梅雨時期の結露によるカビ、真夏時期のムッとした家の暑さは、シックハウス症候群、熱中症など、住む人の健康状況にも大きな影響を及ぼす危険性がある。今、リフォームのトレンドとして注目を集めているのが断熱性能を向上させるリフォームだ。技術や性能の進化により、従来よりも手軽に効果の高い断熱性を手に入れることが可能で、冒頭で挙げた夏の家の健康問題を根本から解決することが期待できるという。

 一方で、2015年は早くも歴史的な気温の高さを記録しており、各地平年を上回っている状況。5月最終日の気温は322分まで上昇し、5月としては統計を開始した1876年以来の最高気温を記録したのは記憶に新しい。また、総務省消防庁によると、今年の427日〜531日までの約1か月間で3110人が熱中症により救急搬送されており、早くも油断できない状態になっている。今年こそ断熱で本気の熱中症対策を行い快適な夏を目指したいものだ。

今年の夏は蒸し暑い?熱帯夜も多くなる可能性

 気象予報士の河津真人氏(株式会社ウェザーマップ)によると、今年はエルニーニョ現象が発生しているため78月は雨が降りやすく、降水量 が多くなると予想されるという。気温はほぼ平年並みだが、湿度が高く、不快な蒸し暑さになる可能性も。さらに、曇りや雨の日の夜間は、晴れの日に比べて気温が下がりにくく(晴れの日の夜は地上の熱が上空に逃げやすい)、今年は熱帯夜が多くなるかもしれない。

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 夏になると必ず報道される熱中症。国立環境研究所『熱中症患者速報2013年度報告』によると、65歳以上の熱中症発生場所の60.9%住宅と最も多い割合となっている。高齢になると体温調節がうまく出来ず暑さを自覚しにくいうえ、節電意識やエアコンへの苦手意識から、エアコンを切ってしまうことも原因のひとつとみられている。

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 また、室内熱中症の中でも特に多いといわれているのが夜間の熱中症。気密性が高い最近の住宅では、日中に窓や屋根・壁・床から伝わる熱気が夜・明け方まで部屋にこもるうえ、睡眠中は汗で体内の水分が多量に失われることなどが原因で、時間帯別の救急搬送状況をみてみると、日中はもちろん、夜や早朝でも熱中症患者が搬送されていることがわかる。

部屋の暑さの根本は「窓」にあった!外壁・床からも熱が侵入。住まいの断熱・遮熱を意識すれば、少しの冷房で十分快適な家に?

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 株式会社LIXILによると、熱中症対策としては、こまめな水分補給などの行動対策はもちろん、住まいで感じるそもそもの「暑さ」を断ち切る工夫も大切だという。特に部屋の窓などの開口部からは、冷房をつけている時(日中)でも73%もの熱が流入し、さらに外壁や屋根、床からも熱が侵入する。つまり、この「暑さ」の根本である窓などの開口部からの熱を防ぐことが、夏でも快適な家への近道になるそうだ。開口部の断熱性・遮熱性を高めれば、熱を入れにくく、冷気を逃がしにくくすることが可能だという。「日中の熱がたまり夜まで蒸し暑さが続く」という悩みも解消できるかもしれない。

 夏の住まいの暑さ対策について、東京大学大学院の前真之氏は以下のようにコメントしている。

 夏の暑さ対策において大切なのは、「断熱」と「日射遮蔽(にっしゃしゃへい) 」です。断熱は熱の移動を止めることで外の高温の熱を入れにくくします。外気の熱に影響されない分、冷房効率が良くなるので、少しの冷房でも室内温度を快適に保つことができます。日射遮蔽は窓の上に飛び出すひさしが代表的です。ただ、南面の日射遮蔽には有効であるものの、夏に低い高度で東面・西面を直撃する朝日・夕日には効果がありません。

 また、窓一面を覆うすだれやよしずは簡便で効果的ですが、見た目や室内の暗さが気になる場合は、思い切って遮熱性能、断熱性能の高い窓ガラスに変えることも有効です。温暖化が進む中で省エネ・節約として冷房なしに盛夏の時期を過ごすことは難しいですが、断熱・日射遮蔽を意識することで、少しの冷房でも十分快適な住まいに近付けるでしょう。

 最近は断熱・遮熱改修が1日で手軽にできるリフォームや、遮熱性や紫外線カットに優れ閉めても暗くならないシェードなどのラインナップも充実しているという。今年こそ暑さの根本を見直し、断熱・遮熱で蒸し暑い夏を快適に乗り切ってみてはいかがだろう。