幸運も不運も受け入れて耐える!サッカーでは勝てずともガマン大会には勝ったなでしこJAPANが堂々決勝進出の巻。
いざ、日米頂上決戦へ!

厳しい戦いだった。苦しい試合だった。内容的には負けていた。打つ手のない状況でただただ耐える時間がつづきました。しかし、なでしこは最後まで負けなかった。負けなかったからこそ勝ちが転がってきた。最後はアディショナルタイムでの相手のオウンゴールでの決着。だが、これは幸運による勝利ではない。幸運と不運がめぐりめぐる中で、自分たちに幸運がくるまで耐えることができた、なでしこの強さによる勝利です。

この試合が始まる前、考えていました。なでしこの試合は、勝った試合に限らず、何故こんなに納得感があるのかと。苛立ちや疑問の中で試合を終えるのではなく、負けは負けとして受け入れられる気持ちよさがあるのかと。その疑問の答えとして、この試合を見て改めて感じたのは「自分たちからは絶対に負けてやらない」という底堅い心持ちにあるように思いました。

できないことはできない。それは仕方ない。ただ、できることまでできなくなってしまうのが勝負の難しさ。恐れや不安で自ら崩れていったり、しようのないミスで取り返しのつかないことになったり、焦りによって本来の自分を見失ったり。勝負には「魔物」と呼ばれるような現象がある。ただ、なでしこは魔物には負けてやらない。負けるときは、自分たちより強い「相手」にだけ。それは実力であり、受け入れざるを得ないもの。だからこそ、負けに対しても素直になれる。

この試合、なでしこは最後まで負けてやらなかった。心を持ち崩しそうな瞬間はいくらもありましたが、そうはならなかった。先制後に帳尻のように相手にPKを与えられたときも、それによって「損をした」とか「ヒドイ目に遭った」という苛立ちなど微塵も見せませんでした。押し込まれ、何度も何度もゴールに迫られても、そのピンチに動じることはありませんでした。どこまでもつづくガマン大会にじれずに付き合った。

正直、勝ちへの道は見えていなかったかもしれません。攻撃の芽はほとんどなく、PK戦での粘り勝ちか相手のミス待ちくらいしか具体策はなかったかもしれない。しかし、細くともそこに道があるなら、黙々と歩きつづけられるからこそ、「ミス待ち」も実ったというもの。それがまさかオウンゴールだとまでは思っていなかったでしょうが。

なでしこは逆境でこそ美しく咲く。そう思っていましたが、実はもう少し実体は違うのかもしれません。この花は、ほかの花がすべて枯れるような凍えた大地でも我慢している。あと少し頑張れば春がくるのではないかと、心を保って咲きつづけるからこそ、最後に一輪だけ残っているように見えるのかもしれない。冬の次にまた冬がきてまた冬がきても、春を信じて待つチカラ。長い女子サッカー冬の時代を乗り越えた彼女たちにしてみれば、90分や120分のガマンなど造作もないことなのでしょう。

残るガマンは最大でも120分。

耐えて、粘って、咲きつづけることができれば、そこには二度目の春が待っているはずです。

ということで、ガマン大会の勝利者賞をありがたく受け取った、2日のNHKBS中継による「2015女子ワールドカップ 日本VSイングランド戦」をチェックしていきましょう。

◆相手が負けるまでコッチが負けなければ、必ず勝つという禅問答!

エドモントンのコモンウェルススタジアム。ガラガラがつづいていたなでしこの試合も、準決勝という大舞台でもありこの日は上々の客入り。3万人を超える観衆が訪れました。この日の相手は、いまだ勝ったことがないという苦手の相手イングランド。キック&ラッシュの伝統芸でゴリ押ししてくる、なでしことは真逆の世界観を持ったチーム。前回ワールドカップで唯一の苦杯を舐めた相手に対するリベンジマッチです。

↓絶対負けないという意気ごみにより、前日の記者会見では佐々木監督が「負ける気がしない」と逆フラグを建立!


監督:「絶対負けたくない」
監督:「負ける気がしない」
監督:「負けたくない!」

でも、勝てるとは言ってない!

負ける気がしないだけで、勝つ気がしているわけではない!

負けないように頑張れ!

