Q:学校を卒業して去年、就職してから過敏性腸症候群になりました。朝、排便したのにまた便意を催し、下痢をします。下痢はさほどひどいほうではないと思いますが、それよりも辛く苦しいのは、排便をしてもお腹が張ることです。この症状を解消する漢方薬がありましたら教えてください。(24歳・広告制作会社勤務)

 A:過敏性腸症候群は、現代にとても多い病気です。ストレスが引き金となって発症したり、ストレスで症状が悪化したりします。ご質問の方は、去年就職されてから発症したとのことですから、ストレスが関係しているのでしょう。
 過敏性腸症候群には、下痢型と便秘型があります。両者を伴うタイプもあるし、下痢型から便秘型に移行することもあります。ところが、このようなタイプ分類とは関係なく、強くお腹が張る場合が少なくありません。そして、ご質問の方のように、下痢、便秘よりももっと、お腹の張りに苦しんでいる人がいます。
 普通は、お腹が張っても排便をすると張りは解消するものです。オナラをして、ガスを出しただけでも張りは軽くなります。ところが、過敏性腸症候群の人のお腹の張りは、排便してもガスを出しても、張りがスッキリとは取れません。
 排便した直後は少しはよい感じになりますが、やはり張りは取れないままで苦しいのです。お腹の張りが非常に強いのは、胃弱の人によく見られます。

●漢方薬が効く
 この張りに対して、西洋医学では下痢や便秘を改善する薬を用います。しかし、これらの薬を使用して下痢や便秘が改善しても、お腹の張りは解消しません。
 漢方では、過敏性腸症候群のお腹の張りは、気の巡りが悪くなることによって起こると考えます。ちなみに、漢方で言うところの“気”は人体エネルギーです。
 過敏性腸症候群に用いる漢方薬に「桂枝加芍薬湯」があります。この漢方薬には、気の巡りを良くして、腸の働きを高めることによって、お腹の張りを取る効果があります。これとは別に、あまりにもお腹の張りが強い場合は、「四逆散」を用います。
 「桂枝加芍薬湯」は、下痢と便秘を繰り返すタイプによく合います。また、便秘タイプにいちばんよく用いる漢方薬に「桂枝加芍薬大黄湯」があります。お腹の張りはもちろん、どのタイプにも漢方薬がよく効きますから、ぜひ試してください。

三浦於菟氏(吉祥寺東方医院院長)
東邦大学医学部卒。国立東静病院内科勤務を経て、中国・南京中医学院、台湾・中国医薬学院に留学。東邦大学医学部東洋医学科教授を経て、同大学客員教授。著書『東洋医学を知っていますか』など多数。