国内組中心で臨む東アジア杯…競争を勝ち抜き、23人枠に滑りこむのは誰か

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文=河治良幸

 中国の武漢で行われる東アジアカップに向かう男子の日本代表は7月11日に予備登録メンバー50人が発表された。MFにFCソウル(韓国)の高萩洋次郎が選ばれた他は全てJリーグからの選出となった。

 前回のメンバー発表会見でハリルホジッチ監督が語っていた通り、国内組にチャンスが与えられる大会になるが、最年少20歳の喜田拓也(横浜F・マリノス)や浅野拓磨(サンフレッチェ広島)から最年長32歳の今野泰幸(ガンバ大阪)まで幅広い年齢の構成となっている。

 A代表で常に選ばれているメンバーはもちろん全て入っているが、ハリルホジッチ監督が就任して最初の招集となった3月の時点でバックアップメンバーとして選ばれていた車屋紳太郎(川崎フロンターレ)や5月のミニ合宿に参加した杉本健勇(川崎)、手倉森誠コーチが監督をつとめるU−22代表で主力を務める遠藤航(湘南ベルマーレ)などが名を連ねている。

 またこれまでの長いキャリアで広く実力が認められながら、日の丸とは無縁だった大谷秀和(柏レイソル)や藤田直之(サガン鳥栖)の様な経験豊富な“未招集組”も入っており、この時点で50人のラージファミリーではあるが、これまでの経歴や年齢にあまり関係なく、Jリーグで高いパフォーマンスを見せ、指揮官やスタッフが実力を評価すれば選ぶ傾向が色濃く出ている。

 8月1日に北朝鮮、4日に韓国、8日に中国と対戦する正式メンバーは23人に絞り込まれる。ここで高いパフォーマンスを発揮し、9月のW杯アジア二次予選2試合を戦うメンバーに入る選手が出てくるか興味がわくところだが、まず気になるのはリオ五輪を目指すU−22代表の選手たちがどれだけ正式メンバーに食い込めるか。

 DF陣で興味深いのは川口尚紀(アルビレックス新潟)や山中亮輔(柏)など若いSBが多く名を連ねていることだ。酒井高徳、酒井宏樹、長友佑都、内田篤人と4人の欧州組が有力候補として存在するポジションだが、東アジアカップは新戦力を発掘するなかなか無いチャンス。特に右SBは国内組でもCBを本職とする選手が候補に入る状況でもあるだけに、アギーレ時代に代表経験のある松原健(新潟)は右膝を負傷中で同大会の参加が難しいと見られるが、23人に選ばれれば初選出となる同僚の川口は大いにアピールしたいところだ。

 GKはミニ合宿で呼ばれた六反勇治(ベガルタ仙台)とU−22代表の守護神である櫛引政敏(清水エスパルス)がリスト入り。CBは前回が初招集の丹羽大輝を含む代表経験者が占めるが、大卒1年目ながら名古屋でここのところスタメンに定着している大武峻が入った。大武は3月の開幕早々にトレーニングで鎖骨を骨折するアクシデントに見舞われたが、復帰から猛アピールした。

 188cm・83kgという恵まれた体格を持ちながら、非常に研究熱心で高い戦術理解力を備えるストッパーがハリルホジッチ監督の要求にどこまで応えることができるのか。このリストから正式メンバーに選ばれるのは困難ではあるが、もし選出されれば日本にやや足りない強さと高さをもたらし、また今後の伸びしろからも非常に面白い存在であることは間違いない。

 ボランチに経験豊富な選手が多く顔を揃えていることも目を引く。本来はキャプテンでもある長谷部誠が主軸を担うポジションではあるが、通常23人のうち4人が選ばれるメンバー構成は流動的な状況だ。柏木陽介(浦和レッズ)はザッケローニ時代の初期には常連だったが、ブラジルW杯が迫ってきた段階では一度も招集されなかった。

