子どもは親の見ていないところで成長する

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 いよいよ夏本番。子どもたちにとっては楽しい夏休み目前だ。ところが、核家族化が進む現代、働く親にとっては、子どもの留守番に頭を悩ませる時期でもある。

 大人たちが「自分が子どもの頃は、近所の空き地で一日中遊んだ......」と昔語りをしても、現代事情とは異なる。「暗くなったら帰ってきなさい」という時代ではないのだ。

 「お金は持たない」「保護者のいない家にはあがらない」「誰とどこで何をして何時までには帰る」などが約束されたり、校則で決まっていたり。さらに邪魔したお宅に負担をかけないように水筒やおやつを持参させ、子ども専用携帯をぶら下げて、GPSで居場所を親がチェックする......。子どもを危険から遠ざけるための手段は重装備だ。

「危険」な遊びはスポーツよりケガをする率が低い!?

 先頃、「子どもにとって、親の監視のない状況で遊ぶことは身体的にも社会的にも有益である」ことが、新たな研究で明らかにされた。米ブリティッシュ・コロンビア大学助教授のMariana Brussoni氏率いる研究グループは、木登りや近所の探検など、「危険」を伴う遊びが子どもの発達に有益であり、身体活動量も増加させることを示した。

 『International Journal of Environmental Research and Public Health』(オンライン版)に掲載された今回のレビューでは、8カ国で計5万人の子ども(7〜15歳)を対象に、さまざまな「危険な」遊びについて検討した21件の論文に着目した。

 全体として、自由な遊びが子どもに特定の危険をもたらすことはなく、ある研究では、治療を要するケガをするリスクは、スポーツよりも「自由遊び」の方が低いことが判明したという。さらに、今回のレビューによれば、子どもたちは保護者の監視を伴わない状況で、互いに折り合いをつけながらうまく付き合い、独自のルールを作る方法を学んでいくというのだ。

自分で危険を回避・調節・判断できる子どもに

 また、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センター小児研究センターのRebecca Berry氏も、「子どもには大人の邪魔が入らない活動が必要だ」と述べる。

 大人はついつい遊び時間を主導し、ルールを教えて、言うとおりに守る子を「いい子」とする。だが、常に大人が主導してルールを定めてしまうと、子どもは自分に自信がもてずに「外部」に頼るようになってしまう。

 もちろん親は子どもが過ごす環境の安全性を確保する必要があり、また、子どもには個人差がある。しかし、公園の中でも「だめ、降りなさい!」「もっとゆっくり!」などという親の声がよく聞かれると、Brussoni氏は指摘する。

 子どもには個人差があり、特に危険を好む子もいるため、親は我が子の「資質」を考慮する必要がある。しかし、転んだり、膝を擦りむいたり、心を傷つけられたりすることを一切させてもらえない子どもは、未知のものはすべて危険だと解釈し、困難に立ち向かう自分の能力に疑いをもつようになってしまうこともあるという。

 また、大人と同じように、子どもにも「誰の指示も受けない時間が必要だ」と、Brussoni氏は指摘している。

 四六時中、親の目を気にしてしまう現代の子どもたち。大人は、口うるさくなんでも禁止して、監視しようとする前に「自分たちが現代の子どもだったら」と一度立ち止まって考えてみる必要があるだろう。
(文=編集部)