株高やNISA(少額投資非課税制度)の追い風を受けて投資信託の残高が大幅に伸びている。だが、楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏はリスクの分散が不十分ではないかと危惧する。

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 最近のマーケットで気になることがある。個人投資家のポートフォリオにおける投資対象資産の偏りである。運用成績や分配金を重視するあまり、いつの間にか、国内外のREIT(不動産投資信託)や高配当株に投資をするファンドばかりを保有している、といった人が散見される。特に、「地域分散」が図られていないケースが増えているようだ。

 一時期の『BRICs』(ブラジル・ロシア・インド・中国の総称)ブームは完全に影を潜め、投資対象における国や地域を考える個人投資家が、少なくなっているのではないか。やはり、幅広い国や地域、および、多様な金融商品を投資対象にすることが、ポートフォリオ全体の分散効果を高め、効率的な運用につながるのである。

 そこで、地域分散が図られていない人向けに、アジア地域を投資対象とする投資信託をいくつか紹介しておこう。

●「アジア好利回りリート・ファンド」 (三井住友アセット)
日本を除くアジア各国・地域(オセアニア含む)のREIT(不動産投資信託)が主要投資対象。毎月分配型。

●「アジア ハイ・イールド・プラス(毎月決算型)」(岡三アセット)
アジアのハイ・イールド債券を中心に、転換社債(CB)などに実質的に投資を行なう。主に米ドル建て。

●「アジア・ヘルスケア株式ファンド」(日興アセット)
アジア各国の医療関連企業が発行する株式を主な投資対象とする。原則、為替ヘッジは行なわない。

 新興国ブームが去った後、経済、金融市場が不安定な動きが続いた国もあった。だが、ここにきて所得水準の向上、中間所得層の増大などが顕著となり、安定的な経済成長が持続できる環境が整ってきた。東南アジア諸国(ASEAN)の場合、若年層の労働人口が厚い人口構成も大きな魅力だ。

 アベノミクスがスタートして約2年半が経過した。大幅な円安が進むと共に、日本株も大きく上昇してきた。良好な運用成績が続いている個人投資家も多いだろう。こういうときこそ、冷静にポートフォリオをチェックし、本来の自分の投資目的やリスク許容度を考えて、リバランス(投資配分比率の見直し)などのメンテナンスを行ないたい。

※マネーポスト2015年夏号