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昨シーズンのフィギュアスケートは、シニア移行1年目の本郷理華選手のグランプリ(GP)ファイナル出場や、宮原知子選手の世界選手権銀メダル獲得など、特に女子において若い選手の台頭が目立ちました。

一方の男子でも、ジュニアの宇野昌磨選手が全日本選手権で羽生結弦選手に次ぐ2位に入る躍進を見せるなど、メキメキと成長をとげているスケーターがいます。今回は若手の注目女子スケーターを紹介した前回に続き、シニアのGPシリーズにまだ出たことのない男子の注目選手を紹介します。

○一つひとつの要素で加点が取れる宇野

まずは宇野選手です。伊藤みどりさんや浅田真央選手をはじめとする多くの名選手を育て上げた山田満知子コーチに師事し、幼少の頃から浅田選手が気にかけるだけの才能をリンク上で見せていました。ノービスでも注目されていたため、すでにご存じの方も多いかもしれません。

以前から表現力には定評がありましたが、そこに昨シーズンから習得したトリプルアクセルや4回転ジャンプも加わり、ジュニアGPファイナルや世界ジュニア選手権でも優勝を飾りました。また全日本選手権で2位になったことにより、四大陸選手権の代表にも選出。初のシニアの国際大会にも出場し、多くの経験値を得ました。

4回転などのような難しい種類のジャンプの習得は、大きな得点源となります。ただ、宇野選手の武器は、一つひとつの要素に加点がされる機会が多いことだと私は思っています。スピンの入り方も独創的で、ジャンプにも流れがあり、プログラムの随所に工夫がされているなと感じています。今シーズンからGPシリーズに参戦し、シニアに本格的に移行となります。シニアの選手の中でどこまで上位に食い込んでいってくれるのか、非常に楽しみです。

○山本草太や佐藤洸彬にも注目

ジュニアGPファイナルや世界ジュニア選手権で、宇野選手と共に表彰台に立った山本草太選手も注目です。山本選手も昨シーズン飛躍的に活躍し、知名度が上がった選手ではないでしょうか。今年で高校生になりますが、すでにトリプルアクセルを習得し、試合での「魅せる演技」には迷いがありません。「自分がこうなりたい」という理想像をしっかりと持っているように感じます。

宇野選手がシニアに上がることにより、山本選手はこれまで以上にジュニアの選手に追われる立場になります。それでも今の山本選手を見ていると、追ってくる選手をより高いレベルまで引っ張っていってくれる存在になるのではないかと思います。

独特の世界観を持っており、表現することを楽しんでいるように演技をするのは佐藤洸彬選手です。昨シーズンにトリプルアクセルを確実に習得したことにより、見事に世界ジュニア選手権の代表に選ばれました。

今シーズンからはジュニアの年齢を卒業したことにより、シニアに移行となります。岩手県出身で、リンク事情に悩まされた経験もあると聞いたことがあります。コツコツと努力して手に入れた成果を生かして、2015-2016シーズンも活躍してほしいです。

○2人のライバルによる新しい風に期待

そして最後に、今年からジュニアに上がる選手にもスポットを当てたいと思います。

光る才能を持った選手は数多くいるのですが、その中でもぜひ注目していただきたいのは、同い年の三宅星南選手と島田高志郎選手です。2人とも長沢琴枝コーチに師事しており、近いところで切磋琢磨(せっさたくま)し、共に高いレベルまで来た選手です。

難易度の高いジャンプや表現力など、お互いの持ち味は似通っており、あまり差もありません。一方で、「普段の練習からお互いを意識し合っているのだな」ということを見ている側はひしひしと感じます。

2人とも踊ることや表現をすることに恥ずかしさを感じていない点も、その魅力だと思います。新鋭の氷上での熱いライバル物語が、ジュニアの世界に新しい風を運んでくれるのではないかと期待しています。

男子のジュニアで勝つためには、トリプルアクセルが必須となってきました。どの段階で習得するのかが一つのカギとなりますが、その過程をぜひ見守りながら観戦をしてみてください。

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○筆者プロフィール: 澤田亜紀(さわだ あき)

1988年10月7日、大阪府大阪市生まれ。関西大学文学部卒業。5歳でスケートを始め、ジュニアGP大会では、優勝1回を含め、6度表彰台に立った。また2004年の全日本選手権4位、2007年の四大陸選手権4位という成績を残している。2011年に現役を引退し、現在は母校・関西大学を拠点に、コーチとして活動している。

(澤田亜紀)