中東勢との対戦が控える最終予選を見据えれば、指揮官が指摘するように、コスタリカ戦では“球際の勝負”にも注目したい。
 
 ルーズボールやセカンドボールの奪い合いで敗れれば、その積み重ねが劣勢を招き、力負けしてしまう――フィジカルの強い中東勢に対抗するには、少なくとも球際の勝負で弱さを見せるわけにはいかない。
 
 その意味で、手倉森ジャパンはどこまで戦えるのか。コスタリカ戦はひとつの指標となりそうだが、チームの主軸である遠藤は確信を持って次のように語る。
「僕だけでなく、チームとしてそこ(球際)は意識していかないといけない。それは監督が常に言っていることで、球際(で勝つこと)や戦う気持ち、代表を背負う覚悟はチーム内で浸透してきている。それを当たり前にやりながら、日本らしい技術面、コンビネーションだったりゴール前の崩しという良さを出していければ、最終予選もしっかり戦えると思う」(遠藤)
 
 激しいコンタクトに屈せず、逞しく戦えるかどうか。それは今回のコスタリカ戦の勝敗だけでなく、最終予選を突破できるかどうかも左右するひとつの要因となり、チームの現在地を測るうえでも、球際の勝負は重要視すべき点だろう。
 
 個々を見渡せば、中島翔哉をはじめ、野津田岳人や前田直輝など、テクニックに秀でる選手は少なくない。浅野拓磨のスピード、岩波拓也のフィードなど、スペシャルな武器を持つ選手もいる。ただ、彼らが持てる実力を存分に発揮する前に潰されるようでは、目標に掲げる五輪でのメダル獲得など、絵に描いた餅で終わってしまうだろう。
 
 今回のメンバーは、1次予選には呼ばれなかったが、今季のJリーグで結果を残している喜田拓也や川口尚紀ほか、小屋松知哉やオナイウ阿道など初招集組もいる。そうした選手たちのアピールも、チーム力の底上げにつながるはず。
 
 もちろん、遠藤だけでなく、大島僚太や鈴木武蔵、植田直通、矢島慎也といった常連組の奮闘にも期待したい。
 
 最終予選まであと半年。残された時間は多くはない。貴重な一戦になるのは間違いなく、手倉森ジャパンには大いなる可能性を示す戦いを見せてほしい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)