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東京大学は7月7日、銅酸化物高温超伝導体では、通常の超伝導体と異なり抵抗ゼロの超伝導温度よりも遥か高温から超伝導電子が生成されていることを発見したと発表した。

同成果は東京大学物性研究所附属極限コヒーレント光科学研究センターの近藤猛 准教授、同 Walid Malaeb 特任研究員、同 石田 行章 助教、同 辛埴 教授、東京工業大学応用セラミックス研究所の笹川崇男 准教授、名古屋大学工学研究科結晶材料工学専攻の坂本 英城氏、豊田工業大学物質工学分野エネルギー材料の竹内恒博 教授、東京理科大学理学部第一部応用物理学科の遠山貴巳 教授によるもの。7月7日付の英国科学雑誌「Nature Communications」に掲載される。

超伝導とは、物質を非常に低い温度に冷却した際に、電気抵抗がゼロになる現象のこと。銅酸化物高温超伝導体は安価な液体窒素温度でも超伝導転移するため、エネルギー問題を解決する物質として期待されている。しかし、銅酸化物の高温超伝導の機構は解明されておらず、発見から約30年経った今でも現代物理学の最重要課題の1つとされている。

超伝導の研究では、光電子分光法という手法を用いて、物質内の電子を外に弾き飛ばして直接観察する。同研究グループは、独自に開発したレーザー励起型の光電子分光装置を用いて、従来とは一線を画すエネルギー分解能で超伝導状態を担う電子(超伝導電子)を観察した。その結果、一般的な超伝導体では温度上げると抵抗ゼロの超伝導状態が消滅すると同時に、物質内の超伝導状態を担う電子は皆無となるのに対し、銅酸化物高温超伝導体では、超伝導温度よりも1.5倍近く高い温度まで超伝導電子が生き残ることがわかった。

同研究グループは今回の成果について「超伝導の名残が高温超伝導体の超伝導温度よりもさらに高温で発見されたことから、超伝導温度の飛躍的向上と、その先にある室温超伝導実現へ向けての、大きな一歩だといえる」とコメントしている。