは続ける。「例えば、自動車の塗料はよく傷がつき、磨り減ります。わたしたちはこの自己洗浄塗料が、クルマでの使用でも耐えられる確証を得たいと考えています」

研究者らは、彼らの発明をこのような実用的な応用以外にも展開して広げていきたいと考えている。実際にルーは、「この撥水性を生かし、水を利用した芸術作品をつくるというクリエイティヴな分野で利用できるのではと考えています」と言う。

「実はこれは、わたしが本来行っている研究とは別のもので、個人的な自由な時間で実験したいと思っていることなのです」と、彼は言う。

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