確かに組み合わせに恵まれた部分もあった今大会の日本だが、様々な要素が絡んだ結果の準優勝と言えるだろう。(C) Getty Images

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「グループリーグ、決勝トーナメントとも日本は組み合わせに恵まれていた」という声は多い。ドイツ、アメリカ、フランスなどFIFAランキング上位3か国が、逆の山に入ったからだ。
 
 日本はグループCで、フル代表の世界大会で勝点を挙げたことのないスイス、カメルーン、エクアドルと同居した。確かに一見すると、楽な組み合わせだ。スウェーデン(GLでナイジェリア、アメリカ、オーストラリア→決勝Tでドイツ)やドイツ(決勝Tでスウェーデン、フランス、アメリカ)のように組み分けられたら、どんな国でも優勝は困難なものになる。
 
 しかし、実はひとつだけ大きな落とし穴が用意されていた。準々決勝だ。中6日でラウンド16の戦いを他グループの3位国と対戦した日本は、準々決勝でブラジルの入ったグループEの1位国か、アメリカの入った激戦区・グループDの2位国と当たる。
 
 中3日の日本に対し、対戦相手は日本よりも2日休養日が多い中5日。日本が研究される時間はたっぷりあるが、日本には乏しい。開幕前の予想では、初戦のスイス戦以外は問題のない組み合わせと考えられていたから、楽なゲームを続けて感覚が鈍った後で、十分な休養&研究時間をとったブラジルに屈する……。それが想定される最悪のシナリオだった。
 
 ところが、ふたを開ければ、先を見据えて猛練習を行なった反動が出て、スイス戦以降も薄氷を踏む1点差勝ちの連続。どの相手にも気を許すことなく戦う習慣がついたところに、予想されたブラジルではなくオーストラリアが勝ち上がってきた。力関係もさることながら、アジアのライバルとは、何度も対戦し、特徴も知り尽くしている。
 
 さらに日本より2日余裕のあるオーストラリアにも、アメリカ、ナイジェリア、スウェーデン、ブラジルと、強豪と激突してきた蓄積疲労が残っていた。その結果、今大会のなでしこジャパン最高のゲームとなり、スケジュール上の罠をあっけなくすり抜けた。
 
 さらにここでオーストラリアと対戦したことで、1回戦のオランダから準決勝のイングランドまで、欧米スタイルで1トップ(3トップ)のチームと3連続での対戦。準備期間が少ない中3日続きの日程では、大きな助けとなった。また、イングランドがカナダを破ったため、7月1日のカナダ建国記念日に予定されていたホストカントリーとの対戦もなくなった。
 カナダ女子ワールドカップの開幕直前、なでしこジャパンの高年齢化=世代交代失敗が囁かれていた。参加24か国の選手平均年齢を調べてみると、前回大会のメンバーから17名が選ばれ、最年少の岩渕真奈でも22歳の日本は平均27.7歳。この数字でもかなり上のほうだと予想していたが、最高齢は優勝したアメリカの28.8歳だった。
 
 決勝戦で大勢が決した後、交代で出てきたアビー・ワンバック(35歳)、そしてランポーン(39歳・開幕時、決勝時には40歳)など大ベテランが平均年齢を引き上げている。日本がこれに続き、3番手がカナダ。この3か国は、3年前のロンドン五輪の上位3か国。金、銀、銅の並び順そのままである。
 
 少々長くなるが川澄奈穂美の言葉を引用したい。
「その昔、日本の女子サッカーが厳しかった時代は、20代後半になると将来のことが頭をよぎり、明るい未来をイメージできずに引退を考える選手が増えてきました。日本女子代表の平均年齢が低かったのはそのため。20代後半に第一線でやっているのはアスリートとして普通のことです。海外では結婚、出産を経てプレーする選手もいますし、日本もいずれそうなっていくと思います。
 
 もともと4年前の主力メンバーはそれなりに若かったと思います。私が今、29歳。まだまだ成長過程にある選手が経験を経て残っただけです。ドイツ大会の経験はひとつの強みですし、あそこまで結束が強くなるのは、そう簡単なことではありません。それに簡単に乗り越えられてしまったら、『あの優勝はなんだったんだ』ということになってしまいますよね(笑)」