ドルトムントに大敗した川崎と同様、三浦監督も現役時代は海外チームに大敗を喫したことがあるという。ただ、それでも闘う姿勢だけは失わなかったと語る。(C) SOCCER DIGEST

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 いつもLINEで連絡を取り合っている知人から、ちょっとした失望を感じているようなメッセージを受け取った。僕がサッカー界で尊敬する方のひとりで、たくさんの話を(サッカー以外でも)してきている仲でもあり、このチェンマイにも仕事として来てくれた方からだった。
 
 そのメッセージの内容は、プレシーズンマッチの川崎フロンターレ対ドルトムントを観て覚えた違和感と、日本サッカーの未来に対する不安であった。僕はそのような試合があったことさえも知らずにいたのだが、気になってしまい、翌日映像を手に入れた。
 
 結果も知らなかったので、久しぶりに川崎のサッカーを楽しんで観ようとしていたが、友人からのネガティブなLINEの理由が、少しずつ想像できてくるなかで0-6 という大差のついた結果となった。
 
 ドルトムントは監督が代わり、新監督の前で個々がアピールしなければならない状況であり、チームとしても選手個人としてもコンディションはまだまだだろう。逆に川崎はファーストステージからセカンドステージに向け、モチベーションは高く、J1リーグでは完成度も高いと言われるだけに、香川という話題だけではなく、日本のJリーグが世界の強豪相手にどこまでやってくれるのかと期待した人も多かっただろう。
 
 だからこそ、ショックは大きかったのではないか?
 
 僕は今、チェンマイFCの監督であり、川崎を評論する立場ではないが、ひとつ思い出したことがある。それは自分の現役時代だ。Jリーグ3年目を迎えた1995年。Jリーグのチームが海外チームと盛んにプレシーズンマッチを行なっていた時期で、当時、エスパルスでプレーしていた僕も、ACミランやフィオレンティーナといったセリエAチームと試合を行なった。
 
 そして、同じ年の8月には日本平でフラメンゴ(ブラジル)と対戦したのだが、結果は0-5の完敗。今回の川崎と同じタイミングで、ファーストステージからセカンドステージに移る大事な時期であった。
 
 この試合、本当にフラメンゴの選手は上手かった。言ってはいけないかもしれないが、僕らが未熟というよりも向こうがすご過ぎた……。
 
 ロマリオ、エジムンド、サビオなど本当にスピードもあり、テクニックのある選手たちに、ボールはもちろん、身体さえも触らせてもらえない。それこそファウルさえもできないのだ。
 
 9メートル先にフラメンゴの選手が居て、1対1の状況でディフェンダーは背後を抜かれてしまう。僕のイライラも積もり積もって、後半立ち上がりにファウルを犯し、すでに5点差がついていたが、そのファウルの判定に暴言を吐き僕は退場。試合後、楽しみにしていたロマリオとのユニホーム交換は夢と消えた(笑)。
 
なんと20年前の話だ。
 
 こんなことを平気で書くと、サッカー界からお叱りが来るかもしれないが、大差がついた試合で、できることと言ったらそんなことぐらいしかなかった……。判定への暴言はちょっとしたきっかけだろうが、ただ何もしないで終わるよりは、選手として何か爪跡を残して終わる方が大事だと思っていた。ただで負けていいのか――と。
 サッカーというのは何が起こるか分からない。予期してないことが起こる。予想もしてないような結果に進んで行く時もある。あのジダンでさえ、引退前の最後の試合で頭突きをして幕を下ろした。
 
 それも「世界」なのだ。もちろん自分がやった判定への行為を正当化しようとは思わない。正当化することもできない。やってはいけないことである。ただサッカーで敵わなかったら「足のひとつやふたつ蹴って来い。喧嘩でもして来い」と言いたくなる時もある。それが闘いというものだと思う。