専門誌では読めない雑学コラム
【木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第10回】

 ゴルフがちょっと上手くなり、スコアが「100」をコンスタントに切り出すと、人間、よからぬことを考えるものです、特に男性はね。かねてから懸案だった......って、いつからのことか? 「女性とゴルフをしたい」と思う今日この頃、なんて具合になります。

 この「女性とのゴルフ」。妄想中は素敵ですが、実際にやってみると、精神的にも肉体的にも、ダメージが大きいです。ゆえに、私は女性が好きですが、なるべくゴルフとはリンクしないようにしています。

 一度、「高級キャバクラ嬢とゴルフ」って企画があったんですが、その前日にお店のママにつかまって、「うちの子とゴルフするなら、(お店でも)飲んでいってよ」と言われて、3万円くらい払いましたか。しかもアルコールなしで。結局、徹夜明け状態でラウンドして踏んだり蹴ったり......なんてこともありました。

 もちろん、まだ「ゴルフも、恋愛も、人生も、楽しくてしょうがない」という方は、迷うことなく、私の背中を超えて、前に進んでいってください。ご健闘を祈ります。

 ただ、「女性とゴルフをしたい」が、「不安もある」という方は、今回のプランにちょっと耳を傾けてはいかがでしょうか。

「女性とゴルフをしたい」と思って、おおよそ想定するのは、女性とふたりきり、あるいは友だちとのダブルデートで、といったところでしょうか。その際、最初は理想が高く、トレンディドラマみたいに、ダブルデートを試みます。けれども、そんな気軽に付き合ってくれる、若い石田純一みたいな友だちがいるわけもなく、結局、狙った子とふたりでゴルフをするパターンが多いです。

 大概、飲み会とかで知り合って、「へぇ〜、ゴルフするんだぁ〜」「お父さんがやってたから」「じゃあ、今度行こうよ」「でも私、すごく下手なんです〜」「大丈夫、僕がついてるから任せて」なんて、大ボラを吹いたりしてね。そういう人、いませんか? で、そんなことを言ってしまった手前、マジで練習場に通ったりしてね、結構大変な日々を過ごすはめになるんですよ。

 ともあれ、女性とゴルフに行くことが決まったら、まずはコース選びです。

 気取ることなく、河川敷コースで済まして、帰りはどこぞのサイゼリヤでエスカルゴでもご馳走して、それでも相手が喜んでくれたら、その方とはもう結婚を前提に交際すべきです。きっと地味ながらも幸せな家庭を築けるでしょう。が、男には、ロマンや見栄ってものがあるんです。

 普段から、「この前、キング(キングフィールズゴルフクラブ/千葉県。かつてプロのトーナメントも開催された名門コース)でコンペがあってさ、新ペリア(※)だけど、準優勝だったよ」とか、飲みながら言っている分、それなりの名門コースを予約しないとって、自分にプレッシャーをかけちゃうわけですよ。心当たりのある方、結構いるんじゃないですか?
※コンペなどで採用されるハンディキャップ算出法。ハンディは「隠しホール」と呼ばれる任意に選ばれたホールのスコアの合計によって決められる。

 でも、そんな下手なビジターカップルを、2サムでプレイさせてくる名門コースなんて、ありませんよ。

 と、悩んだところで、私がぜひオススメしたいのは、軽井沢(長野県)に行く手です。あそこには、2サム専用の『軽井沢浅間ゴルフコース』があります。周りもみんな2サムで、当然カップル率が高いですから、みんな"仲間"ってことで、すごくプレイしやすいんです。

 コースが決まれば、さあ、プレイ当日は「彼女の家まで迎えに行くぞ!」と張り切ったところで、今度はこっちが世田谷に住んでいて、彼女の家は千葉......。「方向、逆じゃん!」って、再び苦悩したりしますが、まさか現地集合ってわけにもいかず、迎えに行くのは"男の勤め"ですね。

 朝4時には起きて、彼女を迎えに行きましょう。それで、延々3時間かけて軽井沢に到着となりますが、そこまでした甲斐はありますから。

 ゴルフ場に着いたら、予想どおり、そこはカップルだらけ。しかも、プレイし始めると、どこからともなくボールが飛んで来て、若者がペコリと頭を下げてくるではないですか。「さあ〜、どうぞ、どうぞ、先に打ってください」と、こちらも会釈する。

 こちら側としても、同じように隣のコースに打ち込む可能性は相当ありますからね。そこは、明日はわが身なり、ですよ。お互いに脛(すね)に傷を持ってラウンドしているようなもの。下手な者同士、和気あいあいといったところですね。

 そうして、ゴルフのスコアはともかく、ことのほか楽しくラウンドできました。となれば、隣接しているプリンスホテルを見ながら、「今度は泊まりで来たいね」と、振ってみたくなります。

 その瞬間、彼女が返答に困って、「ええ〜」という生返事で終わり。これじゃ、脈はありません。帰り道、関越道の本庄児玉インター(周辺はラブホテル街)で休憩する、なんて作戦も風前の灯火です。ゴルフの満足感はありつつも、この将来に対するぼんやりとした不安って......最後は、芥川龍之介(※)かよぉ〜。
※芥川龍之介が或旧友へ送る手記(遺書)に、「何か僕の将来に対する唯ぼんやりした不安である」という一文がある。

「女性とゴルフ」――なんとかならないものですかね......。

【プロフィール】
■木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa