タワー建設予定地。中央奥はさいたまスーパーアリーナ(撮影:吉川忠行)

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「さいたま新都心」は関東平野のほぼ中心に位置し、国の広域防災拠点でもある。「東京で万一のことがあっても大丈夫です」−−新タワー誘致の担当者は、東京から離れた埼玉県内にタワーを建てることのメリットを強調する。

 新タワー(さいたまタワー)は、「南側中核施設群用地」に建設されることになる。広さ約2.4ヘクタールで、その約6割は都市再生機構が所有し、残りを埼玉県(約3割)とさいたま市がそれぞれ所有している。現在は駐車場として使用されており、その一角に「彩の国8番館」(産学交流プラザ)が暫定的に建てられている。県と市は、新タワーの「事業の実施に必要な土地の確保および関係権利者の調整に努める」としている。

県や市は誘致に積極的

 埼玉県・さいたま市ともに、新タワー誘致を全面的にバックアップしている。2003年12月に「在京6社新タワー推進プロジェクト」が新東京タワー構想を発表した翌月(04年1月)には、上田清司・埼玉県知事が誘致を表明し、2月には上田県知事と相川宗一さいたま市長が、議会で誘致の決意表明を行っている。3月末に県・市・地元経済界を中心とする「さいたまタワー実現大連合」(総代表・石原信雄元内閣官房副長官)が設立され、4月1日には「県・市」との合同事務局が設置されている。

 「新都心カラ…未来へ 発信!」と題し、600メートル級の「世界一のタワー」誘致のために、100万人を目標に行われた誘致署名活動では、04年10月に150万人を達成し、12月には放送事業者側に176万人分の署名を提出している。立地、優れた都市基盤、そして集客性など新都心の「8つの魅力」を前面に出して、官民一体となって誘致運動を繰り広げた成果だろう。

 また、タワー建設の事業主体は原則として民間とするが、放送事業者側の要請があれば県および市も協力することもありうるという。合同事務局には「税金でタワー事業をすべて行うのか」という意見も寄せられているが、そのような誤解を招かないようにしたい、とのことだった。

 なお、現在の東京タワーから北西約25キロの地点に電波発信拠点を移すことについて、一部の放送事業者からは懸念の声があがっている。電波が届く範囲の問題および東京からのアクセスの問題があるからだ。これに対しては、同事務局では「電波を発信する上での技術的な問題はない」「都心と直結した抜群の交通アクセスがある」としている。

空中庭園やホテルを併設する案も

 新タワーとしては3つの計画案が出されている。高さはいずれも約600メートル。地上200メートルの高さに空中庭園を設ける案や、地上400メートルの部分に展望室やホテル・レストランを配置する案、さらには地上から480メートルの高さに展望室を作る案などである(イメージ図は比較表参照)。オープン当初の5年間に、年間200万人の集客を見込んでいる。

 新タワーの建設予定地は、格闘技の試合などが催されることで有名な「さいたまスーパーアリーナ」に隣接している。同地は災害時の避難場所に指定されており、7000人分の物資の備蓄拠点でもある。千葉県に「新東京国際空港」と「東京ディズニーランド」があるように、埼玉県に「新東京タワーが建つ」だろうか。(つづく

■バックナンバー
第1回(新タワーは要らない?)
第2回(台東区・隅田公園周辺)
第3回(足立区・東六月と舎人)
第4回(墨田区・押上/業平橋)
第5回(豊島区・池袋)
最終回(まとめ)

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