ショックは大--。6月20日、わずか43歳という若さで急性心不全のために亡くなった音羽山親方(元大関貴ノ浪)急死の余波は、まだ収まる気配がない。

 貴ノ浪といえば190センチ超の長身を生かし、まるでクレーン車のように相手をつり上げ、あるいは抱きかかえて振り回す基本無視の相撲でファンを沸かした規格外の力士だった。平成8年初場所と翌9年九州場所の2度、いずれも貴乃花を優勝決定戦で破って優勝。未完の魅力に溢れ、もう少し理にかなった相撲を取っていれば横綱も十分に望めたといわれている。
 「私生活も豪快そのもの。同部屋の若貴らとは対照的に“斗酒なお辞せず”のタイプで、日本酒なら3升はペロリ。『ブランデーもいいけど、あれはストレートでやるとノドが痛くなる。夕べも10本はイケたけど、その手前で止めた』という話を聞いてビックリしたことがあります。おまけにヘビースモーカーで、そんな破天荒な生活を続けていれば、当然、体のあちこちに赤ランプがともるのは明白でした」(担当記者)

 平成16年夏場所限りで引退。貴乃花部屋付きの親方になって以降は病気がちで、去年1月に胃がんが見つかって緊急手術し、3カ月間の入院生活を送っていた。
 「いい人間ほど早死にするという言葉の通り、どちらかというと近寄り難かった若貴に比べ、貴ノ浪は開けっぴろげで飾り気がなく、慕っている力士も少なくなかった。最近も、新大関の照ノ富士らに積極的に助言していました。いずれ貴乃花親方が理事長になった暁には、右腕として活躍するとみられていただけに、この早過ぎる死を惜しむ声は多いですね」(同)

 いまや親方たちの健康管理が進み、力士経験者は短命というイメージを払拭しつつあったが、これでまた禁酒・健康熱がエスカレートするのは確実。引退したらまず痩せろ、を合言葉に、貴乃花親方をはじめ玉ノ井親方(元大関栃東)、錣山親方(元関脇寺尾)ら、一般人と変わらない体型の親方がゾロゾロ。せめて人間のスケールだけは“大器”のままでいてほしいものだが…。