“100均の買い物”と“5万円の旅行”どっちがムダづかい? お金の専門家が教える「無感動消費」のワナ
金額の大きい消費がムダづかいだと考えるのは勘違い?
最近、「お金持ちの習慣」とか「お金が貯まる人の習慣」のような本がベストセラーになっていますが、お金が貯まる人のお金の使い方で、ほぼ間違いなくいえるのは「ムダづかいが少ない」ということでしょう。
“オタク係数”○%以上はキケン!? FPが教える「お金と趣味」の理想バランス
お金がムダに消えていく人がお金が貯まらないのは当然の話です。しかし、普通の人は「たくさん金額を使うことがムダづかい」だと誤解しています。
5万円かけて、旅行に出かけることは、ムダづかいだと思う人がほとんどです。これに対して100円ショップでなんとなく数百円使って、たいして使わず捨ててしまうようなものをムダづかいと思わない人もほとんどです。
どちらも間違いです。実は「金額の大きい消費がムダづかいではない」からです。上手にお金を貯められる人は、高額の消費もしています。
お金を貯められる人とそうでない人の違いは何かというと、使ったお金の金額ではなく、「無感動の消費のことをムダづかい」という事実を知っているかどうか、です。
「感動」がない消費は100円ショップでもムダづかい!
「無感動の消費」といってもぴんとこないと思いますが、簡単にいえば「お金を使っても、ちっとも楽しくもなければ、うれしくもない買い物」のことです。
毎日使うお金のことを思い出してみてください。お金を使って満足していますか? その感情の動きは、使ったお金に見合うものでしたか?
私たちは、毎日いろんな買い物をしなければなりませんが、繰り返し買うものほど、それが当たり前になり、気がつけば無感動の出費になっているものです。それは、たとえ100円ショップで使った「108円」であっても間違いなくムダづかいです。
「買えてうれしい!」とか「おいしかった!」というような素朴な感動があれば、使ったお金はムダではありません。
むしろ感動は金額とは無関係であることが多いものです。先ほど100円ショップの例をあげましたが、クレジットカードから自動引き落としされた1万円がほとんど無感動である一方で、コンビニの新作スイーツ(100円)が美味しくて大感動することもあります。
金額以上の「感動」があれば高額出費も意味がある
お金を上手に使うヒントは「感動」です。これは高額出費にも当てはまります。
お値段以上の感動があれば、その出費はムダにならないどころか、次のお金を稼ぐモチベーションにもなるからです。
よく「ご褒美消費」といいますが、これはちょっとしたガマンが感動を盛り上げてくれる仕組みのひとつです。「この仕事が終わったら、○○を買おう」とか「毎月ちょっとずつ積み立てて夏の旅行は××に行こう」というお金の使い方をすることで、5万円や10万円の出費もかけた値段以上の感動に変え、さらに「また仕事、がんばろう」と思うことができます。
最初に例をあげた5万円の旅行も、友達や交際相手と過ごした一泊二日の時間、いろんなおしゃべりや笑顔、今までなかった経験などを楽しむことができれば、それは感動がたくさんあり、まったくムダではないわけです。気分転換に成功したことでメンタル的に落ち込まず、冬まで仕事ができれば、それだけでも元が取れているかもしれません。
これに対して、毎日108円程度の「無感動消費」をしていることはたいしたお金でないように思えますが、年間39420円の高額出費をしている、ということでもあります。けっこうデカい金額です。感動のボリュームは、どちらが大きいでしょうか?
ボーナスの時期こそ「感動消費」を考えてみよう
今回「お金と感動」の話をした理由は、今が夏ボーナスをもらう季節だからです。お盆には、ゴールデンウイーク以来久しぶりの長期休暇も待っています。お金は入って、休みがあるとなれば、高額消費することができる時期です。
お金を使うことができる季節だからこそ、そのお金のコスパを意識してほしいと思います。何度も説明しているとおり、お金のコスパは、使ったお金の「感動」に見合うかどうか、です。
どうしてもボーナスの時期は高額出費が増えます。お金を使うとき「感動を買おう」と考えてみてください。そうすれば、使ったお金が正しいかどうかが見えてきます。
旅行に行ったり、家電品やゲーム機・デジカメなどのハードウェアを買ったりするとき、自分の感動がどれくらいありそうか、考えてみると自然とムダづかいは消え「お金が貯まる人」に変化していくはずです。
それは「金額が少なければ使ってもOK」「金額が大きい買い物はNG」と分類するより、何倍も賢いお金の使い方なのです。