約3か月ぶりの実戦となったコスタリカ戦。チームは盤石の戦いぶりで2-0の勝利を収めた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 シュート数は日本の22本に対して、コスタリカは6本。日本は前半と後半でそれぞれ11本ずつを放ったことからも、最後まで攻撃のテンションを落とさずに、ポゼッションでも上回ることができた。
 
 試合のペースは終始、ホームチームが握り続けた。決定機の数も7対1。それだけに、2-0というスコアは物足りなさを感じさせるかもしれないが、「組織的な崩し」と「個の力」が存分に表現された、ふたつの得点シーンは評価に値するものだった。
 
 まずは36分の1点目。ボランチの遠藤航が最終ラインに落ちて、岩波拓也と植田直通の両CBが横に広がる。そうすることで、伊東幸敏と亀川諒史の両SBは高い位置を取ることができ、遠藤は左サイドを攻め上がった亀川に正確なフィードを通す。
 
 ボールを収めた亀川が縦にスピードアップすると、CFの浅野拓磨が相手DFを引き連れながらニアに走り込む。浅野の動き出しによって、エリア内にできたわずかなスペースに入り込んだ野津田岳人が、ほぼフリーの状態で亀川からのクロスを右足のボレーでネットを揺らしてみせた。
 
 左サイドからの崩しをセットアップした遠藤は次のように語る。
 
「(自分が落ちて)3バックみたいな形を作ることによって、サイドにスペースができると思うし、ああいうコンビネーションだったり、崩しを、臨機応変に自分たちで考えながらできるのは強みにしていけると思う」
 
 決定機をモノにした野津田は自らのゴールシーンをこう振り返る。
 
「拓磨がニアで潰れてくれて、自分のスペースを空けてくれた。カメ君(亀川)もそこが見えていたと言ってくれた」(野津田)
 
 それぞれが意図を持ってプレーし、ボールを運び、ゴールを演出できた点では、チームとしての成熟度が見てとれる先制点だった。
 
 77分の2点目は、途中出場の金森健志の鮮やかなミドルシュートだった。センターサークル付近で相手のサイドチェンジをインターセプトすると、そのまま一気に加速。自ら持ち運び、寄せてくるDFをものともせず、右足を思い切り振り抜く。放たれたボールは力強い軌道を描きながらゴールへと吸い込まれていった。
 
「ファーストタッチで上手く前を向けたので、ゴールだけしか見てなかった」(金森)
 
 久々の招集で、金森自身にも期するものがあった。途中出場から目に見える結果を残せたのは本人にとって自信になっただろうし、起用した手倉森誠監督にとっても、戦力の底上げに手応えを感じさせたはずだ。
 
 また、得点以外でも、狙いとする縦に速い攻撃や、3人目が絡んだ連動した仕掛けでいくつかの決定機を作れていたのも、ポジティブな点だった。
 一方の守備では、コスタリカがそこまで脅威を感じさせない相手だったことを差し引いても、岩波を中心としたDF陣は最後まで破綻をきたさず、手堅い守りを見せた。
 
 9分にはカウンターからGKとの1対1のピンチを迎えるも、守護神・櫛引政敏のファインセーブで事なきを得る。
 
「ああいう場面で止められたのはデカいと思いますし、あそこで点を取られていたら、(試合の)流れもどうなっていたか分からない状況だった。攻められる機会は少なかったけど、そのなかでも1本、しっかり止められたので良かった」(櫛引)
 
 櫛引が語るとおり、「攻められる機会が少なかった」のは、CBの岩波や植田がフィジカルの勝負でも逞しく対応し、撥ね返していたのはもちろん、チーム全体が高い守備意識を保てていたからだ。「全員守備・全員攻撃」を掲げる手倉森ジャパンらしい戦いぶりだった。
 
 素早く相手のボールホルダーに寄せては、早い段階で相手の攻撃の芽を摘む。セカンドボールの回収率も高く、先を読んだポジショニングでインターセプトを成功させる。なかでも、キャプテンマークを巻く遠藤のパフォーマンスは出色で、球際の勝負でも強さを発揮するなど、中盤のフィルター役として大きな働きを見せていた。