【警告】名古屋=矢野(19分)
【退場】なし
【MAN OF THE MATCH】大竹洋平(湘南)

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【試合内容】
 両チームともに前線からプレスを仕掛けてショートカウンターを狙う展開になったが、次第に全体のバランスの取れた湘南が主導権を握る。

 すると32分、高山が右サイドを抜け出し、闘莉王にカットされたものの、そのこぼれ球を拾った大竹のクロスに大槻がヘッドで合わせ先制する。
 
 後半もホームチームが攻勢に立ち、64分には途中出場の藤田征のファーストプレーとなったクロスに、高山が合わせて追加点を奪う。
 
 しかし、名古屋も黙ってはいない。76分の川又投入後、徐々に挽回。永井のロングパスからその川又が決めて1点差とする。さらに永井、川又、闘莉王が前線に張り出し、パワープレーを仕掛けるが……、身体を張って対応する湘南の壁を攻略できなかった。
 
 3-4-2-1対決は、システムのなかで個の特長が活きた湘南が勝ち、システムありきで個が委縮しているように見えた名古屋が負けた。
 
 湘南が名古屋に勝利を収めたのは、実に99年8月7日(ホーム)以来、16年ぶり。

【J1 PHOTOハイライト】2ndステージ・1節

【チーム採点・寸評】
湘南 7
 個々の良いところが随所で目立った。最後の名古屋のパワープレーにはかなりヒヤヒヤさせられたが、それだけに喜びはひとしお。試合終了の瞬間、スタジアムが一体となり歓喜に包まれた。
 
名古屋 5
 パワープレー頼みになっている。このメンバーで3-4-2-1が最適解なのだろうか、と思わずにいられない残念な内容だった。

【湘南│採点・寸評】
GK
1 秋元陽太    6.5
序盤はやや相手のプレスに苦労したが、ボールに触れるごとに落ち着き、40分には小川の決定的なシュートを止め、終盤のパワープレーにも身体を張って対処。
 
DF
3 遠藤 航    5.5
小さなミスが多く、ボールが頭を越えて川又にゴールを許した。
 
4 アンドレ・バイア 6
ノヴァコヴィッチにほとんど前を向いて仕事をさせなかった。CKで惜しいシュートを放つ。
 
17 三竿雄斗 6.5
前線に繰り出していたはずが、すぐ帰陣してなにもなかったように守備をしている。その運動量に唸らされた。
 
MF
5 古林将太    6
敵陣深くまでボールを持ち込み、起点になる。ただ彼らしい爆発的なアタックは限られ、クロス精度も欠いた印象。よりシュートを意識したプレーを見たかった。
 
2 菊地俊介 6
高い位置から素早くプレスをかけて、相手に自由を与えなかった。
 
6 永木亮太 6.5
終盤に見せた球際の強さは圧巻。そこで攻撃のスイッチを入れ、チャンスも作った。
 
10 菊池大介 5.5
ボールを運ぶ能力は高いが、“あと一歩”という精度を欠くプレーが多かった。
 
23 高山 薫 7
キュッと初動でトップスピードに乗り、名古屋の大型DF陣を翻弄。値千金の2点目を決める。
 
7 大竹洋平 7
「キレキレ」とはこんなプレーを言うのだろう。その結果、「たまたまだった」という闘莉王のタックルしたこぼれ球を受け、先制点をアシストした。
 
FW
19 大槻周平 6.5
闘莉王のプレッシャーに苦しんでいたが、一瞬の隙を見逃さず、相手との駆け引きに勝って先制ゴールを決めた。

交代選手
MF
14 藤田征也 6.5
ファーストプレーで、絶妙なクロスを放って高山のゴールをアシスト。その後もサイドを切り裂いた。

FW
11 藤田祥史 6
ゴール前に顔を出すと、必ずと言っていいほどチャンスに絡み、二度の決定機を作った。

DF
30 島村 毅 ―
パワープレー対策で最終ラインに投入され、ロングボールを撥ね返して逃げ切りに貢献した。

監督
者 貴裁 6.5
第1ステージ最終節の松本戦に続いて複数得点を奪い、交代選手もしっかりと機能した。これまでの課題をクリアしながら勝点3を掴み、収穫はかなり多かったはずだ。
 
【名古屋|採点・寸評】
GK
1 楢粼正剛 6
幾度となく訪れた相手の決定機を身を挺して防ぐ。記者席で試合観戦した元湘南DFのジャーン氏が「楢粼さんは本当に凄いっすね」と常に絶賛していた。
 
DF
5 大武 峻 5.5
決定機を食い止めた守備も見せたが……、高山に一歩前に入られて追加点を与えた。闘莉王が怒るのも無理はない。

4 田中マルクス闘莉王 5.5 
相手に数多く放たれたCKでは、まるで彼に向けてボールを蹴っているのかと思わせるほど、ほぼ必ず撥ね返していた。ただ、終盤のパワープレーは不発に終わった。
 
6 本多勇喜 5.5
リスクを軽減させようとラインを下げ過ぎた。藤田征の投入後、サイドの主導権を握られた。
 
MF     
20 矢田 旭 5.5
序盤はよく動いてパスコースを作った。パワープレーが増え出すと、セットプレー以外は目立てなくなった。

2 竹内 彬 5.5
ボランチに入り、球際では期待された強さを発揮した。ただし周りと連係面で噛み合わず。
  
22 小屋松知哉 5.5
ノヴァコヴィッチの高さを活かし、彼の背後を回って前線に飛び出しチャンスを作った。ただ後半途中にガソリン切れに。
 
19 矢野貴章 5.5
よく走ったが、クロス精度が低く、守備の対応も安定感を欠いた。60分にはCKからヘッドで惜しいシュートを放つ。

10 小川佳純 5
しっかり下がって対応していたが、大槻にマークを外され先制点を与えてしまった。期待されたゲームメイクもできず。

11 永井謙佑 5.5
川又投入後にアグレッシブさを取り戻し、その川又のゴールをアシストした。ただ全体的には持ち前のスピードを発揮し切れず、不完全燃焼に終わる。

FW 
18 ノヴァコヴィッチ 5
ほとんど前を向いて仕事をできなかった。3-4-2-1のCFに、彼のような大型FWタイプは合わない?
  
交代出場
FW     
32 川又堅碁 6.5
投入から短時間でしっかりゴールを決めて結果を残す。その勝負強さで、湘南に脅威を与え続けた。

MF      
35 田中輝希 5.5
“一発”が期待されたが、終盤はパワープレーとなって、持ち味であるスピードを発揮する場面が訪れなかった。
 
監督
西野 朗 5
システムと個が合っていない。あくまでも勝手な推論だが……、4-3-3で永井がサイドに張り、中央にどっしりとノヴァコヴィッチが構えていたほうが、おそらく湘南としては怖かっただろう。

取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
 
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。