ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)という言葉がある。2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で、日本語でいうと「運動器症候群」。膝関節や股関節の障害、あるいは骨折などにより、要介護になるリスクが高い状態を指す。

 要介護・支援の原因は脳卒中がトップだが、実は4人に1人が関節や骨といった運動器の障害をきっかけに生活支援や介護を受ける状態に陥る。介護不要の「健康寿命」と平均寿命の差は約10年。この10年をいかに縮めるかが、高齢社会日本の緊急課題なのだ。

 自分は高齢者じゃないから関係ないよ、と思われる方は、現在の「ロコモ度」を抽出する次のテストをやってみよう。

●「立ち上がりテスト」

 床面から40センチメートルの台を用意し、両腕を組んで腰掛ける。両足を肩幅程度に広げ、すねの角度が70度になるように膝をまげて足を床につける。左右どちらかの足を上げ反動をつけずに立ち上がり、3秒間、片足立ちの姿勢を保持する。

 40センチメートルをクリアできた方は、床上30センチメートル、20センチメートル、10センチメートルと低い位置からチャレンジしてみよう。片足で立てる一番低い台の高さが貴方の測定結果だ。

 20代の男性は片足で20センチメートルをクリアできれば、まずまず。30代は30センチメートル、40〜60代は40センチメートル辺りが目安だ。ちなみに、40代男性で20センチメートルからの片足立ちをクリアできるのは4人に1人程度。

 逆に片足で40センチメートルがクリアできない40代の男性も1割ほどいる。この場合のロコモ度は70歳に相当する。病気やケガでもない限り、すぐに脚力を鍛える手段を考えたほうがいい。食生活や体重を見直すことも必要だ。

 さて、ロコモを進行させない手段は「脚の筋トレ」。ふくらはぎを鍛えるつま先立ち(カーフレイズ)や、太ももを鍛えるスクワットやフロントランジ(片足を前方に出し、背筋を伸ばしたまま後ろ足の膝が床に着くギリギリまで腰を落とす方法)がお勧めだ。

 すでに膝関節が痛い方は太ももの内側を伸ばすストレッチを入念に。中高年の鍛錬は20年後の健康寿命に直結するのだから。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)