なでしこジャパンは残念だったね。W杯連覇を狙って決勝まで勝ち上がったものの、アメリカに2−5と大敗。準優勝に終わった。

とはいえ、結果は妥当だと思う。なでしこがダメだったというのではなく、アメリカが想像以上に強かった。どの選手も男子みたいに大きく、速く、力強い。ハットトリックを決めたロイドなんて怪物だ。そして、力任せのプレー一辺倒だった以前と違って、パスもつなげるようになった。選手層も厚い。長年エースだったワンバックが今大会はベンチを温めていたのも納得だ。なでしこも2点を返して意地を見せたけど、女子サッカーの“横綱”の底力を見せつけられた。

悔やまれるのは、やはり立ち上がりの連続失点。4年前の借りを返そうという相手の勢いにのまれた。先制されたのは今大会初めてだったこともあり、完全に浮足立ってしまった。

セットプレーで意表を突いてきたアメリカは見事。その一方で、なでしこにもいつもの集中力がなかったように見えた。準決勝のイングランド戦後、嬉し泣きしている選手が何人もいたよね。苦しい試合だったから気持ちはわかるんだけど、そこで一度満足してしまった部分があったのかもしれない。アメリカとは優勝にかける意気込みに差があった印象だ。完全アウェーという会場の雰囲気も微妙に影響したんじゃないかな。

ただ、前回王者として各国からマークされ、大きなプレッシャーがかかる中での準優勝は立派だよ。

組み合わせに恵まれた面もあるけど、粘り強く戦い決勝まで勝ち上がった。女子サッカーの灯を消すわけにはいかないという気持ちが伝わってきた。前回のW杯、ロンドン五輪、そして今回のW杯と3大会連続の決勝進出は本当に素晴らしい。男子が「目標はW杯優勝」と言いながら1勝もできなかったのとは大違い。心から拍手を送りたいね。

来年2月にはリオデジャネイロ五輪のアジア予選がある。どういうチーム体制、方針で臨むのかはわからないけど、当然、世代交代で入れ替わる選手も出てくるだろうし、これから新たなチームづくりが始まる。今回のW杯で「5」あったアジア出場枠はリオ五輪ではたったの「2」。予選突破は決して簡単なことじゃない。

もはや、なでしこのパスサッカーに以前ほどの優位性はなくなった。皆が指摘しているけど、世代交代も進んでいない。36歳の澤、30歳の宮間に続く世界クラスのスター選手も出てきていない。リオ五輪の本大会に出場できても今回以上の厳しい戦いを強いられるはず。

これまでのなでしこは、個々の選手と監督の頑張りでやってきた。でも、今後も上を目指すなら日本サッカー協会による、より組織的で細やかなサポートが必要になる。

今回のなでしこにも、アルバイトをして生計を立てている選手がいたし、育成年代の選手はプレーする場も限られている。なでしこリーグの盛り上げ、各チームへの支援、代表選手の待遇面の改善など今まで以上の予算を組んで、日本の女子サッカーを取り巻く環境の整備に乗り出さなければいけない。

それができなければ、国民栄誉賞までもらった今のなでしこメンバーの頑張りが無駄になりかねない。それは避けたいね。

(構成/渡辺達也)