ここ最近、食材だけではなく、あらゆる日用品の値上げが相次いでいます。家庭では、毎月のやりくりが一層大変になりそうですね。 そのあおりを受けそうなのがレジャーへの支出やお父さんのお小遣い。 株高で潤っているように見える日本経済ですが、食品や日用品の値上げで家計が苦しくなると、夏休みの旅行先なども厳しく選別され、各行楽地の集客も期待通りにはならないかもしれませんね。

 ところで、なぜこれだけ値上げになっているのでしょうか。各社の値上げ理由を分析すると、総じて次の3点にまとめられます。「原材料価格の高騰」、「海外拠点での人材費上昇」、そして「円安の長期化」。
 
 例えば、食パンやパスタの主原料である小麦粉に目を向けてみましょう。1年間に日本で消費される小麦の国内生産量はわずか約15%なので、残りの85%は海外からの輸入に頼っています。残念ながら、日本の小麦の生産量は、1960年当時と比較しますと約半分に減っています。一方、一人あたりの小麦消費量は年間で25.8圓ら32.7kg(平成22年度、農林水産省「食糧需給表」参照)とむしろ増えており、菓子パン他の小麦系食品の普及などもあり、ますます消費量が増えています。 

 日本の小麦輸入相手国は、アメリカが約53%、カナダ約28%、オーストラリア約19%です。(2014年 財務省「貿易統計」より) しかし、これらの国も主食はパン。アメリカ経済が回復すれば、カナダ経済も上向き、国内の小麦消費量も上向きになります。それが、海外輸出分の数量にも影響し、需給面で価格が高くなる可能性があります。また、世界人口が増加している点も、需給面から原材料価格高騰の原因のひとつでしょう。

 小麦粉の輸入については、日本政府が、アメリカ、カナダ、オーストラリアといった主要生産国から商社を通じて輸入し、製粉会社などに売り渡すという、政府売渡制度を実施しています。各製粉会社が個別で輸入対応行うよりは、政府が大口の購入者となり、より安定的に小麦を買い付けることで国内向けの価格を安定させることを目的としています。 もちろん、一括で購入することではなく、毎月買い付けを行い、それらの平均額をもって各製粉会社などに売り渡す方式を取っています。 現在では売渡価格は、相場連動制となっています。(平成19年4月から、売渡価格は、4月と10月の年2回改定)。 

 わかりやすく言えば、ドル・コスト平均法(株式などを長期に一定額ずつ買い付けていくことで価格変動リスクを分散する投資手法)の大型版。政府売渡価格については、農林水産省のサイトにも載っておりますので、ご参照ください。
 
 ただ、これらの海外輸入品の決済はUSD(米ドル)で行われます。 最近のドル円相場は120円以上を保っており、ドル・コスト平均法とはいえ、以前の100円以下の水準と比較すれば、各製粉会社への売り渡し価格は上昇します。20%の円安となれば、コスト削減などの企業努力だけではカバーできません。他の一般消費関連や食品、エネルギーなども日本はほぼ輸入に頼っています。円安が長期化すれば、さらに値上げされる商品が多くなりそうです。
 
日本の成長戦略をうたっている安倍政権ですが、実際の可処分所得が増えないと、円安ありきでの国内景気浮揚を図ろうとするならば、景気回復は絵に描いた餅になりそうな予感がします。株価の上昇を背景にした現在の円相場は、一般消費者の懐具合を悪くし、結局は日本経済の首を絞めているのではないでしょうか?。(FXストラテジスト 宗人)

【参考サイト】
農林水産省  http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/boeki/140224.html