「脱水」と言うと、水分だけ失われるイメージだが、体内の塩分と水分が一緒に失われることが最も問題ということを認識しておくべきだ。極端な言い方をすれば、脱水症よりも「脱塩症」と言った方が、通りは良いのかもしれない。どちらにしても、前脱水かも…と思ったら、体内で不足している水分と電解質を早目に摂る必要がある。
 「その場合、手っ取り早い飲料としてよく挙げられるのが“飲む点滴”と言われる『経口補水液』。この補水液は、ドラッグストアなどで市販され、薬局や医療機関にも置いてあります」(専門医)

 こうした飲料は、自分でも作れる。1リットルの水に3グラムの食塩と40グラムの砂糖を入れればOK。柑橘系の果汁を入れると飲みやすくなるが、好みというより成分を考えて作るべきだという。
 「健康な時は水やお茶で水分補給しても問題ではありませんが、前脱水の時は体内で水と電解質が同時に減少しているので、利尿作用の強いお茶やウーロン茶などは避けたいところです。また、水分だけの摂取だと体液が薄まってしまう。すると体液の濃さを元に戻そうと体が働き、飲んだ水が尿として排出され、かえって脱水症が進行する場合があるので注意が必要です」(老年医学・専門医)

 最後に、冷気について述べておこう。エアコンの風が苦手な人は多い。空調機器メーカーのダイキン工業が20〜70代の700人に聞いたところ、55%は冷房が苦手と答えたという。
 冷気は下に向かうか、部屋の上下で温度にむらができると、上部の暖かい空気をエアコンが感知して部屋を冷やし過ぎてしまうことがある。そんなときは、扇風気を使って空気を掻き回し、風を壁や天井に向けると優しいそよ風になる。
 就寝時はタイマーを使って、眠りが最も深い最初の2、3時間の運転にすると快眠が取れるそうだ。知識と工夫で熱中症を跳ね飛ばそう。

 今の時期、熱中症を怖がってばかりいる必要はない。夏本番に備えて体を慣らす絶好の時期でもある。暑さに体を慣らすことを“暑熱順化”と呼び、上手くこれを行うことができれば血液量が増える。
 「汗の量もそれに沿って増え、より低い体温で汗をかき始めるようになり、体温を調整する機能も改善してくるのです」(同)

 暑さと上手に付き合い、体力向上を心掛けよう。