自身3度目の世界挑戦…キャプテン遠藤航が世界への扉をこじ開ける

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文=飯尾篤史

 どんな選手も特別扱いしないと公言するU−22日本代表の手倉森誠監督も、キャプテンを務める遠藤航には絶大な信頼を置いている

 今年3月、猛暑のマレーシアで行なわれたリオ五輪アジア1次予選。中1日で3試合をこなす過密日程を、スタメンを入れ替えて乗り切ったチームの中で、ただひとり全試合に先発したのが遠藤だった。マカオとの初戦を終えたとき「すべて先発するつもりで準備している」と言い切った彼に、手倉森監督は大会終了後、「航の成長は本当に著しい。タフさをすごく感じた」と目を細めた。

 所属する湘南ベルマーレでのポジションは、3バックの右ストッパー。カウンターの際には相手ゴール前まで駆け上がり、ゴールを陥れる攻撃的なDFとして名を馳せる。

 一方、U−22日本代表では中盤を務め、大島僚太と2ボランチを組んだり、アンカーを務めたりして、バランスを取ることを心がけている。状況に応じて3バックの中央に下がることもあり、4−4−2、4−2−3−1、4−3−3、3−4−3を使い分けるチームにとって欠かせない戦術上のキーマンだ。

 クラブと代表で異なるポジションをこなすのは決して簡単なことではない。だが、遠藤はそれを成長のチャンスとして歓迎している。「今はひとつのポジションにこだわるより、いろんなポジションをこなしてプレーの幅を広げていきたいんです。自分の中ではメリハリをつけて、整理しながらプレーできていると思います」

 ポジションが変わっても、ゴールへの意欲に陰りはない。昨年9月、アジア大会ラウンド16のパレスチナ戦。アンカーを務めていた遠藤は、いつの間にか相手のペナルティエリア内に侵入し、鈴木武蔵とのワンツーから右足で鮮やかに先制ゴールを突き刺した。

「バランスを取らなければならないポジションですけど、タイミングを見計らって攻め上がり、ゴールを奪えたのは自信になりました」

 リオ五輪1次予選、マカオとの初戦でコーナーキックからチームに先制点をもたらしたのも、この頼れるキャプテンだった。

 アジア最終予選は半年後に迫ってきた。遠藤にとって世界への挑戦はこれが3度目のことになる。1度目は17歳で出場した2010年のU−19アジア選手権、2度目は19歳で出場した同大会。いずれも準々決勝で敗れ、世界大会への出場権を得られなかった。とりわけ悔しさが募るのが、イラクに敗れた2度目の大会だ。

「2度目はキャプテンを任されていたこともあって責任を感じました。1度経験していた分、みんなにもっと伝えることがあったんじゃないかって、いろいろ思うことがあった。だから五輪予選は絶対に突破したい」

 残された時間は決して多くないだけに、「それぞれが所属クラブで出場機会をつかんで、成長していくことが大事になると思います」とキャプテンは言う。自身は湘南ですでにレギュラーとしてプレーしているため、課すハードルはさらに高い。

「来年夏のオリンピックのあと、来年1月の最終予選のあとと言わず、その前にA代表に入って、もっと成長したいと思っています」

 ロシア・ワールドカップへの出場を現実のものとして捉えるキャプテンが、3度目の挑戦で世界への扉をこじ開ける。