Doctors Me(ドクターズミー)- 【Dr.野菜ソムリエのコラム】vol.5: 甘みも旨みも胃へのいたわりも 〜キャベツ〜

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冬を越えて甘くなるキャベツ

4月から5月にかけて食べられるキャベツは、やわらかくてみずみずしいですね。
この時期のキャベツは、前の年の夏の終わりから秋にかけて種がまかれたものです。

ここでクイズです。
キャベツは寒い環境に耐えて育つため、どのような工夫をしているでしょうか?

1. 水分を増やす
2. 糖分を増やす
3. 葉を厚くする
4. 外側の葉の緑色を濃くする

正解は…

正解:2. 糖分を増やす

寒い環境に耐えるということは、すなわち、凍結しないということです。
それでは、なぜ、糖分を増やすと凍らずに済むのでしょうか。

純粋な水では、水の分子が互いにくっつき合いやすく、0℃で氷の塊が出来ます。
しかし、水に他の物質を溶け込ませると、その物質が水の分子がくっつき合うことを邪魔し、温度を下がっても氷の塊が出来にくくなるのです。

つまり、キャベツは糖分をたくさん蓄えることによって、低温でも葉が凍りにくくなるようにしているのです[※1]。
キャベツも賢いですね。

胃袋の味方 キャベジン

キャベツから発見された“S-メチルメチオニン”は、キャベジンという別称を持ち、胃薬としてよく知られています。
この物質は、キャベツだけでなく、ブロッコリーやカリフラワーにも多く含まれます。

S-メチルメチオニンには、胃の内側から粘液を多く分泌させて胃粘膜を守ることで、胃潰瘍や胃炎を防ぐはたらきがあります[※2]。

私たちが日ごろ、痛み止めや解熱剤として利用する薬の多くは、胃潰瘍のリスクを高めます。
消炎鎮痛剤を投与したラットの実験では、予防措置をとらなければ全例で胃潰瘍を発症したラットが、消炎鎮痛剤投与1時間前にキャベツのエキスを投与すると、93.6-96.5%のラットで胃潰瘍を予防できたということです[※3]。

胃潰瘍治療薬の予防率99.8%には及びませんが、かなり強い抗潰瘍作用があることがわかります。

なお、キャベツのS-メチルメチオニンは、糖分と異なり、夏に収穫されるもので最も濃度が高くなる傾向にあるようです [※4]。
まだ先の季節ですが、夏の胃袋にはキャベツもおすすめです。

味わい深いトスカーナ生まれの黒キャベツ

今回は、キャベツの一種、黒キャベツを紹介します。

黒キャベツは、イタリアのトスカーナ地方で生まれました。

結球しない(丸くならない)キャベツで、太い葉脈を持つ葉は細長い形をしており、表面は細かく縮れています。
濃い緑色をしていますが、えぐみはありません。

厚めで歯ごたえのある葉は、スープ(写真)や炒め物に向いています。

このスープでは、旨味成分として、かつおだし、昆布だし、鶏がらだし、チーズ(パルミジャニーノ・レッジャーノ)を使いましたが、これらとの相性も抜群です。
辛みの強いタイプのオリーブオイルをかけてお召し上がりください。

〜医師:吉田 菜穂子〜

脚注

[※1] 田中修『植物はすごい』中公新書 2012:p169-170
[※2] Ichikawa T et al. J Gastroenterol Hepatol. 2009:24(3):488-492.
[※3] Gohar AA, Zaki AA. Iran J Pharm Res. 2014:13(3):1081-1086.
[※4] 小宮山ら. 園芸学研究. 2004:3(2):221-224.