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日本のスタメンは3試合連続で同じ。デカい相手との三連戦ということもあって、ここにきてひとつの安定した形を見出したようです。一方のイングランドは、なでしこに劣らず変幻自在のチーム編成。チョコチョコと形を変えては相手の嫌なところをついてこようという格好です。もちろん、「デカイのが突っ込んでくる」という日本にとって最大に嫌なところも健在です。

まず立ち上がり、イングランドは奪ったボールをすかさずシュートに結び付け日本のゴールを脅かします。とかくサッカーでは、もっといいチャンスを求めるあまりコネつづけるチームがありますが、足でコネてもいいほうに転ぶとは限らない。その点、とりあえず蹴っとけドーンという戦いは、必ずゴールに結びつくという安定感はないものの、いつかどこかでハマるかもしれない「可能性」があります。そしてサッカーでは1試合に1回か2回ハマれば十分。そういう意味でこの試合は、1秒で何かが起きてしまうかもしれない気の抜けないものです。

試合の様相としては攻めるイングランドと耐えるなでしこという構図。蹴られたあとの跳ね返しをイングランドに拾われる回数が多く、なかなか日本は前進することができません。人数と手数を掛けて戦線を前にズラしても、一本のキックでリセットされてしまう。じわじわと「イラッ」が溜まるような噛み合わせです。

しかし、試合は意外な形で動きます。取り立ててチャンスもないまま迎えた前半31分。縦1本で裏に抜け出した有吉が相手に倒され、日本はPKを得たのです。ビデオで見るかぎり…というか肉眼で見ても「ファウルはエリア外」という見た目のプレーに対するPKの判定。瞬間的に思い浮かぶのは「チャンスだ!」という喜びよりも、「あーコリャ絶対に帳尻がくるな」という不安のほう。もしコレを外すようなことがあれば、やがて必ずくる帳尻PKが大ピンチとなります。

先日のドイツVSアメリカ戦でも、先にPKを得たドイツが外し、その後、帳尻のように与えられたアメリカへのPKが決勝弾となったばかり。このPKはチャンスでもあり大きなピンチでもある。絶対に外すことが許されないPK。とてもじゃないが歓びながら見ることなどできません。不安と恐れでコッチまで震えるほどです。「もしも、日本に、宮間あやがいなかったら」の話ですけどね(ニヤッ)!

↓世界一のプレースキッカー宮間がいれば恐れることなど何もない!じらしてじらしてじらして、絶対取れない隅へズドーン!!


こんなん宮間にしか託せないよ!

宮間が外したら諦めるしかない!

もっとも、宮間は外さないがね(ニヤッ)!

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「帳尻くるね」「ヘボ審判」「ヘタクソ」などの懸念が渦巻くお茶の間。その意味で、案の定やってきた帳尻PKについては驚きすらありませんでした。むしろ、そのPKへの対応を見ながら、怒りよりもなでしこへの賞賛がわいてきたほど。前半39分、イングランドのコーナーキックの場面、ゴール前で大儀見が相手を倒したとしてPKの判定を受けます。スローで見れば、そこには接触もなく、完全な誤審・見事な帳尻と言えるものでした。

よくある弱いチームの場合なら、口角泡を飛ばして主審に抗議するところ。しかし、なでしこは帳尻さえ想定に入れていたかのように「あぁそうですか」と淡々としたもの。ファウルとされた大儀見を励ましたりするでもなく、そそくさと給水に向かいます。「ファウルじゃないんで、それは本人もわかってるんで」「でも抗議しても意味ないじゃないですか」「今必要なのは水です」という、真の意味での勝利を追求する姿。これでこそ世界一のなでしこです。

↓ハイハイ…決まりましたよ…と!


これでイチイチ「損した」みたいな気持ちになるのが弱いチームなんだよな!

なでしこは、起こり得る事態にイチイチ腹を立てて、自分たちから身を持ち崩したりはしない!

幸運も不運も、すべてを受け入れて、できることを黙々とやる!

