「まれにみる高いポテンシャルの“ガラパゴス化”を、いますぐ生かすべき」齋藤精一:CREATIVE HACK AWARD審査員からのメッセージ(3)

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さまざまな条件、あるいは独自の感性によってもたらされた日本のガラパゴス化は、ことクリエイティヴにおいては武器にも弱点にもなりうると、ライゾマティクスの齋藤精一は考えている。「違う視点からものごとを見る」ことを「ハックの基本」と捉えているという齋藤に、アイデアをかたちにすることの重要性、そしてCREATIVE HACK AWARDの存在意義を訊いた。

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齋藤精一 | SEIICHI SAITO
1975年神奈川県生まれ。ライゾマティクス代表取締役/クリエイティヴ&テクニカル・ディレクター。
建築デザインをコロンビア大学(MSAAD)で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。その後 ArnellGroup にてクリエイティヴとして活動し、03年の越後妻有アートトリエンナーレでアーティストに選出されたのをきっかけに帰国。アート制作活動と同時にフリーランスのクリエイティヴとして活動後、06年にライゾマティクスを設立。建築で培ったロジカルな思考をもとに、アートやコマーシャルの領域で立体作品やインタラクティヴ作品を制作する。09年〜13年に、国内外の広告賞にて多数受賞。現在、東京理科大学理工学部建築学科非常勤講師も務める。

CREATIVE HACK AWARD 2015とは?

──齋藤精一さんご自身の、「クリエイティヴ」を「ハック」した事例を教えてください。

ハックという言葉はもともと、辞書を調べると以下のような意味が出てきます。

〈ものを〉たたき切る、ぶった切る、切り刻む、めった切りにする / cut or chop with repeated and irregular blows.

〈否定文で:事業・計画などを〉うまくやり抜く / to clear (a road, path, etc.) by cutting away vines, trees, brush

〈プログラミングに〉取り組む / to devise or modify (a computer program), usually skillfully.

〈コンピューターシステム・データなどに〉不法に侵入し改変する、ハックする / to circumvent security and break into another’s server, website with malicious intent.

上記以外にも、いまの時代ではさまざまな意味が新たにつくりだされていると思います。ぼくの中でのHACKというのは、簡単にいうと【ちがう視点から対象物を見ること】だと思います。

例えば広告の案件であれば、広告表現だけではなく、商品自体も変えてしまう考えをするとか、既存のあり方や価値観、メディアを疑って見るとか。現代においては、同じことの繰り返しでは通用しない時代にいよいよなったと思うので、自分自身も常にハックする【=疑う・再考する・価値観を変える・視点を変える】ことを考えています。

最近の事例だとJINSさんの案件で商品開発から参画しているJINS MEMEや、BtoBが主体だった企業のBtoCドメインづくりや、ブランディングをさせて頂いているsevendreamersさんの案件などにおいて、HACKの思想が実践できているかなと思います。

どの案件にも色々な視点やフェーズでかかわらせていただいており、いまだからこそできる商品づくりや、広告や販売表現までを担わせていただいています。

──これまでのクリエイティヴ活動において、最も苦労されたことを教えてください。そしてその苦労を、どのようにして突破したのでしょうか?

苦労の連続です! 苦労があるからこそ面白いのですが(笑)。技術の理解度が足りなかったときや、違うフィールドの人と同じ言語で話せなかったとき、あるいはチーム内の個人が同じ強度をもって同じ方向を向いてできなかったときなど、苦労の種類はさまざまです。

ただ、いつも突破するのは個人能力の力と言うより、チーム能力の高さで突破をしてきたと思います。全く違う知識をもった人たちが、同じプロジェクトを通して刺激し合い、学び合い、高めていくことができ、それによってチーム力が向上すると、必ず突破できるといつも思っています。いい作品はいつも、そういった最高のチームからしか生まれてこないと思っています。

──齋藤さんからみて、いまの日本のクリエイティヴの強みと弱みを、それぞれ教えてください。

日本のクリエイティヴの1つの問題点は、昔から指摘されているように、ガラパゴス化にあることは間違いありません。ただ、クオリティや考え方、綿密さなど世界トップクラスだと思うので、まれにみるポテンシャルの高いガラパゴスですよね。

なので、われわれのような少数精鋭のチームもどんどんと海外に出ていける意識とコミュニケーションスキルをもつだけで、世界のどこでも仕事ができると思います。いますぐにでもできることなので、どんどん挑戦しています。

──CREATIVE HACK AWARDの審査員として、どのような作品を期待しているか教えてください。

過去2年もさまざまな作品に出会えましたので、毎年非常に楽しみにしています。クリエイティヴ系のアワードは国内外にさまざまありますが、このCREATIVE HACK AWARDは、従来のカテゴリーにはあてはまらなかった作品や考え方も含め、すべてを包含することができるアワードだと思っています。

実際になにかをつくれる人、つくることはできないけどアイデアを考えられる人、アーティスト、いまは趣味でやっていることを将来事業化したい人……。そんな色々な人が、違った角度と独自のHACKの解釈をもって応募してくれることを期待しています。

どんな方向でも良いので、強い意識や志をもった人の作品を沢山見たいと思っています。

──今回は、日本以外の国からも、積極的に応募を募る予定です。海外のクリエイターに向けて、メッセージをいただけますでしょうか?

CREATIVE HACK AWARDの考えを海外に広めていくのは非常にいいことですし、日本人にとっても海外のクリエイターにとっても、同じ土俵で評価されるいい機会になると思います。文化が違えば必ずHACKの解釈が違うと思うので、そのような作品にどのくらい出会うことができるのか、非常に楽しみです。

ぜひ、積極的に応募してください! 必ず将来が変わるきっかけになります。

CREATIVE HACK AWARD 2015 審査員からのメッセージ

「『ハック』という言葉をハックしてしまう作品を期待します」佐々木康晴(電通)「常識をハックしなければ、成功はできない」笠島久嗣(イアリンジャパン取締役)

【応募期間延長決定!最終締切は10月7日正午】CREATIVE HACK AWARD 2015

グラフィックや動画、3Dプロダクトから企画書まで。新しい世界をつくる新しい発想を「ビジネス」に転換させるチャンスを『WIRED』が用意しました。締め切りは2015年10月7日(水)。エントリーおよび作品応募はエントリーページにて受け付けています。審査員からのメッセージなどの関連記事はこちらで読めるほか、CREATIVE HACK AWARDのFacebookページTwitterでも、最新情報をお伝えしています。

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