今春、NECレッドロケッツに加入した古賀紗里那。早々、Vプレミアリーグを制覇、「日本一」への原動力となった。その後、全日本に選出され、5月にスイスで開催されたモントルー大会では主力選手として活躍。攻守で光るプレイを見せた。

 五輪切符をかけて争われるワールドカップ(8月22日〜9月6日)でも、木村沙織に続くエースとして大いに期待がかかる。全日本の合宿所を訪れて、話を聞いた。

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―― Vリーグのファイナル(4月4日/対久光製薬)では大活躍でした。

古賀:あの時は、結構自分のプレイに集中できました。年齢が上の人ばっかりだったので、すごくのびのびとやらせてもらえた。だから自分のプレイができたかなと思います。

―― 高校時代(熊本信愛女学院高)はずっと日本一になれず、いきなりVリーグで優勝という結果が出て、どんな感じでした?

古賀:大会で負けずに終わることができる"日本一"というのをずっと目指してきたので、それをやっと実現することができたなあと感慨深かったです。

―― NECのチームの雰囲気は?

古賀:とてもチームワークが良いし、助け合いをモットーに、みんなで話し合っていたので、久光にも負ける気はしませんでした。

―― 全日本に選出されるのは初めてではないですが、もうチームの雰囲気に慣れましたか? 高校生の時に呼ばれたときとは違いますか?

古賀:はい、だいぶ慣れました。今年は社会人1年目でNECの人と一緒に来られたので、心強かった部分もあるし、他のチームの選手もしゃべりやすい雰囲気を作ってくれるので、やりやすい。緊張感はだいぶほぐれてきています。

―― 監督から言われていることは?

古賀:プレイ面では、スパイクを自分の狙ったピンポイントに打てるようにと言われています。あとは、食事はいっぱい食べるようにと(笑)

―― 目標にしている選手はいますか?

古賀:全日本の人はみんなです。高校時代から全日本に呼ばれることもありましたが、そのときから、パワーとか高さとかすごいなと見ていました。

―― 高校時代と今の環境で、何が一番違うと感じていますか? 

古賀:高校の時は、先生に教えてもらって......という感じだったけど、実業団だと、自分の責任なので、自分でもっとここをやった方がいいと考えて、自主練をやったりしますから、「言われてやる」ものではなくなりました。

―― 古賀選手は、国際試合にワクワクしたりしますか? 

古賀:日本はやっぱり外国勢と比べると(体格的には)ちっちゃいんですけど、チーム力で勝っていくのがいいところだと思うので、自分もそこに入って、それができるようにしたいですね。大きいチームに勝つと「よし!」と思います(笑)

―― 大きいチームに勝つには、どういうことが必要だと考えていますか?

古賀:まずは守備をしっかりしないといけない。スパイクも、ただ打つだけでなく。ピンポイントに狙えることが勝つために必要です。

―― ここで改めて聞きます。古賀選手にとって、バレーボールの魅力、おもしろさはどこにありますか?

古賀:バレーボールは「だまし合い」だと思うので、その駆け引きで勝つとうれしいし、負けると悔しい。そういう面においても強くなっていきたい。身体の大きさだけじゃなくて、駆け引きがあるから外国のチームにも勝てる可能性が出てくる。守備だけでもなく、攻撃だけでもなく、バランス良く成長していきたいです。


 今年は8月に三大大会の一つであるワールドカップが開催され、来年にはリオオリンピックも控えている。前回のロンドンオリンピックで日本が銅メダルを獲得した時、彼女は高校で合宿している最中だった。印象に残っているのは、3位決定戦の最後の1点。韓国戦で、迫田さおりがレフトから決めたスパイクだという。オリンピックという最高の舞台は、まだまだ遠い先の話だった。


―― ワールドカップやオリンピックという大会は、今の古賀選手にとってどんな位置づけでしょうか?

