梅雨のじめじめイヤな感じは、スパイスの効いたエスニック料理で吹き飛ばせ!東京カレンダーが自信を持っておすすめするエスニックレストラン、本格派からちょっとマニアックなお店までをどどーんと15店ご紹介。

まずは老舗、本格派エスニックレストランからいきますよ!



ガイ・ヤーン¥1,500。セラドン(青磁器)に盛られた迫力たっぷりの鶏料理
妥協なしのタイ料理をシェアスタイルで!
『セラドン』

幡ヶ谷


いまやアジア屈指の美食都市と成長したタイ。タイ国商務省の認定を受けた『セラドン』では、この道30年以上のシェフによる100種以上の伝統的なタイ料理を味わうことができる。ガイ・ヤーンやヤム・ウーセンといった定番メニューでも、厳選されたフレッシュハーブを用いた料理は、ひと味違うと感じるはず。



クラシックな店内に、どこか懐かしさを感じるはず

ガイヤーンはじめ、ひと皿がかなりボリューミィなためシェアするのがオススメ。お好みでチリソースなどをつけて召し上がれ。コースメニューも¥3,600から用意しており、コストパフォーマンスの高さも抜群。タイ料理好きでなくとも、“ほほ笑みの国”体験ができるはず!




マトンシェクワ。シェクワとは“焼き物”の意味。ウコンやクミン、コリアンダーといったスパイスに漬け込んだ肉を焼いたネパール定番のおつまみ。メニューは一例のため食材が変更になっている可能性あり
お疲れ気味の胃袋を活性させる秘伝の味
『ネパリコ』

渋谷


開店当初はネパールの家庭料理“ダルバート”に特化しようと考えたが、当時はまだ東京に「純然たるネパール料理店」が少なかったことから、メニューのバリエーションを増やすことに。その目新しさが話題を呼び、瞬く間に人気店となったのが『ネパリコ』だ。



ランチ時は周辺に勤務するサラリーマン、OLたちで混雑する

“シェクワ”という串焼きも、見た目はシンプルだが豪快にかじりつけば口中でスパイシーな香りが弾ける。スパイスを多用するが、それは辛さではなく味に奥行きを出すため。夏バテ胃袋も即復活しそう。




ビンミンセット(日替わり)。この日は左から骨付きモモ肉、砂肝、手羽先、ソーセージ、ガツ、ハツ。ほんのり辛いサテーというベトナムのタレをつけて串のままいただく
ハノイの有名焼き鳥店の支店はなんと高円寺!
『ビンミン』

高円寺


様々な専門店が乱立する東京においても「ベトナム焼き鳥専門店」はなかなかお目にかかれない。本店がハノイにある『ビンミン』は、マニアックな店が集中する高円寺の大一市場内でも異色の存在。数あるメニューの中からオーダーするのに迷ったら、選ぶべきはビンミンセット。



多種多様な店が集まる第一市場は、一度訪れれば病みつきになる

そのボリュームに喜ぶことができるのも束の間、その美味さに伸びる手が止まらない。ベトナムのガイーというスパイスで味付けされた焼き鳥(平日昼除く)は、日本のものにはない豪快な味わいが魅力だ。


全部行った?知ってる?ならこっちはどうでしょう。



チャンサンマハ。羊の前脚のすね肉を焼いたもの。モンゴルでも日常的に食される代表的な料理。自家製ダレにつけても、上から岩塩を削っても美味
モンゴルスタイルで食す羊の美味しさに開眼!
『シリンゴル』

巣鴨


モンゴル人はもともと“1日1食”が基本だというが、パワーの源といえば、おもに羊肉。日本初のモンゴル料理専門店『シリンゴル』では、週に2回、羊を丸ごと仕入れ、岩塩で煮込んだものを様々な料理で供する。牛や豚、野菜類はほとんど口にしないという民族性だけあって、メニューは羊肉のオンパレード。



店内にはモンゴルからの調度品が並び、異国情緒を味わうことができる

とくにチャンサンマハと呼ばれる料理は、肉をナイフでそぎ落として食すというスタイルも新鮮でヤミツキに。手づかみで食べれば遊牧民気分を味わうことができる。馬琴頭の演奏を聴きながらモンゴルの地に思いを馳せよう。




コー・ムー・ヤーン¥1,100
タイの美味がそろう“ラボ”がアツイ!
『タイ料理研究所』

渋谷


タイ北部、東北部、中部のメジャーな料理が勢揃いする『タイ料理研究所』。丸い盆にのせた料理を取り分けるカントークやラーマ5 世の時代に発展した宮廷料理など、地域色豊かなタイ料理の魅力を伝える。



清潔感溢れる店内は、女子も居心地よく過ごすことができる

ガイ・ヤーン(鶏肉のスパイシー焼き)と並んで肉食派からのオーダー率が高いのが、スパイスで下味をつけた豚肉を、鉄板でジューシィに焼き上げる品。タイ式に「チャイ・ヨー(万歳!)」と乾杯し、豊富な美味を味わい尽くそう。




センレック トムヤムクン
ハーブ香り立つ濃いめの味と生の米麺にノックアウト
『ピーマイ』

学芸大学


東京とバンコクで飲食店を営むオーナーが、今現場で食べられているリアルな味を日本に紹介しようと始めた当店。厨房ではタイとシンガポールで20年以上経験を積んだタイ人シェフが腕をふるう。東北料理や中華風のタイ料理に自信があり、あさりのバジル炒めやグリル肉のハーブ和えなど、屋台でも馴染みの料理がメニューに目立つ。



家庭的な雰囲気に魅了された常連客が、毎晩店を賑わす

日本では珍しい生の米麺・センレックを食べさせるのも売り。日本のタイ料理店では乾麺が主流だが、現地では生麺を使う店が主流だ。もっちりと弾力のある食感は、乾麺のそれとは段違い。タイ料理好きであらば、一度はその違いを体感したい。




ラム肉のクミン風炒め¥980は東北地方の家庭の味。エキゾチックな香りと羊肉の旨みが絡み、ピリ辛具合が酒に◎
ラム肉とジャガイモが特徴の東北料理はほのかにエスニック
『味坊』

神田


店主・梁氏の故郷・黒竜江、吉林、内モンゴルなど東北部の家庭料理が食せる店。高架下にある店の裏路地ではスタッフが仕込みをする姿が見られ、本場感が漂う。中国東北部は北海道の気候に近く、ジャガイモが特産。香菜もよく使用される。



ある通の常連さんの「ここの料理に合う!」のひと声で、良質なビオワインが手頃に飲めるのも面白い。

ラム肉のクミン風炒めと人気を分かつ自家製板春雨は、でんぷん独特のブリッと感が新発見。中国の田舎町の調理法同様、1枚ずつ水溶き片栗粉を流し固めて作る。羊も串焼き、しゃぶしゃぶ、お焼きなど種類が豊富で目移り必至。


シンガポール・インド・タイが好きだから!店主の愛を感じるエスニック店



ホルモンの潮州煮込み。クエイチャップという郷土料理をアレンジ。ホルモンと豚バラ肉を漢方とスパイスの効いたソースで煮込んだもので、食べれば口中に複雑な旨みが炸裂。隠し味は、八角やクローブ、五香粉など。酸味のあるチリソースをつけるのがポイント!メニューは一例
巧みなスパイスと漢方使いが美味しさの秘密
『松記鶏飯』

淡路町


シンガポール料理と自然なつくりのワインを楽しませるビストロとして注目を集める『松記鶏飯』。軟らかい鶏の胸肉をパクチーとともに食すシンガポールライスはもちろん、脇を固めるメニューも酒場らしいラインアップで足繁く通いたくなる要素が満載。



シンガポールは行く度に違う発見がある、と店主の松本さん。店の味も進化を続ける

自家製ダレに長時間漬け込んだ鶏肉を紙に包んで蒸し上げるペーパーチキンや、にんにくと白胡椒を強めに効かせた潮州スタイルの肉骨茶も人気。ビールとともに味わえば体に爽やかな風が吹き抜ける。




ポークスペアリブ アチャールグリル(2ピース)。インドのピクルスにじっくり漬け込んだ豚肉のスペアリブ
“華麗なる”サイドディッシュにも注目!
『シバカリーワラ』

三軒茶屋


インドの奥深い魅力に魅せられた山登伸介さんがオーナーを務める『シバカリーワラ』。10年ほど前からほぼ毎年インドを旅し、現地の食生活にも積極的に触れてきた。現在、シェフを務めるのは山登さんとインド人スタッフ。



カレーのほかにも魅力的なメニューが盛りだくさん!

現地ではめずらしい豚肉のスペアリブなどもメニューに取り込むが、こだわるのはあくまで“インドで日常的に食されている味”だ。スパイスの香りが立ち込める店内で、くらくらと眩暈がするほどの美食体験を楽しんで。




ガイヤーン。自慢の特製ダレに漬け、オーブン焼きにした看板メニュー
住宅街で異彩を放つ「シモキタ」系タイレストラン
『ティッチャイ』

下北沢


メニューに並ぶのは「自分が感じたタイの味」とこちらをひとりで切り盛りする志籐さん。顔の見える小さい店だからこそ、好みに合わせた辛さの調整が可能。タイラヴァーから周辺住民までが足を運ばせるのも納得だ。



下北沢の閑静な住宅街エリアで唯一、エスニックな雰囲気を放つ。店先のプチ屋台や、各国から集めてきたという店内の雑貨がタイのごちゃごちゃ感を思い出させる。

タイにはない自由なアイディアメニューにも目移りしてしまう。気になったら迷わずオーダーして!




