小さなコンピューターが子どもたちに与える大きな力:英国

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子どもたちのコンピューターリテラシーを上げるための試み。英国では、今年10月から「Micro:bits」という名のマイクロコンピューターが配布される。その背景には、1980年代に行ったコンピューター教育への反省があった。

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遡ること1981年、BBCは英国内のほぼ全ての学校にコンピューターを提供した。エイコーン・コンピュータ製「BBC Micro」はベージュ色をした箱型コンピューターで、そのタイプライターに似た端末で、子どもたちはコーディングを学んだ。「コモドール64」と同様、Microは80年代の子どもたちの間でコンピューターリテラシー向上の先駆けとなった。

10月、BBC Learning(BBCが提供しているオンラインエディケーション・サーヴィス)が、Micro以降初めてとなるデジタルリテラシー・プロジェクトを開始する。7年生(11〜12歳)の全ての子どもたちに提供されるのは、クレジットカードサイズのコンピューター「BBC Micro:bit」で、この最新デヴァイスはBBCと29のパートナー企業(サムスン、マイクロソフトやARM、デザインを担当したTechnology Will Save Us)による何年にも及ぶ協力の成果といえる。

これはMicroの単なる焼き直しではないと、BBC Learning Research and Developmentでイノヴェイションエディターを務めるハワード・ベイカーは言う。80年代のコンピューターが、機械1台で完結するシステムであったのに対し、Micro:bitでは、実世界とデジタルでのやり取りを発展させていくことができる。

Micro:bitにはプログラム可能なボタンとLEDが備わっており、手持ちゲーム機にも変化する。Bluetoothで他デヴァイスと通信できるほか、加速度計、コンパス、温度計、湿度計センサーを内蔵しているため、急な環境変化にも対応できる。ワニ口クリップとバナナ型プラグもついている。つまりこのデヴァイスはオープンエンドにデザインされているのだ。

「これでこそ、子どもたちは何かをつくりあげることができる。それを通して、コーディングを学び始めるだろう」と、ベイカー氏は述べている。

英国は、こうしたプログラムを切実に必要としている。というのも、BBC Microプログラムが子どもたちにコーディングを“伝授”して以降、この20年の間に奇妙なことが起こっているのだ。子どもたちはコンピューターに慣れていくにつれ、それがどのように動いているかについての知識が失われてしまったのである。

「目の前で起きていることにあまりにも慣れすぎて、“画面をなぞるだけ”になっているのです」と、ベイカー氏は述べている。こうした不調和によりプログラミングの仕事をこなせる現地の人材が不足するようになり、テック企業は外国人労働者を雇わざるを得なくなっている。

Micro:bitはスマートフォンやタブレットとは異なり「コードを書いてあげないと何も動作しない」と、ベイカー氏は述べている。これにはデジタルリテラシーの高くない11歳の子どもが怖気づいてしまうかもしれない。そのため、Technology Will Save UsがUXデザインを担当した。

子ども向けの電子機器DIYキットを製作しているこのガジェットメーカーは、柔らかな脳をもつ子どもたちにテクノロジーへの興味をもたせる方法を熟知している。「ギーク的なメイカームーヴメントはいわゆる“アラカルト方式”で、自分自身でものを見つけなくてはならない。11歳の子どもの場合、関わることができて力強くかつシンプルなものでないといけない。そこで全てのものを製品、バッテリーやワニ口クリップと一緒に箱に詰めた。全てのものが、そこにある」と、同社共同創立者のベサニー・コビーは述べている。

何百万台ものMicro:bitsを子どもたちに提供するには、大掛かりな取り組みとかなりのリソースが必要になる(費用を負担するのはパートナー企業だ)。だからこそ、多くのおもちゃにつきものの、新鮮味がなくなったとたんに忘れ去られてしまう運命をMicro:bitsが繰り返さないようにするのは、極めて重要なことだ。BBC Learningのチームは教員と協力して、Micro:bitを活用した授業カリキュラムを組むことで、事にあたろうとしている。

しかし、コビー氏はデジタル学習は学校だけに限られるべきではないという信念をもっている。そのためMicro:bitはゲーム機や、スマートフォンの付属品にもなるほか、科学実験にも簡単に転用できる。彼は子どもたちにある種の「作用」を与えることが重要だとしたうえで、「それを自分のものにしてもらいたい」と述べている。

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