古賀:テレビとかでしか見てなくて、本当にすごい大会なんだろうな、とはわかっていますが......。今年の全日本チームの目標が「ワールドカップで五輪出場権を獲る」ということなので、自分がそれに貢献できたらいいなと思います。

―― 個人的な目標はありますか?

古賀:うーん......まだ本当に技術が未熟なので、いろんな人のいいプレイをどんどん吸収して、失敗しながらも成長していけたらいい。手応えと呼べるものはまだまだです。

―― 2020東京五輪の「プロジェクト コア(※)」にも選ばれていますが、リオと東京で意識はまた違いますか?

(※)日本バレーボール協会が立ち上げたプロジェクト。2020年東京五輪、それ以降のバレーボールの活性化、選手強化などを目指す

古賀:まずは目の前のことを一生懸命やっているので、先のことは考えていません。今はオリンピックというよりは、まずは明日のこと、ワールドカップのこと、一つ一つです。


 念押しで「リオにはどうしても出たい」という思いはあるかと尋ねると、八重歯を見せてしっかりと「ありますね」と答えてくれた。


―― ずっと暮らしていた九州を離れて川崎の合宿所へ。ホームシックになったり、寂しいことはないですか? 

古賀:高校では通いでした。だから一人暮らし、寮生活は初めてです。寂しくもあるし、親のありがたみとかも実感するんですけど、もう大人になるのでしっかり自立したい。

―― 上京してきて、都会はいやだな、ということはないですか?

古賀:駅に人が多くていやです(笑)。人混みは苦手です。

―― 空き時間は、何をしていることが多いですか。

古賀:オフの日は、結構寮にいることが多いです。きちんと整理できる前に合宿に来たので、部屋作りをしていますね。先日、渋谷に買い物にも行きました。洋服を見るのは好きで。あとは友だちと映画を見たり、写メをいっぱい撮ったり、ごはんを食べたり......。一人の時は、テレビでフィギュアスケートを見たりもします。

―― ツイッターを見させてもらったら、宮部藍梨選手(16歳・金蘭会高)や藤田夏未選手(23歳・トヨタ車体)とからんでいましたね。

古賀:みんな仲がいいんですよ。

―― 同世代の宮部さんとは何を話しているのですか? 

古賀:テレビとか、高校の話とか聞きますね。彼女は関西ノリでおもしろいんです(笑)。年上ですが藤田さんとも気が合います。高2の頃の23歳以下の世界大会で一緒になって、ずっと一緒に試合に出ていますから、トスの話とかもよくしますし、バレー以外にも悩みを聞いてもらったりしますね。くだらない話も全部聞いてくれて。今、練習がとてもきついけど、話せる人がいて、助かっています。

―― 最後に今年一番の大会、ワールドカップに向けて意気込みをお願いします。

古賀:来年のオリンピックに向けて皆さん頑張っているので、自分もその一員になりたいし、力になれたらと思っています。まずは成長できるよう、自分をアピールしながら、チーム力を高めていきます。

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 洋服が好きで、SNSが好きなイマドキの19歳の少女。あどけない表情を見せることも多いし、コメントの端々にチームや先輩に対し、気遣いや遠慮も感じられる。一方で、10代にしてバレーボールの魅力を「だまし合い」と言い切り、大舞台でも冷静で、勝負強さを発揮する頼もしいエースアタッカーである。

「木村沙織二世」との声もあるが、その枠を超えて、来年のリオで飛躍し、2020年の東京では中心を担ってもらいたい逸材だ。全日本は先月末からワールドグランプリに出場し、世界を転戦している。日本国内のさいたま大会は、7月10日(金)から12日(日)、さいたま市記念総合体育館で行なわれる。成長著しい彼女の姿をテレビでも見ることができるだろう。

【プロフィール】
古賀紗里那●こが・さりな
1996年5月21日生まれ、180cm/66kg。NECレッドロケッツ所属。ポジションはウイングスパイカー。母の影響で小学生のときにバレーを始めた。サーブレシーブもこなす大型アタッカーとして、国際舞台での活躍が期待されている

スポルティーバ編集部●文 text by Sportiva