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京都大学は7月17日、ヒトiPS細胞からヒト始原生殖細胞を効率よく誘導する方法の開発に成功したと発表した。

同成果は同大学大学院医学研究科の斎藤通紀 教授(兼 京都大学物質-細胞統合システム拠点 主任研究者、京都大学iPS細胞研究所 研究員)、同研究科の佐々木恒太郎 特定研究員、横林しほり 特定助教らの研究グループによるもので、7月16日(現地時間)に米科学誌「Cell Stem Cell」のオンライン版に掲載された。

ヒト始原生殖細胞は卵子や精子のもととなる細胞で、その発生機構はほとんど解明されていない。

今回の研究では、遺伝情報を、細菌由来の遺伝子分解・切断酵素などを用いて改変するゲノム編集技術を用いて、ヒト始原生殖細胞で発現するとされている2つの遺伝子「BLIMP1」と「TFAP2C」が発現すると、緑色の蛍光を発するヒトiPS細胞を樹立。そのiPS細胞を用いることで、ヒト始原生殖細胞様細胞を効率よく誘導する培養条件を突き止めることに成功した。得られたヒト始原生殖細胞様細胞は、ヒトの始原生殖細胞と良く似た遺伝子発現パターンを示し、初期のヒト始原生殖細胞に似た状態であることが示唆されたという。

また、あらかじめゲノム編集をiPS細胞に用いなくても、細胞を選別するために使われる細胞表面マーカーで生きた細胞を標識することで、ヒトiPS細胞から誘導したヒト始原生殖細胞様細胞を高い純度で単離できることも判明。これにより、原則的にはどのiPS細胞からもヒト始原生殖細胞様細胞を誘導・単離することができるようになった。

今後、同研究成果をベースにヒト生殖細胞の発生機構の解明が進み、ヒト精子やヒト卵子の誘導が可能になれば、遺伝情報継承機構だけでなく不妊症や遺伝病の発症機序解明につながる可能性がある。