最新のがん統計によると、日本女性の12人にひとりが乳がんを発症する時代になった。

 50〜60代以降に発がん率が上昇し始める男性とは違い、乳がんは「働き盛り」の30〜40代に発症の第一ピークがある。

 一般にがんの治療成績は5年生存率が目安だが、近年の治療の進化もあり、乳がんのそれは10年が一つのライン。その一方で、最初の治療の隙間をすり抜けたがん細胞が、10年後、15年後に再発するケースも稀ではない。最初の治療を終えた女性は、日常生活のなかで再発予防をしっかり心がけることが大切だ。

 大豆製品は、乳がん発症を予防することが知られている。しかし、こと再発予防に関しては大豆に含まれる「イソフラボン」が、女性ホルモンに似た働きをするため、かえって乳がん細胞を増殖させるのではと懸念されてきた。

 先日報告された米イリノイ大学の研究によると、大豆製品は乳がんの増殖を抑制する免疫系を刺激し、活性化する作用が期待できるようだ。ただし、大豆を丸ごと食べるときにのみ、だという。

 研究チームは乳がん細胞を移植されたマウスに対して実験を行った。その結果、大豆の粉をベースとした餌を与えた場合、がん抑制遺伝子が刺激され、がんをたたく免疫系の活性化が観察された。ところが、大豆から精製された「イソフラボン」のサプリメントを与えたマウスは逆に、がんを増殖させる遺伝子が活性化したのだ。

 研究者は「大豆は全体的な免疫機能を強化する」とし、「乳がんの女性は大豆を丸ごと食べたほうが安全」と指摘している。

 実際、日本と同じく大豆製品を日常的に食べる中国・上海の調査では、大豆製品を全く食べないより適度に食べた女性のほうが、乳がんの死亡率や再発率が低下した。この予防効果は、大豆タンパク摂取量が1日11グラム、イソフラボンが1日40ミリグラム以上になると弱くなることも判明している。

 この結果から概算すると、乳がんの再発予防に適した大豆製品摂取量は、1日に豆腐半丁〜3分の2丁、納豆なら1パック強。まずまず普段通りで良さそうである。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)