スタメンはオーストラリア戦と変わらない模様。大柄な相手に対し、球際での競り合いがポイントになりそうだ。

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 準々決勝でオーストラリアを破ったなでしこジャパンは、日本時間の7月2日、8時から2大会連続の決勝進出を懸けてイングランドと対戦する。

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 厳しい暑さのなかで行なわれたオーストラリア戦の2日後、日本の主力組は再び調整を始めたが、現地では徐々に海外メディアの取材陣が増え出している。
 
 日本は連日、冒頭15分のみを公開し、その後を非公開練習にしているものの、今回のイングランド戦もここ2試合と先発メンバーは変わらないだろう。
 
 それだけでなく、FW大野忍やMF川澄奈穂美を途中で下げ、FW岩渕真奈やMF澤穂希を投入し、チームに刺激を与えて勝利に持ち込む“勝ちパターン”が、チーム内外に浸透してきた印象がある。仮にイングランド戦で窮地に陥った時でも、確立されたパターンがあることは心の拠り所となりそうだ。
 
 また、準々決勝のオーストラリア戦での岩渕の決勝弾は、チームをより明るくしている。MF宮間あやは「いろんな選手が得点を決めているのは良いところ。相手の狙いどころがなくなると思う」と、今大会の7得点すべてを違う選手が挙げている点を強みに捉えている。
 
 オーストラリア戦では暑さが勝敗を分けるポイントのひとつとなったが、イングランド戦当日のエドモントンは、雨の予報が出ている。雨が降るとエドモントンは日中でも長袖が必要なほど肌寒い気候となる。今回、暑さに悩まされることはなさそうだ。
 
 佐々木監督は今大会の過去の試合で「まんべんなく水を撒いていたピッチはボールを動かしやすかった」と振り返っているため、雨が降れば、日本にとっては有利に働く可能性が高い。
 女子ワールドカップ初のベスト4に進出したイングランドは、大会前の評判が特別に高かったわけではない。だが、54,027人の大観衆が駆け付けたホスト国・カナダとの準々決勝を2-1と競り勝ち、準決勝の地、エドモントンに移動してきた。
 
「イングランドはカナダ戦でミスを上手く突いて勝ってきた。決めるべきところで決めてくる相手」と見るのはDF有吉佐織だ。カナダとの完全アウェー戦では、相手最終ラインで生じたミスを見逃さず、連続して得点を奪った。
 
 カナダ戦に限らず、相手のミスを誘いながら積極的にシュートを放つイングランドのスタイルは、日本戦でも変わらないだろう。特にMFカレン・カーニーらアタッカー陣のシュートレンジは非常に広いため、日本ゴールが見えると、次々と長距離のシュートを放ってくるはずだ。
 
 その点では今大会の全5試合でチーム内唯一のフル出場を果たしている、キャプテンのDFステッフ・ホートンが蹴るFKのこぼれ球も含め、日本はセカンドボールを意識しながら試合を進めなければならない。
 
 ただ、相手のミスを得点につなげることに優れているイングランドだが、その一方で自らのミスが多いのも事実だ。当然、日本としてはそれを見逃さないことが決勝進出への近道となる。
 
 日本とイングランドを比較すると、やはり経験と実績で日本の優位は動かない。しかし、日本はイングランドに対して過去2分け2敗と、いまだ勝利がない。さらに、優勝した前回大会でも唯一黒星を喫した相手がイングランドだった。
 
 しかし、相性は悪い相手ながら、日本の監督・選手からネガティブな言葉は一切出てこない。「簡単な試合にはならないだろうが、苦手意識はない」と佐々木監督が話せば、川澄も「みんなも私も前回大会で負けている相手というのは意識しているところ。お互いにあの時のチームとは違うが、リベンジしたい」と、4年前と同じ舞台で対戦できることを、むしろ楽しみにしている様子だ。
 
 DF熊谷紗希もイングランドとの対戦を前向きに捉えている。
「私もそこまで苦手意識はない。ここまで来たら昔の戦績は気にしない。準決勝が楽しみという気持ちの方が大きいし、緊張していつもどおりのプレーができないのは、なにかもったいない。だから決勝に進む前の相手に勝ち切ることに集中しながら、試合を楽しみたい」
 そう明るい表情で話した。
 
 過去の不利な戦績を持ち出して気にするのは我々メディアのみで、なでしこジャパンはあくまで自然体で重要な一戦を迎えるつもりでいる。
 
取材・文:馬見新拓郎(フリーライター)