宇津木ルーミーなど、あまりの帳尻にちょっと笑っちゃってるぞwwww

結局、前半は1-1で終了。事実上0-0と言っていいでしょう。どちらかと言えばイングランドのほうがゴールに近く、日本が耐えた前半でした。こうした押し込まれた戦いでは、自軍ゴールに近い位置でのプレーがつづくだけに、必ずピンチがあるものです。そこをどう凌ぐか。そして簡単なミスで決定的な事態を招かずに耐えられるか。本日のテーマは「ガマン」です。

後半に向けてピッチに出てくる選手たち。なでしこは円陣を組んでガマンへの決意を固めます。キャプテン宮間が円陣でありがたい話をしているとき、ひとり飛ばした隣から手を伸ばして宮間のワキをコチョコチョするバカ(大野)の姿が確認されるなど、リラックスした平常心で臨めている模様。過剰に恐れず、ヘンに守りに入らず、しっかりとガマンしてもらいたいものです。

ここからの45分は基本的にイングランドの試合、文字通り日本のガマン大会となりました。イングランドは何度も日本のゴールに迫り、壁を壊そうと殴りつづけました。後半17分、ダガンのシュートはクロスバーを叩きます。後半19分、ホワイトのミドルシュートは枠をとらえ、海堀が間一髪で弾き出しました。後半21分、スコットのドンピシャヘッドはわずかに枠を外れ、撃った本人も頭を抱えます。後半33分には長く蹴り込んだボールが、クロスバーで跳ねるというあわやのシーンも。

日本は攻撃の切り札・岩渕を投入し、ほんの少しの間だけ攻撃を活性化させますが、それもイングランドの圧力に飲まれていきます。大エース・大儀見を下げるわけにもいかず、攻撃に関しては動けない状況。守りについては、これが3戦つづけてハマっている形でもあり、疲労も見えない状態では替えづらい。要するに、日本はここから動けない。このままガマンして、何かが起きたとき、チャンスが転がりこんできたときに決めるしかない。希望が見えない状態で、「相手が決めるのと相手がミスするのとどっちが先か」という試合になってきました。

そして迎えた試合終了間際。当然、延長・PK戦までのイメージはあったでしょう。ただ、同時に「ここが勝負所」というなでしこ一流のインテリジェンスも働いていたはずです。中途半端に時間があれば、相手の決死の反撃もあるでしょうが、90分の終わり際に試合が動けば、何をすることもできなくなります。極端な話、延長戦で先に2点取っても試合の行く末はわからないけれど、後半アディショナルタイム残り1分で点を取ればほぼほぼ勝てるのです。取るなら、今だ。ここぞという時間に、ギアを上げるチカラがなでしこにはある。力の抜き所と入れ所を知っている。

ガマンを重ね、相手に「勝てそう」と思わせつづけた末の、一瞬の反撃。それは後半アディショナルタイム46分すぎ、相手の縦パスをDFラインの熊谷がカットしたところから始まります。縦に長く伸びた陣形、その中間にいるイングランド選手5人を飛び越えて送り出された長いパス。サイドでフリーになっていた川澄は、一度ボールを置き直したあと裏へ走る大儀見へとアーリークロスを入れます。たった2本のパスでゴールに迫ったこの攻撃。「パスをつないで崩す」なんてのは、なでしこの一端でしかないと見せつける勝負の高速カウンター。それが相手の痛恨のミスを生みました。

↓パスをつなぐためにやっているんじゃない!ゴールに迫るためのパスなんだ!電光石火のカウンターはイングランド痛恨のオウンゴールを生む!


相手が触らなければ結局ギミギミが決めてるだけなので、仕方ないオウンゴール!

あれだけ攻めて点を取れなければ、サッカーはこうなるという見本!

まともに出てこないボールをじっと待ち、90分相手DFの心を削ってきたエースが呼び込んだゴールだ!

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相手も泣いた。ベンチの澤魔神も泣いた。もちろんなでしこも泣いた。苦しい90分の決着は両チームにとって劇的なものでした。しかし、これが勝負。なでしこはガマンの正当な対価として、この幸運を悪びれず受け取りました。不運も幸運も勝負のウチであり、だから何が起きてもガマンするし、何かが起きると信じてガマンができる。これぞ世界一のチーム、憧れと敬意を持って見られる「一流」の心持ちですね。次のアメリカ戦も当然苦しい試合になるでしょうが、しっかりガマンしていきたいもの。真の世界一は、もう目の前です。

↓お疲れイングランド!今まで負けつづけてきたことも納得できる、強いチームだった!

難敵イングランドを退けた!

あとは宿敵アメリカを倒すだけ!

真の世界一の座を懸けて!

↓見よ、これが世界一のなでしこJAPANだ!

この試合、特に何もせずいたずらばっかりしていても、まったく動じてない!

「この苦戦は私の責任…」とかいう余計な考えは一切ない!

OH!NO!


世界が待ち望んだストーリーを見事に体現したなでしこ、さすがです!