韓国メディアもなでしこジャパンの4強入りを好意的に報じている。(C) Getty Images

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 カナダで行なわれている女子ワールドカップ。連覇を目指す“なでしこジャパン”の戦いぶりは、韓国でも次のように報じられている。
「オランダ下した日本、ディフェンディング・チャンピオンは強かった」(総合ニュース『TVメディア』)
「しっかりした日本、豪州越えて準決勝進出」(専門誌『月刊ベストイレブン』)
「優勝候補の日本、4強へ。アジアで唯一」(スポーツ新聞『イルガン・スポーツ』)
 
「勝つ術を知っているなでしこジャパン」と題した記事も掲載した専門誌『ベストイレブン』は、こんな評価をしている。
「オーストラリアを下して準決勝に進んだ日本は、フランス、ドイツ、アメリカのような大量点による勝利こそないが、これまで挙げた7得点すべてが異なる選手から生まれている。それはすなわち多様な得点ルートを通じて勝利を掴んでいる証しであり、印象的だ。 また、派手さは欠くものの、相手の攻撃に揺さぶられることはない驚くべき守備の集中力を発揮しており、目を引かせる」
 
 韓国も“なでしこジャパン”の粘り強さに感嘆しているようだが、韓国メディアが“なでしこジャパン”を取り上げるのは彼女たちの試合結果についてだけではない。同じく女子ワールドカップに出場した韓国女子代表の今後について論じる際にも、日本女子サッカーのスタイルが“お手本”として取り上げられている。
 
「アジア人として不利にならざるを得ない体格条件やフィジカル能力を、技術などで乗り越える日本女子サッカーの活躍は、韓国女子サッカーにも良いお手本になる」(総合スポーツサイト『エックスポーツニュース』)
 
 韓国女子は今回のカナダ大会で、2003年大会以来2度目の女子ワールドカップ出場を果たしている。初出場時は3戦全敗だったが、今大会ではグループリーグでスペインを相手にワールドカップ初勝利を飾り、初の決勝トーナメント進出も成し遂げた。
 
 決勝トーナメントではラウンド16でフランスに0-3で完敗したが、その健闘ぶりは大きく称えられ、帰国式典まで行なわれたほど。ただ、さらなる飛躍のために環境改善が急務だともされ、その模範例として挙げられているのが日本における女子サッカーの環境や“なでしこジャパン”の強化方法だ。
 韓国のメディアは、日本女子サッカーの例を引き合いに出しながら、自国の女子サッカーを取り巻く環境の問題点を次のように分析している。
 
「昨年の12月基準でKFA(大韓サッカー協会)に登録されている女子サッカーのチーム数は小・中・高・大学、実業団合わせて76にしかならない。登録選手数は1765名だ。対して隣国の日本はもっとも良い教科書だ。チーム数は1409、登録選手数は3万243名という底辺をベースに発展してきた。最近では前回大会でチャンピオンにまで登り詰め、今大会でも2連覇に向かって順航している。いつでも第2、第3の澤穂希が生まれてくるというのが、日本女子サッカーの環境なのだ」(通信社『聯合ニュース』)
 
「女子サッカー発展のためにAマッチの回数を増やすことも方法のひとつだ。韓国は今年、中国での国際大会で3試合、キプロスカップでの4試合を含め、ワールドカッブまで10回の強化試合を行なった。そのうち、ロシアを招いて行なった2度の試合は98年の日本戦以来、17年ぶりに行なわれたワンマッチ形式のAマッチだった。
 
 対して日本の場合、2014年は韓国と同じく5月のアジアカップ、9月のアジア大会と日程を消化しつつ、それとは別に8回のAマッチを行なっている。“キリンチャレンジカップ”などスポンサーを最大限活用したワンマッチ形式のAマッチを通じて、自国の女子サッカーに対する関心と興味を引き上げようと努力している」(スポーツ紙『イルガン・スポーツ』)
 
 韓国女子は、2010年にU-20女子ワールドカップで3位という好成績を収め、U-17女子ワールドカップでは優勝を成し遂げている。その中心メンバーだったチ・ソヨンら“黄金世代”の台頭によって、初のワールドカップ1勝と決勝トーナメント進出を成し遂げた韓国女子サッカー。
 
“なでしこジャパン”や日本女子サッカーに刺激と影響を受けて、さらなる飛躍が期待されているのは間違いなさそうだ。
 
文:慎 武宏(スポーツライター)