先日、日本医科大学衛生学公衆衛生学の可知悠子氏らから、家計と子どもの肥満に関する研究結果が報告された。

 可知氏らは、厚生労働省の2010年の調査から、6〜11歳・397人と12〜18歳・397人のデータを抽出。家庭の収入・支出、親の最終学歴、職業といった社会経済因子をそれぞれ3段階に分け、肥満との関連を調べた。世帯年収は、200万円未満(低位群)、200万〜600万円未満(中位群)、600万円以上(高位群)としている。

 BMI(体格指数)で肥満度を測った結果、小児期(6〜11歳)の12.3%、青年期(12〜18歳)の9.1%がBMI25以上の肥満だった。さらに、社会経済因子ごとに肥満との関連を分析したところ、年収が高位群の家庭に比べ、中位群の家庭の青年は肥満リスクが2倍以上、低位群の家庭では1.5倍以上高いことが示された。毎月の支出額で比較すると、低位群の青年は、高位群の青年より肥満リスクが約3.5倍高いことが判明している。

 一方、小児期は肥満と社会経済因子との関連を認めなかった。可知氏は「家庭の経済状況が肥満に与える影響を、学校給食が抑えているのでは」と考察している。

 実際、欧米で同様の調査を行うと、家庭の経済状況が小児期により大きく影響するのが一般的だ。しかし、本調査では小児肥満に関する収入格差は認められなかった。何かと文句がつけられる学校給食だが、満足に食べられない時代から一貫して、子どもたちの健康を守っているようだ。

 近年の研究では、子ども時代の肥満は成人以降も健康リスクであり続けることが示されている。糖尿病など肥満性疾患だけではない。つい先日も、10代の肥満はダイエットをしたとしても、将来の大腸がんリスクを2倍に上昇させるという報告があったばかりだ。

 子ども時代から健康リスクを負わせるのは親の本意ではないだろう。まして給食が「飽食日本」で最後の砦となっているとは、少々情けない。子どもの肥満を予防するのは、各家庭の食と健康に関する方針なのだから。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)