雲上に輝くレーザー・プロジェクション、19世紀の映写機技術を21世紀に再現

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イギリス・ノッティンガム上空の雲に、緑色に輝く馬が疾走しました。これは地上からでなく、飛行するセスナから雲に直接投影したものです。イギリスのアーティスト、デイブ・リンチ氏が19世紀の映写機「ズープラキシスコープ」を21世紀の技術で蘇らせることに成功しました。
疾走する馬の映像は、映画の発明に貢献したエドワード・マイブリッジ氏の象徴。1879年にマイブリッジが披露した映写機ズープラキシスコープは、周囲に図像の並んだガラスの円盤を回転させ連続投影することにより、動きを映し出す仕組みでした。

リンチ氏は雲に映像を投影する技術を模索するうちにズープラキシスコープの仕組みにたどり着きますが、光源をレーザーに変えただけでは遠距離へ鮮明な投影ができないことが課題でした。そこでリーズ大学の科学者マイク・ニックス、ベン·ウィテカーの両氏に指導を仰ぎ、スリットのかわりにレンズを採用することで投射距離50mを実現しています。

6月の実験当日。ニックスがズープラキシスコープを操作し、リンチが撮影。1時間の飛行ののち、理想的な形状の雲を見つけ、鮮明な映像の投影に成功しました。下の動画は投影する飛行機から撮影した映像で、地上からはこのように鮮明に同じ地点に見えるわけではありません。



彼がこのプロジェクトを始めたのは、アメリカ空軍のある論文がきっかけでした。1980年代に発表された非殺傷兵器に関する報告の一つ、Holographic Prophets(ホログラム映像による神の使い)がリンチの興味を引きます。

敵国の都市上空の雲に古代の神を投影し、市民を恐怖させることにより、殺傷兵器を用いることなく敵を無力化する。リンチはこのアイデアに触発され、3年間の研究を経て、現代版ズープラキシスコープの公開を達成しました。

今後について。リンチは当面の商業利用は考えていない、デジタルアート作品の発展のための活動、協力を希望するとのこと。リーズ市博物館で7月4日にこの作品についての講演を実施したほか、プロジェクトの活動についてはnimbus.davelynch.netにまとまっています。