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広島大学、東北大学、千葉工業大学は7月1日、アポロ15号計画で回収された月表層の岩石試料からシリカ(SiO2)の高圧相であるスティショバイトを発見したと発表した。

同成果は、広島大学大学院理学研究科の宮原正明 准教授、東北大学大学院理学研究科の大谷栄治 教授、千葉工業大学の荒井朋子 上席研究員らを中心とした研究グループによるもので、米国鉱物学会が発行する「米国鉱物学雑誌」に掲載された。

月のクレーターや、月の表層を覆う岩石層は激しい天体衝突の名残と考えられている。巨大な物体が光速で衝突すると、地表では衝撃波によって瞬間的な高圧力状態が発生する。月の表層を構成する鉱物の1種であるSiO2に高い圧力を加えると、より高密度な物質(高圧相)であるスティショバイトというに変化することが知られている。

これまでの研究で、天体が月に衝突した際に地球へ落下したとされる月の岩石にはスティショバイトが含まれていることが確認されているが、アポロ計画で回収された月の表層試料からはスティショバイトがみつかっていなかった。

今回用いられた試料「Apollo 15299」は、月の「雨の海」と呼ばれるエリアに位置するハドレー谷の近くで回収されたもの。研究では、これを大型放射光施設Spring-8を使って解析することで、同試料がスティショバイトを含むことを世界で初めて明らかにした。含まれる物質の種類や化学組成から、このスティショバイトは月のプロセラルム盆地の形成に関与した天体衝突に伴い生成されたと考えられるという。

現在、クレーターの形成年代や衝突規模の推定は数値シミュレーションなどを用いて間接的に行われているが、高圧相を調べることでより直接的な証拠から衝突が起きた年代を明らかにすることができる。同研究グループはさらに「今回の成果によって地球外の天体の地表に高圧相が存在することが証明されたため、今後、地球へのサンプルリターンが期待される火星や小惑星の地表の岩石に高圧相が存在可能性があり、高圧相にも注目していく必要がある」としている。