日本は立ち上がり、セットプレーからロイドに2点を許してしまった。佐々木監督は相手のポジショニングに異変を感じていたというが……。(C) Getty Images

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 前回のドイツ女子ワールドカップ、ロンドン五輪に続き、世界大会3回連続での顔合わせとなったなでしこジャパンとアメリカの決勝戦は、2-5と思わぬ大差がついた。
 
 日本、アメリカともに、4-4-2でセミファイナルまでと同じ布陣。ただし、日本は自分たちにとってベストの組み合わせで臨んだが、対してアメリカは日本対策とも取れる布陣。スピードのあるアレックス・モーガンとロドリゲスのコンビが予想されたが、実際にはドイツ戦に続きモーガンとロイドのコンビで臨んでいる。
 
 これまでの日本戦ではボランチでのプレーが多かったロイドをFW起用したということは、アメリカが劣勢を想定した中盤での戦いを放棄したと取れる。その代わりに今大会、日本の武器のひとつとなっていた日本の両CBからのビルドアップを楽にさせないという狙いがあった。
 
 対戦成績では圧倒的優勢。BCプレイス・スタジアムに足を運んだサポーターの数でも多数派のアメリカが、世界ランキング1位のドイツ戦と同様に守備を考えて試合に入らざるを得ないほど、なでしこジャパンの力は評価されていた。
 
 イングランド戦の余韻が残っていたのか、様子を窺いながら試合に入った日本に対して、アメリカは試合開始から、チェイシングのアクセルを吹かしてきた。ロイド、モーガンのふたりが日本のDF陣にプレッシャーをかけ、ボール奪取とともにサイドに振って突破口を見出す。
 
 そして3分。アメリカが奪った右サイドからのCK。ハイボールを予期して備えていた日本に対して、ラピノーは速いグラウンダーのボールを入れてきた。日本のDFは、それぞれ相手を掴んでいたが、ペナルティエリアの外から猛禽類のような素早さで走り込んできたロイドが蹴り込んだ。
 
「あそこにロイドがいるのは変だ」と佐々木則夫監督も思ったそうだが、このトリックプレーをいきなり繰り出してきたアメリカが一枚上手だった。試合の流れに乗り切れていない開始直後の時間帯に奪われたこの失点は、今大会初めての先制点献上であり、ドイツ大会から13試合目にして初めてのセットプレーからの失点。なでしこジャパンは1点のビハインドを背負ったというだけでなく、メンタル面でも深手を負わされた。
 
 2分後にも同じように左サイドからのFKを献上し、同じようにグラウンダーのボールを入れられ、再びロイドに決められる。
「どちらもセットプレー。最初に失点すると厳しい戦いになることは分かっていましたが、それを確実に決めてくるのがアメリカ」(鮫島彩)
 日本は失点を重ねるごとに底なし沼へ引き込まれた。14分、それを象徴するかのように、ほとんどミスのない岩清水がクリアミスでホリデーに3点目を献上。その2分後には、GK海堀あゆみの頭越しに、センターサークルからロイドに放り込まれる。
 
 ここまでセットプレーから2失点、自滅的なミスから1失点、そして超ロングシュート。崩されての失点はひとつもないのに大差が開いていく、日本にとっては悪夢のような、アメリカにとっては夢のような展開になった。
 
 4失点後、宇津木瑠美を左SB、鮫島彩を左サイドハーフ、宮間あやをボランチにコンバートした日本が、中盤を省略したアメリカに反撃を開始。27分、川澄の鋭いクロスに対して、背負っていたDFを駆け引きで振り切った大儀見優季が、身体をターンさせながら、左足のシュートで1点を返す。
 
「何点取られようが、自分のやることは同じ。常に準備をしていたからこそ取れた1点だと思います。それも自分だけではなく、チームとして取れた1点だったと思います」(大儀見)
 
 佐々木監督は、ここを勝負所と見て、ダメージの残る岩清水梓に代えて、33分、澤穂希をスクランブル投入する。さらに40分、川澄に代えて菅澤優衣香を投入。チャンスメーカーを宮間ひとりに任せて、ゴールを奪える選手を前線に並べた。