東アジア杯に臨む23名に残るのは…浦和FW武藤を代表ヘ呼ぶなら「いま」

写真拡大

文=戸塚啓

 簡単に言えば芯の無い50人という感想だ。

 過日発表された東アジアカップの予備登録メンバーである。
 
 50人という大きなグループだけに、芯を通すのが難しいのは分かる。ひとまず様々な可能性を担保するためのリストアップ、ということなのだろう。

 国内組のテストという位置づけなのか?

 だとすれば、西川周作、今野泰幸、大久保嘉人、豊田陽平らの選出は合わない。彼らの実力は、すでに分かっているからだ。

 その一方で、連覇を狙うなら必要な戦力である。現時点で国内トップクラスの人材をベストミックスさせた編成が、優勝への最短距離であるのは間違いない。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の哲学を、国内組からさらに浸透させる狙いがあるのか? そうした目的を持った大会とするなら、西川、槙野智章、森重真人、太田宏介、山口蛍、柴崎岳、宇佐美貴史らが中心になっていくべきである。

 U−22日本代表世代の強化を目的とするのか?

 来年1月にリオ五輪最終予選を控えるが、強化スケジュールには空白が多い。7月1日にU−22コスタリカ戦を消化したが、次の活動は10月の国内合宿だ。中心選手を東アジアカップで起用し、チーム全体の底上げを促すのは、日本サッカー全体の利益でもある。

 疑問があるとすれば人選だ。

 手倉森誠監督のもとでプレーする22歳以下の世代から、今回の予備登録には8人がピックアップされている。ところが、松原健(アルビレックス新潟)は長期離脱中で、山中亮輔(柏レイソル)も所属クラブでポジションをつかめていない。松原は右サイドバック、山中は左サイドバックとして3月の五輪アジア1次予選に出場したが、予備登録入りは率直に言って驚きだ。

 2年前の選考は分かりやすかった。

 ブラジル・ワールドカップ出場を決めた直後の大会だったことで、ザックは新戦力の発掘にテーマを絞り込んだ。韓国で大会初優勝を勝ち取ったメンバーから柿谷曜一朗、森重、山口らが代表に定着し、青山敏弘、齋藤学、大迫勇也らがブラジルW杯のメンバー入りを果たした。

 今回も同じ目的でいい。

 国際経験の少ない選手を中心に、チームを編成するのだ。

 同じポジションで二者択一の選択をする場合は、年齢が若い選手、所属クラブで結果を残している選手を優先する。

 11人が予備登録されているFWでは、武藤雄樹を選びたい。移籍1年目の浦和レッズでブレイクした26歳は、18年のロシアW杯も狙える。代表ヘ呼ぶなら「いま」である。

 リオ五輪最終予選で中核を担うはずの櫛引政敏、岩波拓也、植田直通、遠藤航、浅野拓磨のU−22世代は、メンバーに加えるだけでなく実戦で起用したい。先のU−22コスタリカ戦で中盤での守備力をアピールし、横浜F・マリノスでもポジションをつかんでいる喜田拓也も、23人の登録メンバーに加えたいひとりだ。リオ五輪世代のレベルアップは、喫緊の課題だからである。

 ハリルホジッチ監督のもとでスタメンに名を連ねつつある柴崎、宇佐美らには、海外組不在のチームを牽引してほしい。同じくハリルホジッチ監督指揮下で存在感を高める槙野は、最終ラインだけでなくチーム全体のまとめ役となってもらう。

 J1リーグ戦の合間に行なわれる東アジアカップは、限られた準備期間で臨む大会だ。J1は今月29日に試合があり、4日後には第1戦を迎える。ぶっつけ本番と言っていい。

 その意味でも、経験を積むことに軸足を置いた選考が望ましい。チームとしての準備が十分でないからこそ、個々の逞しさ──個人でどれだけ戦えるのかがはかれる。ロシアW杯とリオ五輪のアジア予選を両にらみし、それぞれのチームのレベルアップにつながる大会とするのだ。