「リステリア菌」は低温でも繁殖 shutterstock.com

写真拡大

 いよいよ梅雨から真夏に入る。食品に繁殖する細菌やカビ、ダニには、油断禁物となるシーズンだ。

「オシャレで日持ちもする」と大人気のジャーサラダの危険性については当サイトでも紹介した。だが、注意しなければならない食品はほかにもある。

持ち運んではいけない、スムージーは"作りたて"が原則

 凍らせた野菜や果物を、牛乳やヨーグルト、アイスクリームといった乳製品と一緒にミキシングする「スムージー」。野菜を豊富に摂ることができ、色彩も鮮やかなので、ダイエットの食事としても人気だ。

 しかし、ジャーサラダと同じく「持ち歩き」は厳禁だ。持ち歩き用のタンブラーやボトルが売られているが、ミキサーにかけたスムージーは、容器に注ぐ際、酸素に触れ、時間が経つごとに酸化が進む。また、キレイな色を誰かに見せたいからと透明な容器に入れれば、光に当たる。せっかくのポリフェノールやビタミンも、刻々と壊れてしまうのだ。糖度の高い果物が多く入っていれば、菌はそれを餌として増殖していく。スムージーは"作りたて"を飲むのが大原則だ。

 そしていわずもがなだが、牛乳も「持ち歩き」したり、直接、容器に口を付けて飲んだものを常温のまま放置するのも厳禁だ。1mlの唾液の中には、数百万の細菌がいる。牛乳は栄養価が高く、唾液が中に混入すると細菌が瞬く間に繁殖する。牛乳がペットボトル売りされていないのは、菌の繁殖を防ぐためだ。

バーベキューは食中毒菌との戦い

 「夏といえばバーベキュー!」と楽しみにしている人も多いだろう。だが、菌が活発に動く夏場のバーベキューは、食中毒菌とのシビアな戦いだ。食の衛生の観点から、バーベキューでの注意事項を列記しておきたい。

○自宅で調理した生野菜サラダの持ち込みは避ける。クーラーボックスに保冷剤と一緒に入れても、食材の詰め込みすぎで冷気がまわらない危険性が高い。

○生の肉や魚をつまむトング、野菜用のトング、さらに焼いたモノを配るためのトングを用意して明確に使い分ける。食べるための箸で生肉をつまんだりすると、食中毒菌がそのまま口に入る危険性が高い。

○肉を大きなかたまりで焼いた場合、外側が焦げて中身が加熱不十分になる危険性があるので注意したい。

○釣った川魚は、寄生虫が棲みつきやすい内臓を、しっかり取り除いてから焼く。

○二枚貝は人が重症化する毒素をもっていることがあり、貝毒は加熱しても死滅しないものもある。海で獲った貝を自己流で食べてはいけない。

菌の繁殖につながる「塩麹」の"使いまわし"

 小麦粉や黄な粉などの粉類は、常温のまま保存することが多い。だが、お好み焼き粉やたこ焼き粉、ホットケーキミックスなどは、粉以外のうまみ成分が加わっているため、ダニが大量発生しやすい。味つきの粉類は、開封したら一度で使い切るか、密閉容器に入れての冷蔵庫保存が基本だ。

 塩と麹と水を混ぜながら発酵させた「塩麹」は、そこに肉や魚を漬け込むと旨味成分が増す。ところが、「使い回し」は、サルモネラ菌や大腸菌の繁殖につながる。生の食材を漬けた塩麹は、使い回しをせずに廃棄しよう。大きな容器に入れた塩麹の中に漬け込むのではなく、少量を肉や魚にすり込んで、密閉袋に入れて冷蔵庫保存、それで漬け込みはOKだ。

 生卵をそのまま冷凍した「冷凍卵」は、殻をむくと白身はサラッと、黄身はもっちりとした食感で、味わいも濃厚になる。大手レシピサイトでもさまざまなアレンジレシピが掲載され、「不思議でおいしい」と大評判だ。しかし、冷凍することで菌が死滅したような錯覚に陥るが、そうではない。冷凍庫から取り出したら、1〜2時間以内に食べきることが前提だ。

 生ハムやスモークサーモン、ナチュラルチーズなど、冷蔵庫に長期間保存できて便利だ。だが、加熱せずに製造されるものには、リステリア菌が繁殖している危険があることを覚えておこう。リステリア菌は、一般的な食中毒菌同様、加熱で死滅する。しかし、4℃以下の低温や12%食塩濃度下でも繁殖する。

 冷蔵庫を過信することなく、開封したら食べきるか、期限内に食べることを心がけよう。特に妊婦や高齢者、免疫機能が低下している人は、少量のリステリア菌でも敗血症や髄膜炎といった重篤な症状をきたす可能性がある。

 人がアクティブになる夏は菌も活発に増殖する――、そう肝に銘じて、日頃から食品の扱いには特に注意を払いたいものだ。
(文=編集部)