Q:パソコンを使う仕事で、一日中、オフィスの中にいます。梅雨から夏の暑い時期、クーラーが恐怖です。職場の同僚に冷え性の辛さをわかってもらえないし、そのことも苦痛です。冷え対策についてアドバイスをお願いします。(38歳・通販会社勤務)

 A:冷え性は女性のものと思われていますから、男が冷え性というと驚かれます。
 冷え性は男性にもあります。女性は体質的に冷え性です。一方、男性は本来、暑がり体質ですから、男性の冷え性は女性の冷え性よりも、より病的です。ですから、女性のほうが治りやすく、男性のほうが治りにくいのです。
 冷え性とは、一般的には、手足の先端など体の末端に冷えを感じるものをいいます。これは自律神経失調の症状の一つです。自律神経は、意思とは無関係に、血液循環や血圧、内臓の働きなどをコントロールしている神経です。活動時に優位に働く交感神経と、休息時に優位に働く副交感神経から成っています。
 両者のバランスがとれていれば健康が保たれます。ところが、ストレスなどでバランスが崩れると、さまざまな症状や体調不良が引き起こされるし、いろいろな病気の発症につながります。
 ストレスにさらされると交感神経が緊張しますが、末梢の血管が収縮します。そのため四肢の末端の血流が悪くなるから、手足の先に冷えを感じるのです。
 また、それとは別に、胃腸が弱いために起こる冷えもあります。外気などの寒さや冷えに弱く、寒さや冷えにさらされると、全身的に冷えを感じます。このタイプは、体が冷えると下痢をするのが特徴です。末端の冷え性も伴います。
 漢方では、手足など末端の冷えには、「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」を用います。この漢方薬は胃腸にやさしいのですが、欠点は胃腸を丈夫にする作用はないことです。
 胃腸が弱く、冷えると下痢をするタイプに効果的な漢方薬に、「真武湯」や「人参湯」があります。二つとも、胃腸を温める働きがあります。末端が冷えるし、全身的にも体が冷える場合は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯に、真武湯または人参湯のどちらかを併用するとよいでしょう。
 机にかじりつき、じっとして動かないでいると、そのぶん、エネルギーは作られないので、冷えは増します。ですから、普段からできるだけ体を動かすように努めるようにお勧めします。

三浦於菟氏(吉祥寺東方医院院長)
東邦大学医学部卒。国立東静病院内科勤務を経て、中国・南京中医学院、台湾・中国医薬学院に留学。東邦大学医学部東洋医学科教授を経て、同大学客員教授。著書『東洋医学を知っていますか』など多数。