虫よけ剤と日焼け止めの併用は危険  shutterstock

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 本格的な蚊の季節が到来しました。そこで心配なのが、昨夏、大騒ぎになった「デング熱」でしょう。とりわけ小さなお子さんがいる親御さんは、夏休みを目前にして頭を悩ましていることだと思います。

 デング熱は昨夏、約70年ぶりの国内感染が東京都・代々木公園で確認され、その後、感染者は162人まで拡大しました。人から人へは感染しませんが、3〜7日後に高熱が出るケースが多く、腹痛、筋肉痛、皮膚の発疹を伴います。普通は1週間ほどで自然に回復しますが、まれに吐血や血尿などの症状がでる「デング出血熱」を発症すると死に至ることがあります。蚊に刺されてから3〜7日後に、高熱に加え関節の痛みなどが出たら、すぐに医療機関で治療を受けることです。

 対策は、当たり前ですが蚊に刺されないこと。子どもの外出時は、長袖、長ズボンを着用させ、肌の露出を避ける。黒っぽい服は蚊も含め虫を集めるので、白などの薄い色の服装にする。また、小学校の高学年生になると香水やヘアスプレーを使っている子もいますが、これらの匂いは虫や蚊(とくに蜂)を刺激します。

アメリカとカナダでは子どもへの使用が禁止されている

 対策が簡単な虫よけ剤に頼りたいところですが、子どもや乳幼児には使わないことです。ほとんどの虫よけスプレーには、「ディート」というピレスロイド系農薬が含まれています。

 ディートは蚊などの触角に作用する虫をよけ剤で、1946年に開発されて以来、世界中で広く使われてきました。しかし、2000年代に入り、米国とカナダで安全性が問題になり、子どもへの使用は規制されることになりました。

 ディートの危険性は「慢性的な皮膚適用の場合に、血圧低下、痙攣、発疹などの症状を呈す」(日本中毒情報センターHPより)ほか、経皮毒性が非常に高いとの指摘があります。皮膚から体内に吸収されると、神経系の障害や皮膚障害を引き起こす恐れがあります。デング熱より怖い健康被害をこうむっては、泣いても泣ききれません。

 こうしたことからカナダ政府は、「生後6カ月未満の子どもには使用しない」と規制しています。日本でも製品に次の注意表示がされています。

 \幻6カ月未満の乳児には使用しないこと
 6カ月以上2歳未満は1日1回
 2歳以上12歳未満は1日1〜3回

 あまりにも小さな字で書かれているので気づかずに使用している人もいるようです。子どもだけでなく妊娠中の人も絶対に使用してはいけないことは言うまでもありません。さらに言えば、ディートが含まれる虫よけ剤は、少なくとも日焼け止めクリームとの併用はやめるべきです。

 ちょうど2年前の7月、台湾で信じられないようなことが起きています。台湾に住むAさんが日焼け止めローションを塗った上にディートを含む虫よけ剤を塗ったところ、およそ10分後に意識を失ってしまったのです。原因は日焼け止めクリームの何らかの成分とディートが化学反応を起こしたことが原因と見られています。

 化学合成物質の特性として、ひとつの化学合成物質では毒性は示さないものの、複数の化学合成物質が合わさると、予想もしなかったとんでもない発がん物質が発生したり、強い毒性を示したりすることがあります。安心できる生活を送るためにも、それが化学合成物質の怖さであることを忘れてはいけません。

 子どもに虫よけスプレーを使うなら、ディートなどの農薬成分を使わない、天然ハーブを使った製品が安全で安心できます。


郡司和夫(ぐんじ・かずお)
フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。