熱戦の幕を閉じたサッカー女子W杯。われらがなでしこジャパンの奮闘ぶりはご存じの通りだが、果たして、大会を取材した世界各国のジャーナリストたちの目に彼女たちのプレーぶりはどう映ったのか?

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“前回王者”の名にふさわしい奮闘を見せてくれた、われらがなでしこジャパン! そんな彼女たちについて、対戦国をはじめ現地で取材する海外メディアからも多くの称賛の声が聞かれた。

「常に戦う姿勢があり、何より決して諦めない。前回大会の優勝経験者が多く、長い間、同じメンバーでやっているからチームとしての成熟もうかがえた。澤や宮間のようなテクニックのある選手もいて、日本の試合を見るのはいつでも楽しいわ。スイスも果敢にチャレンジしたけど、残念ながらうまく守られてしまった」(初戦で対戦したスイスの大手紙『バスラー・ツァイトゥング』のセライナ・デゲン記者)

「僕は彼女たちのプレースタイルは女子サッカー界に革命を起こしたと思っている。前回のドイツ大会でも見せた“よりパスを重視するサッカー”で、それまでの“どんどん大きく、強くなればいい”という女子サッカーの概念を覆(くつがえ)した。見ている人を楽しませてくれるし、何人かのスター選手はいるにしても、それ以上にチーム全体での粘っこい戦い方が印象的だった」(地元カナダの地方紙『エドモントン・サン』のデレク・ヴァン・ディエスト記者)

グループリーグでは23人のメンバー全員を使いながら3連勝。決勝トーナメントに入ってからはメンバーを固定し、さらに安定した試合運びを見せて勝ち上がった。

決勝トーナメント1回戦で対戦したオランダのフリージャーナリスト、アネマリエ・ポスト氏はこう語る。

「オランダにとって、日本は強すぎた(苦笑)。常にポジショニングがよく、陣形を整えるのも早いし、ボールを保持し続ける。例えば、サイドバックが上がれば、そこにボランチやサイドMFがすぐにカバーに入るなどポジションをどんどん動かしていく感じとか、選手が互いによくわかり合っている感じが素晴らしい。

特にオランダ戦の2点目はこれぞワールドクラスという素晴らしいゴールだったわね!(*相手のペナルティエリア内で大儀見のヒールパスを受けた宮間がダイレクトで岩渕にパス。それを岩渕がスルーし、阪口が左足で決めた)。何度見ても飽きないし、まさに阿吽(あうん)の呼吸! 本当に美しいゴールだった」

続く準々決勝で対戦したオーストラリアのニュースサイト『the womens game.com』のアン・オドン記者はこう振り返る。

「オーストラリアはすべてを出し切った。でも、テクニックでも戦術の面でも日本に及ばなかったわね。ほかのチーム同様、オーストラリアも日本を見習ってショートパスを多用し、ボールのないところでの動きの質を上げてスムーズなパス交換をするスタイルを目指していたんだけど、まさか日本にあれだけボールをキープされるなんて…。

日本の選手は体が小さく、スピードやパワーという面で欧米の選手に見劣りしても、テクニックと考えるスピードに長(た)けていてボールを持たせると手がつけられない。相手チームは相当の運動量を強いられ、途中で疲れ切ってしまう」

そして、準決勝で対戦したイングランドの大衆紙『ザ・サン』のスティーブ・ブレナー記者は「日本は(オウンゴールで)勝ててラッキーだったと思う(笑)」と悔しがりながらも、こう話した。

「イングランドは日本を研究し、ハイボールを多用して攻め立てた。本当に素晴らしいプレーを見せたんだよ。でも、日本はボール扱いがうまいし、何よりGK(海堀)の好守など90分間守備の集中を切らさなかったね

6日に行なわれた決勝戦では、残念ながら宿敵アメリカに完敗したなでしこジャパン。W杯の熱戦の幕は閉じたばかりだが、来年のリオでは悲願のオリンピックでの金メダルを目指し、彼女たちの挑戦はまだまだ続く。

(取材・文/栗原正夫)

■週刊プレイボーイ29号(7月6日発売)「各国記者が称賛! 素晴らしきかな、なでしこジャパン!!」より