 当時から今年のファーストステージで優勝した浦和での存在感も高まっているだけに、代表復帰が待望される選手の1人ではある。前回は選外もハリルホジッチ監督が名指しで高い評価を語っていた青山敏弘など、ボランチのポジションからしっかりボールを捌ける選手が揃う。

 ボランチは攻守の切り替え、球際の強さ、縦にパスを付ける意識といったハリルホジッチ監督がこれまで強く求めてきた基本的な要素を最も求められるポジションであり、特に東アジアの3カ国に対しては勝負のポイントにもなってきそうだ。

 それらを遠藤や喜田の様な若い選手も含め、しっかりと出していけるかどうかが問われるが、同時に今後のアジアの戦いではシンガポール戦の様な相手にブロックを作られたシチュエーションで、試合をコントロールしながら効果的な崩しの起点になる能力も重要になってくる。

 攻撃的MFは3月のバックアップメンバーだった高萩に加え森岡亮太、遠藤康、選ばれればザッケローニ時代にキリンカップ2011で選出されて以来となる柴崎晃誠(広島)という中堅からベテランに差し掛かる実力派が名を連ねた。ここも香川真司や清武弘嗣などブラジルW杯を経験した欧州組が揃い、清武が合宿中に負傷をうったえ途中離脱した後はウイングがメインと想定されていた原口元気が起用された。

 攻撃的なポジションのスペシャリスト的な色が強い森岡や遠藤康はもちろん魅力的だが、高萩や柴崎晃はボランチとしても機能でき、バランス感覚も備えている。どちらにしても縦に速い攻撃の中で明確なアクセントになり、また後ろと前線をつなげる役割も求められる中で、正確性と柔軟性の両方を発揮できるかが評価の分かれ目になってくるはずだ。

 MFの中でも23歳の大森晃太郎は攻撃的なポジションであればどこでもこなせる選手で、メンバー構成上は森岡や遠藤康と同じくトップ下になるが、より縦の突破力に優れ、ラストパスの受け手にもなれる。東アジアカップのメンバーに選ばれればウイングもプランに入ってくるはずだ。短い日程で3試合をこなす中ではそうした複数のポジションを高い水準でこなせる選手が必要になるため、同等のレベルであればそうした特徴が選出の理由になるかもしれない。

 FWでは浦和でブレイクした武藤雄樹が予備登録の段階ながら、満を持しての選出。また小林悠(川崎)と興梠慎三(浦和)という、ここまでケガに泣かされた実力者も入っており、武藤と同じく初選出が期待される倉田秋(G大阪)を含め、誰が正式メンバーになるにしても、高いレベルの競争になりそうだ。

小林や大久保嘉人などウイングとCFの両ポジションをハイレベルにこなせるタイプも多いが、川又堅碁(名古屋グランパス)、杉本(川崎)、豊田陽平(鳥栖)、興梠の4人はCFのスペシャリストとして、武藤と倉田は宇佐美貴史や永井謙佑とともにウイングでの起用が考えられる。

 面白い存在が浅野拓磨で、5月のミニ合宿では右のウイングだったが、7月1日にU−22代表のコスタリカ戦でCFを担い、クサビを受けて裏に飛び出す動きで強い存在感を出していた。縦を突破するスピードはサイドでも活きるが、よりゴールに近いポジションの方が独特のセンスなどを発揮しやすく、正式なメンバー入りとなればCFの方がメインになる可能性も十分にある。

 最終的にどういうメンバーで東アジアカップに臨むのか、それは選考前のJリーグのパフォーマンスが大きく関わってくるが、優勝した2013年の同大会も欧州組がいない中でフレッシュな選手が大いにアピールし、何人かは“メンバー固定”が問題視されたザッケローニ体制でも、その後のメンバー入りを勝ち取っている。

 ハリルホジッチ監督が就任してから期間が短く、欧州組を含めてまだメンバーも流動的であるだけに、どういう23人になるにしても、大いなるモチベーションを持って、勝利を目指す中でも積極的にアピールしていってほしい。