元患者の視点から講演した曽我野・全療協会長(撮影:常井健一)

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厚生労働省は14日午後、「第1回ハンセン病問題に関するシンポジウム」(法務省共催、文部科学省後援)を東京・千代田区の都道府県会館で開催した。同シンポは、03年11月に熊本県のホテルで起きたハンセン病元患者への宿泊拒否や、ハンセン病療養所の入所者側に対する誹謗中傷が多く寄せられた事件を受けて、「2度と起きないように啓発活動を一層強化するために開催した」(尾辻秀久厚生労働相)。ハンセン病に関する正しい知識の普及を促す催し物を、政府が主催するのは今回が初めて。

 尾辻厚労相は、冒頭で「ハンセン病問題の解決のためには、国民一人一人がこの問題を真剣に受け止めて、過去の歴史に目を向けていただきたい」と挨拶した。

 続いて、国立療養所大島青松園(香川県)長尾榮治園長や国立療養所邑久光明園(岡山県)の牧野正直園長、曽我野一美・全国ハンセン病療養所入所者協議会会長の3氏が基調講演をした。

 長尾氏は、◆現在治療中の患者は20名程度しかいない、◆ハンセン病の菌は弱く、人から人に感染するのは難しい、◆治療を受ければ治る病、◆菌に毒はなく死に至る病ではない─などハンセン病の正しい知識について説明した。その上で、差別や偏見を招いた従来の医療や政策を批判、「元患者はたくさんの苦労をしてきた。幸せになる権利がある」と強調した。

 牧野氏は、ハンセン病患者の隔離の歴史について講演。現在ハンセン病療養所には約3500人が入所しており、平均年齢は78.2歳、過去10年で約2000人が高齢のために亡くなった。「入所者全員が退所して幸せな生活を送ってもらいたいが、社会復帰するのは至難の技」と、隔離を強制した「らい予防法」廃止後も、当事者の社会復帰が困難な現状を説明した。【了】