サッと湯通ししたエビに唐辛子などを刻んだ自家製ソースとナンプラーをかけた、クン・チェー・ナンプラー。メニューは一例
怪しげな地下街で賑わう現地の味そのままの食堂
『モンティー』

浅草


銀座の大箱タイ料理店に勤めた時代、通称モンティーさんという料理長に連れられた初めてのタイで、その緩い空気感に打ちのめされたという店主。以後何年間も月1ペースで現地に出かけ、すっかりローカルの味が舌に染み付いた。地元・浅草で地下街の物件を見つけた時、猥雑なムードが現地の大衆料理を出すのにふさわしいと閃いたとか。



ヤム・ママーというインスタントラーメンに魚介や野菜を和えた甘酸っぱいサラダなど、とことん現地に近い品ぞろえ

店内の雑貨はもとより、ハーブや野菜などもタイ産を使用。料理はタイ人シェフ。現地の味を日本人向けにアレンジせず出すのが店の方針だ。夏場ともなれば熱気に満ちあふれる地下道の一角で、現地のムードを疑似体験できる。


普通じゃイヤ?! ワガママなあなたには、最後にマニアックな店をご紹介



ケニア風焼肉。骨付きマトンを玉ねぎと共に豪快に焼き上げた店主自慢の一品。ビールはもちろん、ライスとの相性も抜群! ピリピリという自家製の唐辛子ソースにつけて食べるのがおすすめ。料理はすべてテイクアウト可能
ディープな地下街にサバンナの風が吹く!『サバンナ』

経堂


居酒屋や焼肉店が立ち並ぶローカルな地下街で、あきらかに異彩を放つ『サバンナ』。たった5 席の空間は一見スナックのようだが、ここはれっきとしたアフリカ料理店。カランガという炒め物やオメナというドライ鰯のフライなど、日本人にはなじみの薄いメニューが並び、好奇心をかきたてる。



店内はカウンターのみわずか5席。常連になったら店主との会話を目当てに足を運びたい

常連に人気が高いケニア風マトンの焼肉は、辛口なケニアビールのおともにぴったり。気さくなアフリカ出身の店主との会話も、この店を訪れる楽しみのひとつだ。




ミートボールと落とし卵のタジン。モロッコのフルーティなビール、カサブランカを合わせて
彩色豊かな空間でモロッコ料理に舌鼓
『ダール・ロワゾー』

三軒茶屋


マニアックな店が密集する三軒茶屋の路地の一画にある『ダール・ロワゾー』では、オーナーの石崎まみさんがフランスやモロッコで学び、アレンジを加えた洗練の料理を堪能することができる。



手前の椅子には、大人しくてぬいぐるみのような飼い犬が

ミートボールがごろごろと入ったタジンには、お好みで唐辛子やスパイスの風味が豊かなアリッサをつけて。デートで彼女と料理をシェアして“刺激”を分かち合えば、あの名作『カサブランカ』のように情熱的な恋に発展するかも!?




インド風のスパイスが効いたサテ。鶏肉に甘いピーナッツソースを絡めていただく
多民族の料理を求め国賓たちも足を運ぶ
『ラサ』

銀座


マレー系、中国系、インド系など多民族が暮らすために、様々な料理文化が混在するマレーシア。その全ての味わいを、本国の五ツ星ホテルで腕を振るった、オンエンワー氏とリーシャンパン氏のふたりのシェフが提供する。



デートにもビジネスミーティングにもぴったりな落ちついた空間

また中華風に炒めた有頭エビに、マレー系料理の定番ソース「サンバル」を加えるといった、フュージョン料理も展開。馴染みの味付けに加え、新しい味覚を楽しめるとあって、元首相やオリンピック選手など、本国の要人も足繁く通う。




牛と羊の合い挽き肉を使用した自家製ソーセージを添えた、メルゲーズのクスクス
即オーダーすべきパスタの源流クスクス
『COUS COUS』

日暮里


地中海やイスラム文化に影響を受けたチュニジア。店にはパスタ、ピラフといった多彩なメニューが並ぶが、まずはクスクスをいただきたい。チュニジア発祥とされる世界最小のパスタで、粒自体がスパイシーなのが印象的。店の名を冠するスペシャリテだ。



珍しいチュニジアワインを料理に合わせて召し上がれ!

とびきり上手い本場の味はどこで味わえますか?という質問にチュニジア大使館の方から名前があがったのがこちら。まさにお墨付きのレストランでチュニジアの味を体験してほしい。


最初から最後まで、ビールと一緒に楽しみたい一皿のあるお店。この時期のエスニック、心をスカッと晴らしてくれること間違いなし。行くなら今、でしょう!