本来、中性脂肪は皮下に蓄えられて内臓などを守るクッションとなったり、緊急時のエネルギー源として使われる大切な脂質だ。しかし、必要以上に体内に蓄積されると、“肥満”状態を作り上げ、問題を引き起こす原因となる。
 医学博士・内浦尚之氏はこう語る。
 「最近、人間ドックなどの健康診断で、中性脂肪値の高い人が増えています。つまり、それだけ将来、成人病を発症する可能性の人が多いということです。中性脂肪は、コレステロールと並ぶ血清脂質でありながら、長い間それほど問題視されてこなかった。理由は、動脈硬化に直接関与しているのがコレステロールだからです。しかし、そのコレステロールの状態を左右するのは中性脂肪。増えれば悪玉コレステロールが増えてしまい、善玉コレステロールが減る。減れば悪玉コレステロール減少し、善玉コレステロールが増えてきます。つまり、中性脂肪をきちんとコントロールさえすれば、動脈硬化などの恐ろしい成人病への道筋を大元の部分で閉ざすことができるのです」

 また、中性脂肪は肝臓でも合成されるが、そのほとんどは食事として体内から取り入れている。
 「穀類、砂糖、アルコール、果物などの糖質も、小腸で吸収され中性脂肪になります。体内では、糖質やタンパク質1グラムが約4キロカロリーのエネルギーになりますが、中性脂肪は1グラム約9キロカロリーでエネルギーになる。そのため中性脂肪は、エネルギーの貯蓄効率から見ると非常に優れていることになり、我々の活力の基礎になっているのです」(医療関係者)

 しかし、そんな中性脂肪量も多すぎると体内で厄介な問題を起こす。肥満や動脈硬化を促進し、心臓病や脳卒中を誘発する原因になるのだ。
 当然、過剰な中性脂肪は減らさなければならない。そこで真っ先に取り組まなければならないのが、肥満の解消。美食と過食は大敵であり、それに運動不足や飲酒、喫煙が重なれば、健康面で大きなリスクとなる。
 「肥満の解消はもちろんですが、一番怖いのは動脈硬化です。動脈の壁にコレステロールなどが沈着し、酸化・変性して弾力性を失い、動脈の壁がもろくなるからです。また、血管の老化現象でもあり、人の体中のどこの動脈でも起こる。この病気は“全身病”で、動脈が硬化すると心臓病の他、脳卒中、腎臓病、痛風、糖尿病、高血圧症などの引き金になるため、軽く考えてはいけません」

 東京都多摩総合医療センター・血液内科の担当医はこう警鐘を鳴らし、さらに中性脂肪増による動脈硬化の恐ろしさを語る。
 「ご存知の通り、現在、日本人の死亡率の第1位は『がん』、第2位『心臓病』、第3位『脳卒中』となっています。このうち、心臓病と脳卒中は、ともに動脈硬化が引き起こす病気であり、この二つを合わせると、実は動脈硬化が原因で死亡している人が最も多くなっている。すなわち、現在の日本では、動脈硬化が日本人の死亡率第1位になっていると言っても過言ではないのです」